「MFC-J5720CDW」もA3カラープリントが可能なインクジェット複合機だ。ただし、スキャンとコピーはA4までの対応となる点が、MFC-J6970CDWと大きく異なる。2015年1月に登場したばかりの新鋭機だけあって、独自の魅力をいくつも備えているのがポイントだ。A3スキャナが必須という環境でなければ、むしろMFC-J5720CDWのほうが本命になるだろう。
MFC-J5720CDWのA3プリント機能は充実しており、最大506枚(A4時は581枚)もの余裕ある給紙容量を備えるため、A3出力がメインの環境でも問題ない。その給紙機構は、実は上位のMFC-J6970CDWよりハイスペックだ。2段式の給紙トレイに各250枚、多目的トレイに80枚(A4は80枚、A3は5枚、封筒20枚、はがき50枚)、手差しトレイに1枚をセットできる。前面の2段給紙トレイはそれぞれスライド式の可変サイズになっており、A3までの用紙を収納可能だ。通常は上段をA4、下段をA3と使い分けることになるだろう。
そして何よりも大きな利点は、そのコンパクトなボディにある。490(幅)×345(奥行き)×308(高さ)ミリというサイズは、A3機というよりはA4機に近い。普段はA4用紙のみを使うならば、デスクサイドプリンタとして省スペースに設置できる。さすがに給紙トレイをA3サイズに伸ばし、背面のマルチパーパストレイを引き出すと奥行きは増してしまうが、それでもA3機としては小柄な部類だ。
小型のボディを実現していながらも、印刷機構はMFC-J6970CDWと同等かそれ以上の性能を有する。印刷速度はカラー約20ページ/分、モノクロ約22ページ/分でMFC-J6970CDWと同等、自動両面プリントに加えて、ADFの両面同時スキャン機能も搭載した。ADFにセットできる枚数は、MFC-J6970CDWを上回る50枚を確保しており、より大量の書類を素早く一気に電子化あるいはコピーできるのがありがたい。
それでは印刷機能はどうだろうか。こちらもMFC-J6970CDWが持っている「インク節約モード」や「クロだけ印刷」などの機能を網羅しており不満がない。スマートデバイスやクラウドサービスとの連携も同様だが、新機能として受信したFAXデータをクラウドに転送し、外出先からFAXの内容確認や、共有が行える「FAXクラウド転送」機能まで備えている。仕事にFAXは必須だが、小規模オフィスで常駐スタッフがいないような職場環境では、願ってもない機能だろう。
このようにMFC-J5720CDWは、A4機並みのサイズながら、A3プリンタとして遜色のない性能を備えている。しかも2段給紙トレイと多目的トレイ、手差しトレイを活用すれば、用途に合わせたサイズや種類の印刷ができるだろう。このスペックで実売価格は税込4万円前後(PC USER調べ)と、MFC-J6970CDW同様、コストパフォーマンスは優秀だ。
一方、JUSTIOシリーズの「MFC-L2740DW」だが、こちらはA4対応のモノクロレーザー複合機となる。カラーのプリントやコピー、A3サイズには対応しないが、大部数のA4モノクロプリントでアドバンテージを発揮する製品だ。
やはりレーザープリンタの身上は、一にも二にも高速な印刷速度にある。インクジェットの速度は向上しているものの、原稿の種類によって印刷速度に影響が出る。やはり大人数に配る書類を一気に準備するとなると、レーザーとインクジェットの差は大きくなる。
ビジネスシーンでは、大人数の会議や商談、イベントの資料、販促、広報の配布物、試験、研修など、複数部の大量印刷を行うシーンが多い。レーザプリンタが今もなおビジネスで広く使われているのは、このような理由からだ。
しかし、速さが特徴のレーザプリンタであっても、これまでSOHO/中小企業向けの製品は22〜27ページ/分程度のプリントエンジンが占めていた。実際に同社の従来モデル(MFC-7460DN)も26ページ/分のエンジンを採用していたのだが、2015年1月に発売されたMFC-L2740DWではこれを一気に30ページ/分にまで引き上げている。
それでいて、実売価格は従来と同程度の税込4万円前後(PC USER調べ)を維持しているのだから驚きだ。ほんの数年前なら、単機能のプリンタでもここまで安くはならなかった。モノクロながら30ページ/分と明らかにインクジェットより高速なスペックの複合機で、手頃な価格におさめていることで、MFC-L2740DWの魅力はぐんと高まっている。
複合機なだけにプリントエンジンが高速化すれば、コピー機能も高速化するのは必然だ。ブラザーの挑戦はプリントエンジンのみにとどまらず、スキャンエンジンにも手を入れてきた。同社のモノクロ複合機にADF(35枚)の両面同時スキャン機構を組み込み、スキャンとコピーの高速化も果たしたのだ。もちろん、自動両面プリントは従来機から継承しているので、両面コピーが手軽に利用できる。この価格では大盤振る舞いだ。
A4モノクロ印刷に限定した複合機なので、給紙機構は1段トレイ250枚に手差しトレイ1枚とシンプルな構成にまとまっている。そのぶん、本体サイズは409(幅)×398.5(奥行き)×316.5(高さ)ミリと、コンパクトに設定できる点に注目したい(前述のMFC-J5720CDWより横幅が81ミリ短く、奥行きが53.5ミリ長い)。
ビジネスインクジェット同様、スマートデバイスとクラウド連携にも注力しており、iOS/Androidアプリ「Brother iPrint & Scan」が利用可能。また、AirPrintやGoogle Cloud Print、Wi-Fi Direct®といった機能も押さえている。こうした機能はインクジェットに比べて、レーザーが遅れがちな分野なだけに、SOHOや中小企業では便利に感じる方も多いのではないだろうか。
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提供:ブラザー販売株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia PC USER 編集部/掲載内容有効期限:2015年3月31日