今回の検証は、GeForce GTX TITAN Xを、GeForce GTX 980、および、Kepler世代のGeForce GTX TITAN Blackと比較してみた。検証環境は、Core i7-4790K(4GHz/最大4.4GHz、4コア8スレッド、3次キャッシュメモリ8Mバイト)、および、Intel Z97 Expressチップセット搭載マザーボードとした。
評価作業で使ったシステムの主な構成 | |
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CPU | Core i7-4790K |
定格クロック | 4GHz |
ターボクロック | 4.4GHz |
システムメモリ(速度) | DDR3-1600 8Gバイト×2 |
マザーボード | ASUSTeK Z97-PRO GAMER |
チップセット | Intel Z97 Express |
ストレージ | Crucial MX200(Serial ATA 3.0、1TB) |
OS | 64ビット版 Windows 8.1 Pro Update 64bit |
電源 | Seasonic SS-1000XP(80PLUS Platinum、1000W) |
3DMarkでは、比較したGPU中の最高スコアをたたき出している。Ice StormやIce Storm Extremeのスコアには(例えばGraphicsスコアにおけるGeForce GTX 980とTITAN Blackがほぼ同スコアという頭打ちに見える結果のように)、ストレートには信用できない点があるが、そのほかの結果を見る限り、GeForce GTX TITAN Blackに対しGeForce GTX 980がスコアを更新し、それを大きく上回る形でGeForce GTX TITAN Xが位置する傾向が確認できる。特にFireStrike以上の高負荷テストで、総合的に高負荷をかけるCombinedテストの結果において、GeForce GTX 980やTITAN Blackと比べ、大きなアドバンテージを持つようだ。テッセレーション性能を見るUnigine Heavenテストにおいても、傾向は同様といえそうだ。
ゲームタイトルを使ったベンチマークテストについては、Battlefield 4、Metro: Last Light、トゥームレイダー、Theifという今回選択した4タイトルに関しては、4K解像度においてGeForce GTX 980とTITAN Blackとの間の差はほとんどないが、GeForce GTX TITAN Xだけが頭ひとつリードしているといっていいだろう。フレームレートが大きく向上しているのが分かる。各タイトルで10fps程度フレームレートが向上している。Battlefield 4こそ、ハイエンドゲーム環境で1つの指標となる60fpsを満たすことが出来なかったものの、そのほかの30fpsで十分にプレイアブルなタイトルに関しては30fps台をしっかり超えてきている。
GeForce GTX TITAN Xを購入するユーザー層と重なるのかどうかは微妙だが、軽量なMMOタイトルのファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編でのテストでは、スコアで見ても4K解像度でGeForce GTX 980比35%程度の向上、フルHDでも2割程度の向上が確認できた。4K解像度におけるGeForce GTX TITAN Xのフレームレートは60.901fpsを記録しており、もはやオーバースペックといえる値だ。なお、GeForce GTX 980でも44.138fpsだったので、こちらも十分快適にプレイ可能だ。
消費電力に関しては、GeForce GTX TITAN XはTITAN Blackとほぼ同等という結果となった。TDPが同じであるため当然、というよりもTDP枠内で最大のパフォーマンスを求めた結果だろう。ただし、パフォーマンスはここまでの結果の通りで、Kepler世代でも電力と性能比はそれ以前と比べ大きく向上したわけだが、Maxwell世代のTITAN Xはさらに大きく更新したことを証明してみせた。
GeForce GTX 980は、TITAN Blackを上回るパフォーマンスを出しつつピーク時の消費電力はTITANシリーズの2製品と比べて80ワットほど低く、これもMaxwell世代の電力性能比の高さを示す結果となった。
最後に、GeForce GTX TITAN X対TITAN Blackの、CUDA-Zを用いたGPGPU性能比較を紹介しておこう。注目は、GPU Core Performanceのパートだ。まず、Single-precision Floatに関しては、TITAN Xが大きく上回っており、ほか、32-bitと24-bitの両IntegerもTITAN Xが高いスコアを見せた。一方、Double-precision Floatに関してはTITAN Blackが高いスコアだった。
この比較は、いわばMaxwell対Keplerの設計思想の違いを示したものと言えるだろう。Maxwellでは倍精度浮動小数点演算性能のみ若干落ちた。ただ、スコア的にはまずまずの高さを保ちつつ、単精度浮動小数点演算性能、整数演算性能を中心に性能向上を実現している。
GeForce GTX TITAN Xは、これまでのTITANシリーズ同様、北米での実売価格は999ドルになる。ここのところの円安により、国内での価格もこれまでのTITANと比べると高くなる可能性がある。ただ、購入層はエンスージアストユーザーと、TITAN XをGPGPUエントリーとして捉える演算用途のユーザーであるため、ある程度まで高くても購入してくれる可能性は高い
ゲーミングパフォーマンスで見れば、1920×1080ピクセルまでのフレームレートは、垂直同期144Hz対応のゲーミング液晶ディスプレイや、さらなる高画質を追求できるレベルといえる。特筆すべきは4K解像度でのパフォーマンスだ。Battlefield 4に関しては、それでも40fps近く出ているのでプレイ自体は可能だが、画質を「高画質」に落とせば60fpsを狙える。ほかのタイトルに関しては30fpsを超えるため、現行タイトルの多くがGeForce GTX TITAN X 1枚だけで楽しめそうだ。
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