PC USER Pro

2014年にグッと来た「デジタル仕事道具」ベスト5PC USER Pro特別企画(2/2 ページ)

» 2014年12月19日 10時30分 公開
[山口真弘,ITmedia]
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ソニー、デジタルペーパー「DPT-S1」

 発売されたのは厳密には昨年(2013年)だが、今年試用する機会を得て以来、すっかりファンになってしまったのがソニーのデジタルペーパー「DPT-S1」だ。電子ペーパーと言えば一般的には電子書籍端末に使われる技術という印象が強いが、DPT-S1は電子書籍端末としての利用は想定していない、PDFの「読む」「書く」に特化したツールである。

ソニーの「DPT-S1」。ソニーストア直販価格は10万5840円(税込)

 画面はA4の原寸大(余白部分を除いた大きさ)に相当する13.3型ワイドで、A4書類をスキャンしたPDFデータがほぼそのままの大きさで読める。またPDFの注釈機能を使っての書き込みができるので、PDFで配布された会議資料の上からスタイラスを使ってメモを書き込み、そのまま注釈として保存できてしまう。

 同様のソリューションを唱える製品やアプリは他にもあるが、DPT-S1の書き心地はまさに紙そのもので、タブレットのように画面の描画がスタイラスの動きに追いつかないといった問題もみられず、また画面の上に手をついても不用意に線が描画されてしまうといったことがない。

 また新規作成したノートをPDF形式で新規に保存することもできるので、これ1台あれば配布資料に書き込んだり、メモを取ったりと、会議やセミナー、商談などにマルチに活躍する。microSDメモリーカードへの保存だけでなく、WebDAVをサポートしているファイルサーバにPDFをアップロードできる機能もスグレモノだ。

 惜しむらくは、個人向けの販売チャンネルも用意されているとはいえ、その価格は9万8000円(税別)と、個人で買ってビジネスで使うにはややハードルが高い価格帯であること。法人への一括導入を想定した製品なので致し方ないところではあるが、13.3型にしてわずか約358グラム、6.8ミリ厚という薄型軽量ボディは会議や打ち合わせの効率化はもちろん、それらの記録をデジタルデータで残したい人にとって魅力的なデバイスゆえ、価格面での「もう一声」はどうしても期待してしまう。

 類似の製品が存在せず、使ってみて初めてそのよさが分かるタイプの製品なだけに、展示会などで試用する機会があれば、ぜひ手にとってみてほしいデバイスだ。

GeChic、モバイルディスプレイ「On-Lap 1303H」

 年の瀬も押し迫ったこの12月になって彗星(すいせい)のごとく登場し、筆者が出張時に持ち運ぶ定番アイテムの1つに違和感なくすっぽりと収まったのが、GeChicのモバイルディスプレイ「On-Lap 1303H」だ。これはUSB給電タイプの外付けディスプレイで、ノートPCと組み合わせて外出先でのマルチディスプレイを手軽に実現できる製品だ。ディスプレイサイズは13.3型ワイドである。

GeChicの「On-Lap 1303H」。実売価格は3万5000円前後(税込)

 この「On-Lap」シリーズの初代製品がお目見えしたのは2〜3年前だったと記憶しているが、セカンダリのディスプレイとしては致命的なほど視野角が狭いうえ画面も暗く、早々に見切りをつけて手放してしまった。

 しかしOn-Lap 1303HはIPS液晶パネルの採用により、どの方向から見ても広い視野角を実現しており(公称値では上下/左右ともに視野角は178度)、ノートPCの横に並べてやや斜め方向から見るという使い方でもなんら問題がない。また解像度は、従来モデルの1366×768ピクセルを大きく上回る1920×1080ピクセル(フルHD)で、モバイルノートPCと並べるとセカンダリであるOn-Lap 1303Hのほうが解像度が高いという逆転現象が起こってしまうほどだ。

 性能もなかなかのもので、動画再生時のコマ落ちもほんのわずかしかなく、ノートPCとじっくり比べなければ、気づかないレベルの差しかない。もちろん比較するノートPCのディスプレイの性能にもよるわけだが、少なくともOn-Lap 1303Hはこの手のデバイスにありがちな、性能不足で我慢して使わなくてはいけないイメージとは無縁だ。

 動画の再生が不得意だった従来モデルは「ビジネスユースで書類を表示する用途なら使える」といった評価だったが、On-Lap 1303Hでは無理に長所を見出してやらなくてもいい意味で普通に使えてしまうので、ビジネスユースでは何の心配もいらない。映像出力はHDMI、Mini DisplayPort、アナログD-Subと3系統あり、接続先の機器に応じて選べるのもメリットだ(HDMIケーブルのみ標準添付)。

 出張先でマルチディスプレイ環境を構築するのに最適なOn-Lap 1303Hだが、ネックを挙げるとするならば、今どきの製品では太いフレームと、スタンドを兼ねた保護カバー込みで900グラムを超える重量だ。特に後者は、保護カバーを外せば約599グラムに収まるのだが、そうなるとスタンドを自前で用意する必要が出てくるため、一緒に持ち運ばざるを得ない。給電用と映像信号伝送用の2種類のケーブルが必要なのは致し方ないとして、この設計だけはもう一工夫を要望したいところである。

 とはいえ競合がほぼ存在しないスペックということもあり、店頭での品薄が解消するであろう2015年には、ビジネスユースはもちろんコンシューマー用途まで、さらなる普及が見込まれそうだ。

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