MX Masterの接続方式はUnifyingとBluetooth Smartの両方に対応。Unifyingは2.4GHz帯を利用したロジクールの独自接続方式で、USBポートに接続したUnifyingレシーバーに対応するマウスやキーボードを6台まで接続することができる。MX Masterにはペアリング済みのUnifyingレシーバーが同梱されているが、導入済みのUnifyingレシーバーがあれば「Unifyingソフトウェア」からMX Masterを追加することも可能だ。
Bluetoothは省電力版のBluetooth Smart対応。Bluetooth SmartはBluetooth4.0以前とは互換性がなく、Windows 8からのサポートとなっている。その一方でAndroid、iOSなどでは標準対応しており、2系統の接続方式をサポートすることでBluetooth Smart非対応のWindows 7からUSBポートのないスマートフォンやタブレットまで利用可能になっている。
この対応機種の幅広さをさらに便利にしているのがEasy-Switchだ。3つまでの接続を記憶させておき、底面のボタン1つで切り替えることができる。タブレットのためだけにMX Masterを購入するのはちょっと……と思う人でも、デスクトップPC、ノートPC、タブレットで共有できるとなれば購入検討に入ってくるのではないだろうか。
MX Masterは大型のマウスであり、万人にとっての「正しい持ち方」はない。
例えば、ステルスサムボタンをデフォルトのままジェスチャーボタンとして使うと、筆者の場合は非常に使いづらかった。親指でマウスを下に押し付けつつ、前後左右に動かすのは力の入れ具合が分からず、相反する動きを親指とそれ以外で行なっているような感覚だった。
ところがマニュアルシフトボタンを上面四角ボタンに割り当てると途端に快適になった。これはつまみ持ちに近い形で操作ができるからだろう。このように持ち方や手の大きさによって使いやすいボタン配置はまったく違う。
PCの上級者はショートカットキーを多用するが、MX Masterのような多ボタンマウスでは同様のショートカットアクションをボタン1つ(あるいはジェスチャー一発)で実行することができる。だが、どんな機能を、どのボタンに登録するべきかはアプリケーションの使い方、マウスの持ち方など、個人個人でまったく異なる。必ずしもすべての機能・ボタンを使う必要はない。ぜひ、自分だけのセッティング、自分だけのポジションを見つけてもらいたい。
また、今までこのようなハイエンドマウスを使ったことがない人は、販売店などで一度触ってみることをおすすめする。現在、PCの性能は非常に高くなっており、一般的な事務作業やメディアの視聴程度では安価なPCでも不満を感じることは少なくなっている。
そこにもうひとつ上の「快適さ」「満足度」を得ようとするなら、マシンスペックのアップよりもヒューマンインタフェースの向上が効果的な場合もある。性能を求めないから、と安価なPCを買うのは理にかなっているが、ヒューマンインタフェースの使い心地も同時に落とす必要はない。PCを替えても毎日使い続けられる、手に馴染んだ一品は価格以上の満足をもたらすはずだ。
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