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「VAIO Z Canvas」の圧倒的パフォーマンスを徹底検証するVAIO Z/Pro 13と横並び比較(5/7 ページ)

» 2015年05月22日 17時00分 公開

バッテリー駆動時間はなかなかの健闘ぶりか

 公称のバッテリー駆動時間は、JEITA 2.0測定法で約6.7〜7.6時間、JEITA 1.0測定法では約7.2〜8.5時間だ。TDP 47ワットのCore i7 Hプロセッサを搭載するモデルとしては、異例の長時間バッテリー駆動と言える。

 内蔵のリチウムポリマーバッテリーは容量が63ワットアワーと、こちらもタブレット/モバイルノートPCとしては非常に大容量だ。コンパクトなボディの中でバッテリーの搭載スペースを確保するため、VAIOの得意とする高密度実装技術が生かされている。

内蔵バッテリーはユーザーが交換できない仕様だが、有償で交換サービスが用意されている。付属のACアダプタ(65ワット)は、実測でのサイズが45(幅)×105(奥行き)×27(高さ)ミリ、重量が本体のみで196グラム、ケーブル込みで239グラムだった。TDP 47ワットのCore i7 Hプロセッサを搭載したマシンのACアダプタにしては、持ち運びやすいサイズにおさまっている

 バッテリー駆動時間の計測は、Webブラウズとテキスト入力を想定したテストのBBench 1.01(海人氏)で行なった。無線LAN(IEEE802.11ac)で常時接続し、60秒ごとにWebサイトを巡回(10サイト)、10秒間隔でテキスト入力を行なう設定で行っている。電源プランは「バランス」、「CPUとファンの動作モード」は「パフォーマンス優先」で、バッテリー駆動時のディスプレイの輝度は40%で固定した。

 この条件でバッテリー満充電から残り5分で休止状態に入るまでの駆動時間は、6時間28分だった。JEITA 2.0での公称値に近いテスト結果で、ハイパフォーマンスで消費電力が高いシステムの割に健闘していると言える。ちなみに、省電力を追求したプラットフォームを採用していないため、InstantGoは非対応だ。

BBench 1.01で計測したバッテリー駆動時間の比較

難度の高い放熱設計ながら騒音と発熱はコントロールできている

 動作音と発熱については、「CPUとファンの動作モード」別に計測した。アイドル時および低負荷時はどの設定でも無音に近い。耳を近づけるとファンは確かに回っているのだが、回っていないのではないかと思えるくらい、耳障りな音は抑えられている。

 高負荷時については、「パフォーマンス優先」設定ではそれなりに大きな音がする。ただ、それでも過去のソニー時代のハイエンドモバイルノートPCと比べると音圧はずいぶんと控えめで、音質もキーンという金属がスレるような高周波音が抑えられており、随分とマイルドな印象だ。

 「CPUとファンの動作モード」を「標準」にした設定では、ファンが動作しているということが分かる程度、「静かさ優先」では低負荷時とほとんど変わらないくらいの静かさだった。これらの設定ではパフォーマンスもそれなりに低くなるが、メリハリのある設定はユーザーからすると分かりやすく、好感が持てる。

 VAIO Z Canvasでは3基の冷却ファンと超薄型ヒートパイプを2本立体交差させるという凝った冷却機構を採用している。3基のファンは低回転で、個別に周波数制御を行うことでうなり音を抑制しているというが、その成果はテストでもしっかり現れていた。

動作音の計測結果。騒音計はPC本体の手前5センチに設置した。暗騒音は32デシベル、室温は25度

 ボディの発熱については、横位置で上部の排気口付近を中心に熱を帯びるが、本体を握った際に手が多く触れる背面は比較的抑えられている。製品の性質上、手で持ったまま高負荷をかけて使う場面自体がほとんどないと思われるが、夏場でも熱くて持てないようなことはなさそうだ。

 もちろん、設置する場所があれば、内蔵スタンドを使って立てて置けばいい。このスタンドはよくできており、無段階にチルト角度調整が行えるうえ、傾けた状態のまま手を画面につけてペンで描いても、後方に倒れないほどしっかり固定される。クリエイター目線でよく練られた設計だ。

ボディ発熱の計測結果。3DMark/SkyDiverを3回連続で実行し、放射温度計でボディ表面温度を計測した。室温は25度だ
VAIO Z Canvasの内部構造。大型のファンを3基内蔵し、プロセッサに装着した超薄型ヒートパイプを2本立体交差させた強力な冷却機構を独自に開発し、搭載している。容量63ワットアワーのバッテリーは、縦位置に配置したユニークなレイアウトだ。TDP 47ワットのCPUを搭載するための大がかりな冷却機構と大容量バッテリーをコンパクトボディにおさめるのには、VAIOが誇る「高密度実装技術」と「放熱設計技術」を組み合わせた、いわゆる「Z ENGINE」が大きく貢献している
大きめの内蔵スタンドは、上から下に開く構造だ。無段階にチルト調整ができるうえ、少し力を加えてペンで描いたくらいでは後ろに倒れない

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