「ideacentre Stick 300」の“2万円を切る”実力を確かめるレノボのスティックは安心して使えるか(2/2 ページ)

» 2015年07月28日 11時30分 公開
[長畑利博ITmedia]
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競合製品との性能差は少ない

 では、実際にベンチマークテストで本製品の実力を検証していきたい。比較用にはアイ・オー・データ機器の「CSTK-32W」を用意している。

 最初にPCMark 8の結果から見てみよう。Homeのスコアは「1050」、Workのスコアは「1104」、Creativeのスコアは「948」という結果になった。CSTK-32Wと比べるとスコアがわずかに低い。Homeテスト計測時のCPU、GPUの動作温度については、猛暑日(室温30度)に測定したこともあって高めに推移しており、通常値は64度、最高値が67度であった。ベンチマークテスト後に本体を触ってみたが、特に熱を持っている感じはなかったので、十分な冷却は行われていると思われる。GPUの温度は、CPUよりやや低い範囲で推移している。ideacentre Stick 300は本体に冷却用のファンを内蔵しているが、動作音はほぼ無音に近いレベルだった。

PCMark 8:Home

PCMark 8:Work

PCMark 8:Creative

PCMark 8:Home実行時のCPUとグラフィックスコアの温度

PCMark 8:Work実行時のCPUとグラフィックスコアの温度

PCMark 8:Creative実行時のCPUとグラフィックスコアの温度

 次に3DMarkのスコアを見てみよう。Ice Stormが「10648」、CloudGateでは「1021」、SkyDiverが「395」となった。FireStrikeはCSTK-32Wと同じくテストが最後まで実行できなかった。

 ゲームタイトルを用いたベンチマークテストでは、ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド・ベンチマークとドラゴンクエストXベンチマークソフトを計測した。いずれも、ゲーム用ベンチマークとしては、それほど負荷は重くないが、ファイナルファンタジーでは「標準品質(ノートPC)、解像度1280×720)」という条件でもスコアは「754」で「動作困難」という評価となった。ドラゴンクエストXベンチマークソフトでも、グラフィックス設定を「低品質、解像度1280×720」という条件にした場合でもスコアは「1377」で「重い」という評価だ。解像度を640×480ピクセルまで落とせば、スコア「2341、やや重い」レベルにまで改善する。しかし、ブラウザゲームなどでも、一定以上のGPU性能を要求する場合は、動作が重くなることは覚悟しておく必要があるだろう。

3DMARKのIce Storm、CloudGate、SkyDiverのスコア

ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド・ベンチマーク。標準品質では「動作困難」

比較的軽いドラゴンクエストXベンチマークソフトでも「重い」もしくは「やや重い」という結果になっている

 続いて、CrystalDiskMark 4.1.0でストレージ性能を計測してみた。こちらもシーケンシャルリードは138.7Mバイト/秒、シーケンシャルライトは46.35Mバイト/秒とCSTK-32Wとの差はほとんどない。最新のSSD搭載PCに比べると4Kファイルのリード・ライトのスコアが低い。このあたりは、消費電力とのトレードオフとなっているのだろう。eMMC接続は消費電力が少ないとされている。

 システムの消費電力も計測してみた。測定条件はPCMark 8のHome計測時の消費電力だ。最小消費電力は2.8ワットで最大消費電力は8.2ワットとなった。このため、ディスプレイやテレビで備えているUSB供給電力で駆動できない。ただ、5ボルト2.1アンペア出力対応のモバイルバッテリーであれば十分駆動できるだろう。

CrystalDiskMark 4.1.0bのスコア

キーボードセットモデルがオススメ

 ベンチマークテストの結果は低いものの、Webブラウジングや動画再生は十分にこなせる。(ある程度の設定は必要だが)、HDMIを備えたディスプレイやテレビがPCとして使えるのは意外と便利だ。全体的な性能としては、ほかのスティック型PCと差があるわけではないが、実売価格が税別で2万円を切る設定になっており、台数限定ながら実売価格3000円弱のワイヤレスキーボード「All-in-One Media Keyboard」が付属するという点を考えるとお買い得度は高い。

 スティックPCを購入するのであれば、キーボードが付属する4000台限定モデルの入手を勧めたい。ただ、今回の評価作業では手持ちのLogicool Wireless Touch Keyboard k400rを使用してテストを行ったが。運用上の問題は特に発生しなかったことを記載しておく。

 運用上気になったのは、(スティック型PC全般に言えるのだが)電源ONを本体のそばにまで行かないとできない点だ。スリープ機能で解決しようと思ったが、Windows 8.1のスリープ機能がうまく有効にできなかった。こうした点は、スティック型PCの多くが共通して抱える課題だが、リビングPCの代わりとして導入するケースも多いと思われるので、ワイヤレスキーボードからの電源投入や再起動、スリープなどが行えるような仕組みはぜひ用意して欲しいところだ。


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