残るパーツは電源ユニットとストレージだ。電源ユニットコーナーは、棚2つ分に売れ筋メーカーで700ワット以下のモデルを中心にそろえている。1000ワット超モデルは少数だが、信頼性の高いメーカーの製品を用意していた。
木村氏は「電源ユニットはPCの安定性を決める重要なパーツ」という。一見地味な電源ユニットに予算を十分割り当てると安心ということだ。今回のPCパーツ構成から考えると、およそピークで300ワット台となり、目安としては600ワットクラスの電源ユニットが必要になる。その上で選んだのがオウルテックの「SS-660XP2S」だ。600ワットの電源ユニットではハイエンドのモデルで、80PLUS Platinumも認証しているものの価格は2万円台となる。同じような80PLUS Platinumの600ワット台電源ユニットでは、1万円台半ばから前半の製品もあるが、安定性を考えると電源ユニットは妥協すべきではないとのことだ。
ストレージには、HDDとSSD、光学ドライブがある。光学ドライブは、昨今のダウンロード型のゲームタイトルの普及を考慮するとあまり重要ではないので、ここでは価格最優先で選ぶ。一方、HDDとSSDは、ゲーミングPCでは両方を組み合わせるのが望ましい。OSやプログラムをSSDに、データファイルをHDDにと、分散することで速度と容量の両方を取る。SSDの売れ筋はSAMSUNG「MZ-75E250U2/IT」だ。850EVOシリーズの250Gバイトモデルで、コストパフォーマンスにも優れている。一方、HDDは2Tバイトモデルが1万円前後で売れ筋だ。そこで、1万円という価格帯からシーゲイトの2Tバイトモデル「ST2000DM001」を選んだ。
OSはいわゆるDSP版のWindowsになる。Windows 7/8.1/10という選択肢があるが、売れ筋でいえば依然としてWindows 7だそうだ。とはいえ、ゲーミングPCとなるともう少し考えることになる。古いゲームタイトルとの互換性を求めるのであればWindows 7がベストだ。しかし、最新タイトルの互換性でいえばWindows 8.1だ。一方、DirectX 12対応を考えるとWindows 10も視野に入る。今回は、現時点ではWindows 8.1を選び、DirectX 12対応ゲームタイトルがそろった段階、かつ、無料アップグレード期間にWindows 10に移行するのがベストと考えた。
こうして、““PCアクセサリー専門チームのスペシャリスト”木村氏のアドバイスをうけて、ゲーミングPC一式のパーツ選びが完了した。OS込みで25万円の予算をわずかにオーバーした25万5600円となった。PCパーツ激戦区の専門ショップと比べて、パーツ単体では価格帯が上ではあるが、“ポイント”という還元もついてくる。
Core i7-6700Kにゲーミングマザーのスタンダードグレード、16GバイトのシステムメモリにGeForce GTX 970いう組み合わせなら最新のFPSゲームを1920×1080ピクセルで楽しむために十分なスペックだ。また、システムドライブにSSDを選択したことで、操作時のレスポンスもHDDほど待たされることがない。グラフィックスカードのクーラーユニットにファン停止機能を備えたASUSTeKのSTRIXシリーズ、CPUクーラーユニットに静音性で評価が高いグランド鎌クロスシリーズ、ほぼ密閉型と呼べるAntec P280ケースを組み合わせたことで、ハイエンド構成でありながら動作音をかなり低いレベルに抑えられそうだ。
今回の「ゲーミングPC」のために選択したPCパーツ(8月下旬時点) | |||
---|---|---|---|
CPU | インテル | Core i7-6700K | 5万7600円 |
CPUクーラーユニット | サイズ | グランド鎌クロス | 6460円 |
CPUグリス | Ainex | JP-DX1 | 1420円 |
マザーボード | GIGABYTE | GA-Z170X-Gaming 3 | 2万1490円 |
システムメモリ | Crucial | CT2K8G4DFD8213 8GB×2 | 2万9490円 |
グラフィックスカード | ASUSTeK | STRIX-GTX970-DC2OC-4GD5 | 5万4880円 |
SSD | Samsung | MZ-75E250U2/IT 250Gバイト | 1万4680円 |
HDD | Seagate | ST2000DM001 2Tバイト | 9570円 |
光学ドライブ | アイ・オー・データ機器 | DVR-SA24ETK | 3110円 |
電源ユニット | オウルテック | Seasonic SS-660XP2S 660W | 2万1500円 |
PCケース | Antec | P280 ATX | 1万7150円 |
OS | Microsoft | 64ビット版 Windows 8.1DSP | 1万2760円 |
計25万5600円(ポイント還元2万5560円→23万0040円) | |||
最後に、実際にヨドバシカメラでPCパーツを探して気がついたことを紹介しておこう。ヨドバシカメラのPCパーツコーナーは、いわゆる家電量販店の広いスペースでコンパクトにまとまっているが、同じフロアですべてがそろうのは、“買い物”という行動において「移動が楽!」という大きなメリットをもたらす。PCパーツコーナーからは少し離れたところになるが、ディスプレイやキーボード、マウスなども同じフロアで販売している。
もちろん、PCパーツショップでも、郊外や地方ではワンフロアにまとまってる店舗もあるが、秋葉原でこうしたレイアウトを展開しているのはヨドバシカメラの魅力だろう。大規模駐車場も完備しているので、大荷物になりがちなPC一式購入でも持ち帰りに苦労しない。
自作PCユーザーのPCパーツ購入の巡回コースとして、ヨドバシカメラのPCパーツコーナーは売り場の構成もスタッフのスキルとセンスも、ユーザーの頼りになって、かつ、楽しませてくれる場所だった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.