ところで、Collabtiveで使用しているMySQLのデータベースはどこにあるのだろうか。
ASUSTOR NASはLinuxをベースとした独自OS「ADM」で動いている。とは言ってもほとんどの設定や操作はWebブラウザからできるため、通常の利用・管理であればそのことを知らなくても困ることはない。
だが、一般的な利用を超えた深い使い方をするのであれば、ブラウザベースのGUIの裏で実際にはどういったコマンドやサービスが実行されているのかを知っておくと便利だ。ASUSTOR NASはOSの管理者であるrootでコンソールにログインすることができるので、脱獄のようなメーカー不推奨の方法を取る必要はない。
まず、ADMのサービスから端末を選択、SSHサービスを有効にする。SSHはTeraTermなどの端末エミュレーターなどから利用できる端末サービスだ。通信経路を暗号化し、盗聴しても通信内容が解読できないようになっており、Telnetに代わって広く利用されている。同じページにはSFTPサービスの設定もあるが、SFTPはSSHの機能を利用したファイル転送サービスであり、こちらはFTPに代わって使われるようになったものだ。
ファイルの転送だけであれば、Windowsのファイル共有など、NASの機能を利用することで簡単に実現できる。だが、このときにアクセスできるディレクトリは共有フォルダとなっているもののみ。SFTPでアクセスした場合にはディレクトリの共有状況に関わらず、root/adminユーザに許可されたすべてのディレクトリにアクセスすることができる。もっとも、転送元/先には共有フォルダを使用し、SSHでASUSTOR NASのファイルシステムを直接操作して目的のディレクトリに(から)移動するという方法でも問題ない。
SSHサービスを有効化したら、ASUSTOR NASにSSH接続する。定番のTera Term Proなど、すでに端末エミュレータをインストールしている人はそれを使えばよいが、もう1つ選択肢がある。それがShell In A Boxだ。
Shell In A BoxはWebブラウザ上で動作する端末エミュレータで、クライアントにアプリケーションをインストールする必要がない。インストールはApp Centralから行い、ADMデスクトップのShell In A Boxアイコンから起動する。新しいウィンドウが開いてログインプロンプトが表示されるので、ID:rootもしくはadmin、パスワードはadminのものを入力する。
LinuxをベースにしたNASキットではシステム容量を抑えるため、組み込み用途同様コマンドを絞っている場合が多い。ASUSTOR NASでもシェルおよび利用頻度の高いコマンド群はbusyboxが利用されている。
ASUSTOR NASにインストールされているbusyboxは1.3メガバイトのバイナリ実行形式ファイルだが、300以上のコマンドの機能を持つ。バイナリ形式のコマンドが置かれている/sbin、/bin、/usr/sbin、/usr/binに分散した300以上のコマンドが/bin/busyboxのシンボリックリンクになっている。コマンドによっては使用頻度の高いオプションのみをサポートしている場合もあるので注意してほしい。
ストレージマネージャー上でvolume1と表示されているボリュームは/volume1に相当する。その直下に各共有フォルダが配置されるが、MySQLのデータファイルは「.」で始まる隠しディレクトリ、「/volume1/.@mysql/」以下に作られる。
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