Windows 10の先にあるSF映画みたいな近未来――「Microsoft Research Asia」探訪鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(2/4 ページ)

» 2015年07月03日 05時00分 公開
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近未来の社会に貢献する最新研究

 MSRAでは製品へと直接結び付くような研究開発以外にも、社会問題をテーマにした研究も数多く進められている。「データ集中型コンピューティング(Data Intensive Computing)」は、いわゆる「Internet of Things(IoT)」の名前で呼ばれるセンサーネットワークとクラウドの組み合わせでデータ解析を行い、各種問題の洗い出しや解決策の発見を目的の1つとしている。

 例えば北京だけを見ても、大気汚染や慢性化する交通渋滞は大きな社会問題であり、リアルタイムで大気汚染拡散の状況を予測するデータ解析(UrbanAir)や、車の渋滞状況分布からの都市整備の最適化などを研究例として紹介している。

MSRAはさまざまな研究開発テーマを抱えているが、そのうちの1つがセンサー装置による情報収集とビッグデータ解析だ。中国で大きな問題となっている大気汚染や慢性的な渋滞などを、技術の力で解決していく
リアルタイムで大気汚染拡散の状況を予測するデータ解析
渋滞状況の分布からの都市整備の最適化を検討

撮影後の処理で高機能を付加する「次世代マルチメディア」技術

 MSRAの研究テーマの1つである「次世代マルチメディア」にも注目だ。具体例としては、スマートフォンで撮影した動画や写真を後から処理し、手ブレ防止機能を付与したり、ノイズ除去が可能となっている。

 ここでのポイントの1つは「ポストプロセス(後処理)で高機能を付与する」という点にあり、ミドルレンジ以下の安価なスマートフォンの内蔵カメラで撮影した映像であっても、クラウドやPCを組み合わせた後処理で高度な手ブレ防止処理を施したり、あるいは暗所であってもノイズ除去できれいな映像を再現したりと、ハードウェア側の問題をソフトウェアとサービスでカバーできる。

撮影後に手ブレ補正と画像最適化を実現するシステム
最近、デジタル処理でスマートフォンのカメラアプリに手ブレ補正機能を導入するケースが増えているが、これを使うことで通常のHyperlapse映像では揺れが激しい移動中の撮影動画であっても、ほぼ揺れることなくスムーズな動画を実現する
また画像最適化の過程で、ノイズ除去が行われる。あまり高性能ではない(スマートフォン内蔵の)カメラで暗部にざわついているノイズも……
このように画像処理して、よりきれいな形で再現できる

 また、撮影した動画からそこに映っている物体が何かを把握するという「イメージ認識」技術も興味深い。現在はまだリアルタイム処理が難しいため今後の発展に期待だが、より高度なナビゲーションや映像編集ツール、イメージ検索機能への応用など、非常に楽しみだ。

画像解析により、動画内の物体が何であるかを分類する技術。左の画像から、右のような情報が得られる
スマートフォン上でのリアルタイム処理は現状難しいものの、比較的高速に20〜30程度のオブジェクト分類が可能とのこと
このように自然や建物だけでなく、犬も認識できる。近い将来にいろいろ面白い応用が期待できそうな技術だ

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