「Atom x3/x5/x7」「XMM 7360」「セキュリティ」でIntelが挑む2つのモバイルトレンドMobile World Congress 2015(1/2 ページ)

» 2015年03月03日 10時00分 公開
[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]

「Cherry Trail」「SoFIA」でバリュークラスデバイスへの道が開いたIntel

 米Intelは3月2日(現地時間)、スペインのバルセロナで開催されているMobile World Congress 2015(MWC 2015)においてプレスカンファレンスを実施し、「Atom x7」「Atom x5」「Atom x3」の各製品ラインアップと下り最大450Mbpsのキャリアアグリゲーションに対応したLTEモデム「XMM 7360」を発表した。

 モバイル業界が現在のITトレンドを牽引しているのは間違いないが、PC業界の覇者であるIntelが今後も成長を続けるためには、このモバイルの波にうまく乗ることが重要となる。プレスカンファレンスで登壇した米Intel CEOのブライアン・クリザニッチ氏は、同社がモバイルの世界で目指すべき戦略について説明を行った。

 現在、モバイル業界トレンドには2つの大きな流れがある。従来までノートPCが中心だったモバイルの世界は、現在ではスマートフォンとタブレットが大きな比重を占めつつあり、さらに将来的にはさまざまな機器がインターネットに接続して、多くのニーズに応えるソリューションが必要となる。さらにインターネット接続可能な機器が爆発的に増えることで、その間でやり取りすデータ量も倍々ペースで増加するため、これを収容可能な高速通信が求められるようになる。

現在49億台というインターネット接続可能なデバイスの数は2020年には500億と一気に10倍へと成長が見込まれている。それに伴い、インターネット上を行き交うデータ量は年率2倍の成長を想定していという。ここがIntelの狙う市場だ

 Intelはこの2つのトレンドに対して3つのアプローチで挑もうとしている。1つは同社の主力ともいえるプロセッサ、2つ目はソフトウェアを含む周辺ソリューション、3つ目はネットワークのバックボーンやデータセンター向けのインフラだ。

 従来まで、低消費電力プロセッサのAtomシリーズにはIntelの持つ最新世代のプロセスルールではなく、1〜2世代前のプロセスルールを用いるケースが多かったが、今回発表した「Atom x7」「Atom x5」は、同社が2014年に立ち上げた14ナノメートルプロセスルールをAtomシリーズで初めて採用した。また、グラフィックスコアは、Coreプロセッサー・ファミリーと同じBroadwell世代の“Gen 8”を統合しており、Atomの従来モデルと比べて2倍のパフォーマンスを実現するという。

発表した新ブランドの「Atom x5」「Atom x7」シリーズ。Atomとして初の14ナノメートルプロセスルールを用いたSoCで、“Broadwell”世代のCoreプロセッサー・ファミリーと同じグラフィックスコアを統合して3D描画能力が倍に向上したのが特徴だ

 開発コード名で「Cherry Trail」と呼んでいたAtom x7、Atom x5シリーズは、省電力と高パフォーマンスを同時に実現するハイエンドからボリュームゾーンの軽量薄型2in1 PC、または、ハイエンドタブレットへの搭載を想定している。すでに6社が搭載製品の開発を表明しており、2015年前半にも市場に投入する見込みだ。

米Intel CEOのクリザニッチ氏が手に持つのは最新世代のAtomを搭載したタブレット

 一方で、2014年のMWCで発表したものの、なかなか開発が当初予定のように進まなかったのが開発コード名「SoFIA」と呼んでいたプラットフォームだ。通常のSoCに加え、モデムも統合したチップセットになっているのが特徴で、3G/4G通信が可能なタブレットやスマートフォンの中で、主に中国や途上国向けのエントリーモデルに搭載することをターゲットにしている。今回の発表で、SoFIAは「Atom x3」シリーズとなって、3G対応版(Atom x3-C3130)、2014年5月に提携したRockchip版3Gモデル(Atom x3-C3230RK)、LTE対応版(Atom x3-C3440)が登場した。

3G/LTEモデムを統合したスマートフォやタブレット向けの「Atom x3」は、主にローエンド領域のデバイスにおけるシェア確保が目的だ

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