MSRAでは製品へと直接結び付くような研究開発以外にも、社会問題をテーマにした研究も数多く進められている。「データ集中型コンピューティング(Data Intensive Computing)」は、いわゆる「Internet of Things(IoT)」の名前で呼ばれるセンサーネットワークとクラウドの組み合わせでデータ解析を行い、各種問題の洗い出しや解決策の発見を目的の1つとしている。
例えば北京だけを見ても、大気汚染や慢性化する交通渋滞は大きな社会問題であり、リアルタイムで大気汚染拡散の状況を予測するデータ解析(UrbanAir)や、車の渋滞状況分布からの都市整備の最適化などを研究例として紹介している。
MSRAの研究テーマの1つである「次世代マルチメディア」にも注目だ。具体例としては、スマートフォンで撮影した動画や写真を後から処理し、手ブレ防止機能を付与したり、ノイズ除去が可能となっている。
ここでのポイントの1つは「ポストプロセス(後処理)で高機能を付与する」という点にあり、ミドルレンジ以下の安価なスマートフォンの内蔵カメラで撮影した映像であっても、クラウドやPCを組み合わせた後処理で高度な手ブレ防止処理を施したり、あるいは暗所であってもノイズ除去できれいな映像を再現したりと、ハードウェア側の問題をソフトウェアとサービスでカバーできる。
また、撮影した動画からそこに映っている物体が何かを把握するという「イメージ認識」技術も興味深い。現在はまだリアルタイム処理が難しいため今後の発展に期待だが、より高度なナビゲーションや映像編集ツール、イメージ検索機能への応用など、非常に楽しみだ。
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