SOHOや中小企業向けのプリンタ市場はビジネスインクジェットの台頭で多様化が進み、インクジェットとレーザーの特性を理解して製品選びをすることが重要になってきた。それでは、どのような製品を選択すべきなのだろうか。
かつてビジネスシーンにおけるプリンタと言えば、レーザープリンタが花形だった。印刷速度は速く、文字はしっかりくっきりと印字され、印刷の保持性能も高いというレーザープリンタの特徴は、業務の効率化と信頼性の確保に大いに役立っていた。
しかし、こうした話も今は昔。ここ数年でビジネス向けの高性能なインクジェットプリンタが続々と登場し、レーザープリンタと並んで、SOHOや中小企業を中心に導入が進んでいる。ビジネスインクジェットが伸長した主な理由は、第一にプリントエンジンやインクの改良によって、業務用途にも十分に耐え得る品質と保持性能を得たこと。第二にはSOHO/中小企業などオフィス環境の多様化によってニーズも変化したことだ。
例えば、一度に大量印刷はしないが、数枚のA3カラー出力が度々発生するといった環境では、本体価格、ランニングコストとも低く抑えられるインクジェットのほうが適している。また、設置スペースや電気代が気になるホームオフィスでも、比較的小さく省電力なインクジェットが優位に立つ。
もちろん、インクジェットがすべての面でレーザーを超えたわけではなく、大部数の出力速度はまだまだレーザーが有利だ。それゆえにレーザープリンタは大量印刷を想定した機構や耐久性も備えた製品が多く、膨大な量の印刷を日常的に行う環境ではレーザーのほうがトータルコストを抑えやすい面もある。
要は使用環境に合った取捨選択が重要なのだが、ユーザーニーズの多様化に伴い、プリンタメーカーの製品ラインアップも細分化しており、合致した1台を探すだけでもなかなか手間がかかるだろう。ビジネス向けプリンタ/複合機におけるインクジェットとレーザーの特徴を以下にまとめたので、参考にしていただきたい。
ビジネス向けプリンタ/複合機における印刷方式の違い | ||
---|---|---|
印刷方式 | インクジェット | レーザー(LED含む) |
メリット | 本体価格(導入コスト)が安い 少部数の印刷が得意 特にカラーで普通紙印刷のコストが低い 消費電力が低く、稼働音も小さめ 専有面積が比較的小さい インクカートリッジなど消耗品が少なく、交換しやすい |
大量部数を安定して高速に印刷できる 普通紙でも再生紙でもシャープな印刷品質 大容量給紙が可能な製品が多い 消耗品は大型で数も多いが、交換頻度は低い 本体の耐久性が高い |
さて今回は、インクジェットとレーザーそれぞれの特長を生かしたおすすめ製品の具体例として、SOHO/中小企業向けのプリンタ製品で豊富な実績があり、魅力的なラインアップを展開しているブラザーの複合機に注目した。
その中から、ビジネスインクジェットシリーズのA3カラー対応複合機「MFC-J6970CDW」および「MFC-J5720CDW」、レーザープリンタ「JUSTIO(ジャスティオ)」シリーズのA4モノクロ複合機「MFC-L2740DW」をピックアップして見ていこう。いずれもプリント、コピー、スキャン、FAXに対応した複合機だが、それぞれに特徴がある。
「MFC-J6970CDW」は、ビジネスインクジェットシリーズのA3カラー対応インクジェット複合機だ。A3サイズのスキャンエンジンとプリントエンジンを併載するとともにFAX機能も備えており、SOHO環境のみならず数人で共用する中規模オフィスに設置しても十分な活躍が期待できる。
プリントエンジンはインクジェット複合機としてはかなり高速で、A4カラーで約20ページ/分、A4モノクロは約22ページ/分というレーザープリンタに肉薄するプリントスピードを備える。もちろん、用紙コストを節約できる自動両面プリントも可能だ。
給紙容量にも余裕があり、最大で501枚もの給紙に対応する。メインの給紙トレイは250枚トレイの2段構成になっており、2段ともサイズは可変(最大A3)のため、異なるサイズの用紙を使い分けたい環境にも問題なく導入できる。また、背面には手差しトレイもあり、厚手の用紙や封筒の印刷もこなす。
さらに、自動両面プリントとともに、ADFに両面同時スキャン機能を装備している点も見逃せない。これらが最も効力を発揮するのは両面コピーの際だ。
両面コピーは紙資源の節約に有効だが、片面ずつの読み取りだと、原稿を表と裏で2回セットしなければならないため、面倒に感じてしまう。また、両面スキャンに対応した機種でも、ADFが引き込んだ原稿を内部でひっくり返して片面ずつ読み取る機構(スイッチバック)では、処理時間がかかり、紙詰まり発生のリスクも高まる。
しかし、両面用に2基のスキャナを内蔵したMFC-J6970CDWならば、1回の紙送りで表と裏を同時に読み取れるので、両面コピーも一切手間がかからない。これは作業効率の面でも、コスト低減の面でも有用な機能だ。
ADFには最大35枚まで原稿をセットでき、コピーやスキャンに加えて、A3での両面FAX送信にも対応する。さらに、ADFにA4原稿を横置きでセットするADF高速モードを使えば、スキャンスピードを大幅に向上できるのは見逃せない。これはA3スキャナ搭載機だからできるMFC-J6970CDWの大きなメリットだ。
インクはCMYKの4色(染料3色+顔料ブラック)を使用する。4本セットのお買い得パックも用意しているので、ランニングコストを抑えたい方はうまく活用するとよいだろう。印刷量が多い環境ならば、大容量タイプを用いることでランニングコストとインク交換の手間を一挙に低減できる。大容量タイプ利用時で、A4印刷1枚あたりのランニングコストはカラーが約6.3円、モノクロが約1.4円しかかからないのがうれしい。
印刷機能も多彩にそろえており、プリントやコピーの見やすさを確保しつつ、インクの消費を大幅に抑える「インク節約モード」や、カラーインクが切れた場合に黒インクだけで印刷を行う「クロだけ印刷」などを用意。かゆいところに手が届く印象だ。
また、FAXについてもPC上で受信データを閲覧できる「みるだけ受信」、受信データを指定したメールアドレスに自動転送する「ファクスEメール転送」など、印刷コストを抑えてくれる機能が豊富だ。ペーパーレス化は進めているが、まだFAXは廃止できないといった昨今の職場事情に応えている。
さらに、昨今のトレンドであるスマートデバイスやクラウドサービスとの連携も充実している。無線LANルータなしで接続できるWi-Fi Direct®、NFC搭載スマートデバイスからワンタッチでプリントやスキャンが行える「タッチ de プリント&スキャン」、AirPrint、iOS/Android端末用の無料のブラザー専用アプリ「Brother iPrint&Scan」などの独自機能を用意するほか、Google Cloud Printといった他社のメジャーなクラウドプリントサービスにも対応する。
近ごろはPCだけでなく、スマートフォンやタブレットの業務活用も増えつつあるが、MFC-J6970CDWならば複合機との接続に困ることはなく、安心してスマートデバイスの導入を進められるだろう。
これだけ豪華な性能と機能を凝縮しているだけに、さぞや高価と思われるかもしれないが、大手量販店での実売価格が税込4万5000円前後(PC USER調べ)とコストパフォーマンスは優秀だ(2015年3月5日現在の税込価格、以下同)。本体サイズは553(幅)×433(奥行き)×310(高さ)ミリにおさまっており、A3カラー両面対応のプリンタとスキャナを搭載した複合機ではコンパクトに設置できるのも見逃せない。
A3サイズのプリント、スキャン、コピーが主体のSOHOや中小企業に強くおすすめできる“全部入り”の1台だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
提供:ブラザー販売株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia PC USER 編集部/掲載内容有効期限:2015年3月31日