Windows 10に人気のiOS/Androidアプリは集まるか?――「Windows Bridge」最新動向鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(2/3 ページ)

» 2015年08月18日 12時30分 公開

オープンソース公開された「Windows Bridge for iOS」だが……

 Project Islandwoodこと「Windows Bridge for iOS」の核となる早期プレビュー版のツールは、オープンソースライセンス(MIT License)の下で8月6日(米国時間)、GitHubに公開されている。

 基本的にはVisual Studio上にiOSのXcodeプロジェクトを読み込んで、UWPアプリのパッケージ形式であるAppXでアプリを出力する形態となる。GitHub上で提供されるSDKをインストールすることで、Visual StudioでiOS/Mac OS Xの開発言語であるObjective-Cがサポートされるほか、関連ツールが利用できるようになる。

 MSDN Blogで日本マイクロソフトの高橋忍氏が初期設定手順を紹介しているので、興味ある方は試してみてほしい。

 ただしこのWindows Bridge for iOSは公開直後ということもあるのか、実際に試した人はそれほど多くないようで、複数の開発者向けコミュニティサイトを巡ってもあまり評価情報を得ることはできなかった。

 またGitHubのページの説明にもあるように、複数の機能が未実装となっているほか、動作自体が不安定でバグのリポートも幾つか出ているようだ。さらに現時点ではx86プロセッサしかサポートしておらず、ARMプロセッサはサポートしていない。つまり、Windows 10 Insider Previewを導入したWindows Phone搭載スマートフォンでは、Windows Bridge for iOSで作成されたUWPアプリがまだ実行できないのだ。

 Microsoftウォッチャーとして知られる米ZDNetのメアリー・ジョー・フォーリー氏によれば、ARMのサポートならびに機能の追加実装が行われたWindows Bridge for iOSは、Visual Studio 2015のアップデートに合わせて、秋頃のリリースを予定しているという。

 機能実装が遅れているというのは、4月のProject Islandwood公開時点の情報の通りだが、オープンソース化の狙いの1つは開発のスピードアップだけでなく、なるべく多くの開発者をプロジェクトへ早期に取り込み、周囲の興味を集めることにある。

 後述する既存の開発環境をそのまま利用できるWindows Bridge for Androidと比べ、Windows Bridge for iOSはWindowsとMacの2つの開発環境を必要とするほか、(開発者によっては)慣れないVisual Studioに触る必要があり、コード改変部分も多い。ハードルが若干高いという面で、どの程度iOSアプリの開発者をWindows 10へ引き寄せられるかは未知数だ。

「Windows Bridge for iOS」の核となる早期プレビュー版のツールは、MIT Licenseの下で8月6日(米国時間)、GitHubに公開されている

「APKそのまま実行」のお手軽さは本当か?

 まだ比較的動きの少ないWindows Bridge for iOSに比べ、Project Astoriaこと「Windows Bridge for Android」は正式公開前ながらも一部で既に大きな話題となっている。それは、現在一部ユーザー限定で早期プレビュー版をテスト中のはずの同プロジェクトのツールが、リークの形でインターネット上に拡散してしまったからだ。

 UWPアプリ生成にソースコードを必要とするWindows Bridge for iOSに比べ、Windows Bridge for AndroidはAndroidアプリ(APK)の実行に必要なGoogleサービスやAPIを全てUWP用のものにマッピングする機能を持っており、必要最低限の動作で問題ないのであれば「Windows 10上で(Android向けの)APKが、UWPアプリとしてそのまま実行できてしまう」点で違いがある。

 簡単に言えば、AndroidアプリのAPKファイルさえ入手できてしまえば、このWindows Bridge for Androidを使ってWindows 10やWindows 10 Mobileでそのまま当該アプリを実行できてしまう。元のプロジェクトファイルなしで誰でも試せるため、非常にお手軽な点がポイントだ。そのため「海賊行為」的な話題も含め、実際に議論が進んだり、テスト報告が多数上がっていたりする。

 Windows Bridge for Androidはその性質上、Androidアプリの実行に必要な機能が一通りカバーされているが、Windows 10のライブタイルやCortanaといった固有機能の利用においては追加コードの記述が必要になる。

 Androidアプリの開発者になるべく簡単なUWPアプリ開発環境を提供して興味を持ってもらえるように誘導しつつ、Windowsならではの固有機能や周辺機器サポートを存分に活用してほしいというのが狙いの1つだろう。

 筆者の予想だが、手軽さや前述の議論も含め、話題性という面でWindows Bridge for Androidは正式リリースまで注目を集め続けることになると考えている。こちらは秋頃にパブリックプレビューを公開する予定だ。

「Windows Bridge for Android」は招待制プレビューの段階。iOSアプリと比べて、AndroidアプリをWindows 10対応のUWPアプリとして実行させるのは容易だ

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