隠れた名機か? 13.3型“世界最小”モバイルノートPC――「XPS 13 Graphic Pro」徹底検証(前編)魅惑のアルミ×カーボン×狭額ボディ(2/3 ページ)

» 2015年07月13日 18時45分 公開

小型ボディでもバッテリー駆動時間は長い

 バッテリーは、4セルで52ワットアワーのリチウムイオン電池を採用する。公称のバッテリー駆動時間は最大で約15時間と長い(日本メーカーが採用するJEITA測定法ではなく、MobileMark 2014のテスト結果に基づく値)。先代モデルは公称バッテリー駆動時間が最大8時間53分だったので、大幅に延長していることになるが、実際のスタミナについてはレビュー後編でテストする。なお、バッテリーは本体に内蔵され、ユーザーによる着脱を想定していない作りだ。

 付属の45ワットACアダプタは実測で55.26(幅)×22.08(奥行き)×88.9(高さ)ミリ、電源ケーブル込みの重量は274グラムだ。ACアダプタ本体は、45ワットとしては標準的なサイズと言えるが、薄型で持ち運びやすい。ただし、DCケーブルは3ピンの端子でややかさばる印象だ。

 細かいところでは、丸形のDC端子に通電確認用のLEDランプが付いていることで、接続のし忘れを防止できるのがありがたい。また、DCケーブルには結束用の小型クリップがあり、ACアダプタにケーブルを巻きつけてクリップでまとめられるといった工夫も見られる。

XPS 13 バッテリーは本体に内蔵され、ユーザーが着脱することはできない。

狭額縁ディスプレイは表示品質も上々

 13.3型ワイドの超狭額縁ディスプレイは、タッチパネル非搭載/非光沢の1920×1080ピクセル(フルHD)、もしくはタッチパネル搭載/光沢の3200×1800ピクセル(QHD+)の2種類から選択できる。画素密度は前者でも約166ppi(pixels per inch:1インチあたりのピクセル数)と十分高精細だが、後者は約276ppiとなっており、ノートPCでは最高クラスの滑らかな表示が可能だ。

XPS 13 1920×1080ピクセル(フルHD)表示の液晶ディスプレイ。タッチパネルは搭載しておらず、画面は非光沢だ。狭額縁を優先した設計なので、Webカメラとカメラのステータスライトは液晶パネルの上部ではなく、液晶パネルの左下というユニークな場所に内蔵されている。Webカメラは92万画素、対角視野角は66度。30fpsで1280×720ピクセル(最大)の動画を撮影可能だ
XPS 13 3200×1800ピクセル(QHD+)表示の液晶ディスプレイ。こちらはタッチパネルを搭載しており、画面は光沢だ。Corning Gorilla Glass NBTを貼り付けることで、ディスプレイ面の剛性も確保している

 ただし、液晶ディスプレイの輝度は、解像度の低い前者のほうが液晶の開口率が高い(バックライトの光を通しやすい)こともあり、公称400カンデラ/平方メートルと明るい。実際に2種類の液晶ディスプレイを並べて見比べてみると、はっきりと明るさの違いが感じられる。

 実際に測色器のi1Proでそれぞれの液晶ディスプレイを計測したところ、フルHD液晶パネルは381カンデラ/平方メートル、QHD+液晶パネルは290カンデラ/平方メートルだった。測色器のクセでやや低めの値が出る傾向にあるため、輝度の数値は参考程度に見ていただきたいが、同一条件の比較で91カンデラ/平方メートルも差が生じた。フルHD液晶パネルは屋外での視認性もかなり確保できる明るさだが、QHD+液晶パネルは照明のついた屋内で明るく見える程度だ。

 色温度についてはフルHD液晶パネルが7084K、QHD+液晶パネルが6344Kだった。QHD+液晶パネルのほうがsRGB規格(6500K)の標準的な色味に近く、フルHD液晶パネルはそれより白が少しだけ青っぽく見える表示だ。

 i1Proで計測した後のガンマ補正カーブと色域についてもチェックした。ガンマ補正カーブはフルHD液晶パネルが中間階調の再現性でやや乱れている一方、QHD+液晶パネルは比較的素直な発色と言える。色域については、QHD+液晶パネルがsRGBにかなり近い色再現性を確保し、フルHD液晶パネルはそれより色域が狭いことが分かった。

 検証結果をまとめると、画面の輝度こそフルHD液晶パネルのほうが高いが、表示の精細さ、色温度の正しさ、階調再現性、色域といった要素はQHD+液晶パネルが優位だ。総じてQHD+液晶パネルのほうが高画質と言える。

XPS 13XPS 13 i1Proの計測結果から抜き出したガンマ補正カーブ。左がフルHD液晶パネル、右がQHD+液晶パネル
XPS 13XPS 13 ICCプロファイルをMac OS XのColorSyncユーティリティで表示した色度図の結果。左がフルHD液晶パネル、右がQHD+液晶パネル

 なお、ハードウェア情報の調査ツール(HWiNFO64)で調べたところ、フルHD液晶パネルはシャープ製(Unknown Model:SHP1420/LQ133M1)で2015年の製造、QHD+液晶パネルもシャープ製(Unknown Model:SHP1421/LQ133Z1)で2014年の製造だった。

 液晶ディスプレイはどちらの解像度でも広視野角なので、画面の傾きを厳密に調整しなくても視認性を確保できるが、0度から約135度の範囲内で調整可能だ。液晶ディスプレイのヒンジ部は1本の太いバーで構成されており、しっかりとした剛性感がある。どちらかというと固めのセッティングなので、液晶ディスプレイの開閉や角度調整は両手で行うのが前提だろう。

XPS 13 液晶ディスプレイは最大で約135度まで開く

 なお、ステレオスピーカーは左右の側面にそれぞれ1ワットずつレイアウトされている。音質については、13.3型モバイルノートPCとしてそれなりといった印象だ。パワーはまずまずあるのだが、特に低音域の表現力が厳しい。薄型軽量ノートPCなのでトレードオフなところではあるが、「究極の体験を実現」と銘打つモデルならば気になるところだ。


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