前述のように、従来までのWindows Embedded製品群が、やがてはWindows 10 IoTへと収れんしていくことになるが、Windows Embedded Compactという製品はその後も併売され、統合のロードマップも示されていないのが気になるところだ。むしろ「アプリ移植のための手法」が示されているほどで、両者の間には明確な壁が存在する。
理由は不明な部分があるが、おそらくWindows 10で実現されたカーネルの統合では不都合が生じる可能性があり(スペックやアプリ実行環境上の理由)、現時点では完全な統合が見送られたのではないかと予想している。
もともとWindowsでの組み込み向けのプログラミングでは.NET Compact Frameworkが利用されてきたが、Windows 10 IoT Coreの実行環境はUWPであり、こうした部分の違いもあるのではないかと考えている。
Microsoftでは、.NET Compact Frameworkを直接OSとして実装する.NET Micro Frameworkという仕組みを提供しており、こちらはApache 2.0ライセンスでオープンソース化が行われている。.NET Micro Frameworkの特徴はより貧弱なマシンスペックでも動作するという点で、マイコンボードを使ったプログラミングではメジャーな開発手法だ。
互換性のないプラットフォームの併存ということになるが、既存のコミュニティや開発手法を生かすという意味で、Windows Embedded Compact(現行はWindows Embedded Compact 2013)が残されているのだろう。統合されているようで統合されていない、これが組み込み世界におけるWindowsの立ち位置なのかもしれない
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