問題となるのは、Project Centennialで変換後のUWPアプリの挙動だ。もともとデスクトップアプリケーションとしての動作を想定して記述されているため、ローエンドのデバイス、例えばミッドレンジ以下のスマートフォンでどの程度動作するのかを考えなければいけない。
またセキュリティに関わること以外はほぼ何でも可能なデスクトップアプリケーションに対し、UWPアプリではスマートフォンアプリのような動作を受け入れなければいけない。具体的にはマルチタスクの動作に関する制限で、アプリ切り替え時におけるスリープ/レジューム動作をサポートしなければならない。
UWPでは、バックグラウンドにまわったアプリは一定時間後にスリープ状態に入り、(時間の経過や特定のイベント発生などの)トリガーやフォアグラウンドへの復帰まではレジュームしない。もしダウンロードなど継続的な処理が必要な場合や、タイマーアプリで一定時間経過後の復帰が必要な場合には、あらかじめOSに対してその旨を通知しなければいけない。
この辺りの変換時の差異をどこまで吸収できるのかが、Project Centennialのポイントになるだろう。
いずれにせよ、MicrosoftはWindows 10の世代で従来型のデスクトップアプリケーションを含め、すべてのUWPへと移行していきたいのだと筆者は考えている。だが、WindowsがWindowsたる由縁であるデスクトップアプリケーションは同社最大の資産であり、同時にレガシーの最たるものだ。
今回はAndroidとiOSアプリを変換するProject AstoriaとProject Islandwoodが注目を浴びたが、どちらかと言えばProject CentennialこそがWindows 10成功の鍵を握っているのではないかと予想する。Webアプリケーションを取り込むProject Westminsterと合わせ、Windowsストアをいかに充実させるかが、Windows 10デビュー後1〜2年の課題だ。
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