ついにボタン型コンピュータ「Curie」が登場――2015年のIntelは何を目指すのか「ムーアの法則」50周年でここまで来た(2/3 ページ)

» 2015年01月08日 18時30分 公開
[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]

Intelが注力する新しいUI、無線給電も改めてアピール

 ウェアラブルのようなIoTと並び、現在Intelが力を入れているのがRealSenseなどの「新しいユーザーインタフェース」、そしてIoT市場の拡大でネット接続可能なデバイスの種類が増えたことで注目を集める「セキュリティ」分野だ。

 RealSense関連のデモでは、RealSense 3Dカメラや音声認識を用いて、キッチンで調理しながらハンズフリーでタブレットを操作したり、3Dディスプレイを組み合わせたキーボードの演奏、出力先としてのハイエンド3Dプリンタの新製品紹介などが行われた。

キッチンでマリネ状にしたチキンを調理中に、レシピを参照しながら動画を見たり、キッチンタイマーを作動させたりと、RealSenseによるハンドジェスチャーと音声入力のみで操作を行っている
HP(Hewlett-Packard)の3Dプリンタ「Multi Jet Fusion」。コアにIntelプロセッサを採用しており、積層型ながら複数色を同時に組み合わせて高速出力できる点が特徴だ。RealSenseでスキャンした3Dオブジェクトはプリンタを用いて出力することになる
RealSenseと3Dディスプレイを組み合わせることで、本来は空間上に存在しないキーボードを打鍵しての演奏も可能になる
横から見ると、キーボードは3D映像で浮かび上がって見えるだけで、実際には触れておらず、ジェスチャー操作で空中をたたいて演奏していることが分かる

 興味深い例としては、自動掃除機「ルンバ」で知られるiRobotのコリン・アングルCEOが米マサチューセッツ州ボストンから、ロボットのリモート操縦による動画中継で登場し、クルザニッチ氏との会談を行った。

 動画中継自体は普通だが、ここで使われたロボットにはRealSenseの3Dカメラが搭載されており、ここで得られる「奥行き」情報を基に障害物を避けながらのリモート制御が可能になっている。実際、アングル氏のロボットはステージ奥から障害物を避けつつクルザニッチ氏の前まで登場しており、こうした制御用途での活用が可能な技術であることを示した。

 またRealSenseを搭載したAscending Technologiesのドローンでは、周囲の状況を把握して障害物を自動的に避ける安全飛行が可能になっており、これを使ってCES基調講演会場の一部を使った大障害物レースのデモも行われている。

iRobotのコリン・アングルCEOが米マサチューセッツ州ボストンからの、ロボットのリモート操縦+会議中継でステージに登場。カメラ映像だけでなく、RealSenseを組み合わせることで周囲の状況を把握し、障害物を避けながらの移動を可能にしている
RealSense 3Dカメラを搭載したAscending Technologiesのドローンは、障害物を避けながらの飛行制御が可能だ。そのため、周囲を人に囲まれて手を突き出すアクションが行われると、その中を自動的に逃げ回るような動きで旋回する

 このほか、Intelも加わっている無線給電技術の標準化団体「Alliance for Wireless Power」(A4WP)が推進する「Rezence」が紹介され、ワイヤレス給電のメリットがアピールされた。ホテルグループのMarriottが、同社ブランドホテルの一部で今年第2四半期にも同技術をベースにしたワイヤレス給電設備を用意することを発表しており、次第に利用範囲が広がりつつあることがうかがえる。

 まだ第5世代Core(Broadwell)が正式発表されたばかりだが、2015年後半に登場予定とされている次世代プラットフォームのSkylakeでは、PCにおいてRezenceの採用が広がる可能性も高く、その意味で注目の動きと言える。

タブレット製品の無線給電デモ。テーブルに仕込んだワイヤレス給電システム(A4WPのRezence技術によるもの)を用いて、テーブル上のタブレットを充電している
2015年第2四半期にホテルグループのMarriottが同社ブランドホテルの一部に同技術をベースにした充電装置を展開していくほか、複数の会社が自社施設や製品でのサポートを表明している

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