2基のUSBでいろいろ使えるスティック型PC「Diginnos Stick DG-STK1」を試す実売価格2万円を切って買いやすい(2/2 ページ)

» 2015年05月29日 16時45分 公開
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低価格Windowsタブレットに迫る性能を実現

 DG-STK1の処理能力を、ベンチマークテストで検証してみる。検証で用いたベンチマークテストは「CINEBENCH R11.5」「PCMark 7」「3DMark」「CrystalDiskMark」だ。比較対象としては、マウスコンピューターのスティック型PC「m-Stick MS-NH1」のレビューで測定したスコアを使っている。このスコアは初期ファームウェアの機材だったので、最新のファームウェアを適用した場合はスコアが向上する可能性もあるので注意されたい。

 CPU性能を測る「CINEBENCH R11.5」において、DG-STK1はMS-NH1のスコアを上回っていた。MS-NS1もファンレス構成で、排熱の関係でCPUの動作クロックがいくぶん抑えられている可能性がある。一方、DG-STK1もファンレスであるが、金属製ボディの採用で放熱効率が高くなっていることがスコアが上回った理由の1つといえるだろう。

 PCの総合的な性能を測る「PCMark7」と3Dグラフィックスの性能を測る「3DMark」でも同様の傾向が出ている。なお、負荷が高い3DMarkの「Fire Strike」を実行すると、映像出力が途切れるなどしてベンチマークテストを完遂できないことがあった。本格的な3D処理など、CPUやグラフィックスコアに高い負荷をかけ続ける処理は避けるのが無難といえる。

 ストレージ性能を見る「CrystalDiskMark」では、リード処理とライト処理ともにMS-NH1より高いスコアになっていた。実際の利用でもストレージの読み込みや書き込みなどで待たされる印象はなく、2.5インチHDD搭載のノートPCあたりと比べると快適に使える。

ベンチマークテスト Digginos DG-STK1 m-Stick MS-NH1
CINEBENCH 11.529 CPU(pts) 0.91 0.84
PCMark 7 V1.4.0 PCMark score 2210 1927
Lightweight score 2075 1755
Productivity score 1583 1435
Entertainment score 1500 1171
Creativity score 4372 3311
Computetion score 5102 3580
System storage score 4016 3557
3DMark V1.2.250 IceStome 13377 10093
IceStome/Graphics 14202 14145
IceStome/Phisyics 11119 5041
IceStome EXTREME 8566 5885
IceStome EXTREME/Graphics 8164 8045
IceStome EXTREME/Physics 10354 3035
Cloud Gate 1116 1105
Cloud Gate/Graphics 1198 1197
Cloud Gate/Physics 901 872
CRYSTAL DISKMARK 3.03(1000Mバイト) シーケンシャルリード 176.0 168.9
シーケンシャルライト 70.05 35.45
ランダム512Kリード 158.1 155.8
ランダム512Kライト 54.06 28.07
ランダム4Kリード 11.92 7.946
ランダム4Kライト 11.98 4.777
4K QD32リード 19.40 10.97
4K QD32ライト 14.49 3.554

2基のUSBで利用場面がけっこう広がる

 DG-STK1のようなスティック型PCで気になるのは「どんな用途で使うのか?」だろう。本体自体は小型軽量で省スペースだが、使うにはHDMIを備えた外部ディスプレイが必須だ。

 HDMIでテレビにつなげる場合、LAN経由でNASやDLNA機器にアクセスして動画や音楽などを再生するネットワークメディアプレーヤーとしての利用方法が思いつく。DLNAクライアント機能を備えたPS3やBDプレーヤーなども便利だが、DG-STK1はより自由度が高い。

 DLNAクライアント機器では、MPEG-2 TSなどあまり一般的でない動画形式をサポートしてない製品もあるが、DG-STK1は“WIndowsを導入するPC”なので、コーデックをインストールすればほとんどのメディアファイルを再生できる。また、DLNAだけでなく、Windowsなどの共有フォルダ内のファイルも再生できるのは便利だ。

 ビットレートの高い動画ファイルの場合、IEEE 802.11gなどの無線LANではコマ落ちするケースもあったが、これは無線LAN環境の影響が大きい。DG-STK1ならば、いざとなったらUSBの有線LANアダプタを接続するという回避策も使える。これは、USB給電兼用のMicro USBが1つしかないタブレットPCではできない。

 PCをテレビにつないでゲームを大画面で遊びたいユーザーも多い。スティック型PCでは、最近のFPSやRTS、MMORPGなど3Dグラフィックスエフェクトを駆使したゲームを動かすには処理能力が足りない。一方、ブラウザゲームなど3D性能を必要としないゲームであれば実用的なフレームレートで動いてくれる。

 省スペース性を生かした超小型デバイスサーバとして利用する場合は、2基あるUSBに外付けHDDを接続してファイルを共有したり、複合機プリンタを接続して、スキャナ/プリンタサーバにすることも可能だ。サーバとして使う場合は、設定時だけディスプレイのHDMIに差して使い、普段は画面なしでも運用できる。OSが「Windows 8.1 with Bing」なので、リモートデスクトップのクライアント機能は装備していないが、「TeamViewer」などサードパーティ製クライアントを使えば別のPCから遠隔操作できる。

 ほかにも、会議室に持ち運んでプロジェクタに接続してプレゼンに用いたり、屋外用ディスプレイに接続してデジタルサイネージとして使うなど、活用方法はユーザーのアイデア次第だ。

標準でHDMI延長ケーブルとMicroUSB/USB変換アダプタが標準で付属する

 DG-STK1は約55グラムと軽量で持ち運びが容易なだけでなく、通常サイズのUSBとMicro USBを本体に搭載したことで高い拡張性を実現し、利用方法の可能性が広がった。実売価格は税別で1万6649円と購入しやすい。「とにかく買ってみていろいろ試してみたい」というユーザーには最適な1台、いや、「最適な1本」といえるだろう。

DG-STK1評価用機材の構成をデバイスマネージャーで確認する

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