GeForce GTX 960のために開発した“GM206”コアは、GeForce GTX 980などで採用する“GM204”コアと同じ、第2世代のMaxwellアーキテクチャを踏襲している。この第2世代のMaxwellアーキテクチャは、複数のCUDAコアをひとまとめにしたSM(Streaming Multiprocessor)の構成を見直し、より効率的にCUDAコアを利用できるようにすることで、同じCUDAコア数でも処理性能の向上を実現した。
従来のKeplerアーキテクチャでは、192基のCUDAコアでSMXを構成していたのに対し、Maxwellアーキテクチャでは128基のCUDAコアでSMを構成するとともに、SM内を32コアごとにPB(Processing Block)と呼ぶGPU処理の実行単位を設け、4つのPBにコントロールロジックとなるWarpスケジューラと2つの命令発行ユニット(ディスパッチユニット)、64Kバイト(16384×32ビット)のレジスタファイルを割り当てることで、命令発行の大幅な効率化を図っている。
GeForce GTX 960で採用したGM206コアでは、SMを8基、計1024基のCUDAコアを統合するとともに、成熟したTSMCの28ナノメートルプロセスルールを採用することで、動作クロックを従来の同レンジのGPUより高めることで、パフォーマンスアップを図っている。
NVIDIAでデスクトップGPUのプロダクトマーケティングを担当するGeForce Senior Product Managerのジャスティン・ウォーカー氏によれば、「GeForce GTX 660(GK106)と比べて、同等のパフォーマンスであれば2倍の電力効率を実現している」と説明する。
負荷の低いMOBA(Multiplayer Online Battle Arena)ゲームなどでは、GPUの消費電力を30ワット程度にまで低減できるため、ファンを停止させるセミファンレス動作も可能だとして、「League of Legends」の実働デモで、複数のGeForce GTX 960搭載グラフィックスカードで採用したセミファンレス動作を実演した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.