「BASIC」はおっさんだけのものじゃない!! 第1回「プチコン」ファンミーティングが熱かったそうだ、DSでプログラミングしよう(3/4 ページ)

» 2015年10月20日 18時50分 公開
[瓜生聖ITmedia]

プチコンファンが送るライトニングトーク(LT)

 スマイルブームからのプレゼン後は休憩を挟みつつ、ファン12名+スタッフ1名によるライトニングトーク(LT)大会となった。

 技術系ミーティングなどで流行しているLT(ライトニングトーク)は5分〜10分程度の短いプレゼンのこと。その手軽さゆえに参加しやすく、コミュニティにより深く関わるにはもってこいの仕組みだ。今回は自作ハードウェアあり、アーケードの超絶再現あり、と、内容も登壇者の年齢層も幅広い、バラエティ豊かな内容となった。

 中でも衆目を集めていたのが三つ編みが印象的なみほ氏(@KusoftMiho)。13歳という最年少で登壇したみほ氏のプレゼンは当日の朝(!)早起きして作ったという、ゴキブリを動かすプログラムとKML(かなちー・ミューック・ライブラリ)の紹介。

登壇者最年少のみほ氏(@KusoftMiho)は「早起きして作った」というゴキブリが動くプログラムとKML(かなちー・ミューヅック・ライブラリー)を紹介

 なぜゴキブリ? なぜBGMが「主よ、人の望みの喜びよ」? そもそもなぜ女子中学生がそんなことを? いろいろな疑問が頭に浮かびつつ、スプライトを使ったのは初めて、ということでハラハラしながらも温かい目で見守る聴衆たち。その気持ちを知ってか知らでか、ライブコーディングまでやってのける度胸に会場は盛り上がった。

プログラムはプチコンmkIIが初めてで、今回のLTでスプライトを使うまでは音楽のプログラムなどを楽しんでいたと語るみほ氏。今後の抱負を聞いたところ「もっとゴキブリの数を増やしたい」とのこと。そうですか……

 そして最も笑いをとっていたのがペンコ改氏(@penkokai)だ。内容は第3回プチコン大喜利の芸術賞ノミネート作品「オクにススムクン」の技術説明。とにかく細かくネタを突っ込んでくる。

ペンコ改氏(@penkokai)のLTは第3回大喜利芸術賞ノミネート作品「オクにススムクン」の技術解説。1スライドに一つはネタが仕込まれている

どうしてLTに出ようと思ったんですか、の問いに「目立つのが好きなので」。ああ、それは分かります

 しかし、その内容は「いかに手を抜いて3Dっぽく見せるか」という、まさに王道とも言えるBASICのテクニックを紹介したものだ。具体的には同形のスプライトをいくつも重ね、手前から順に拡大することで「奥スクロール」を実現するというもの。このようにハードウェア支援により高速に処理できる機能を駆使するのは、80年代から愛用されてきたBASICのテクニックだ。

 当時のPCは現在とは比べ物にならないくらいに貧弱だった。しかも初心者でも習得しやすいBASICではCPUを直接叩くマシン語よりも1〜2ケタほど低速で、それをいかに高速化するかはとても重要だった。

 小数が使えないCPUであればすべて整数で済ませたり、スクロールをキャラクタパターン単位にして画面書き換えを減らしたりと、CPUにさまざまな「手抜き」をさせたり、それらしく見えればOK、と、計算やアルゴリズムを近似で済ませたりするさまざまなテクニックが生み出された。

 プチコン3号は当時のPCとは比べ物にならない性能であり、正直にアルゴリズムをそのままコーディングしても実用的な速度を出すことは可能だろう。だが、BASICの真骨頂とも言うべき「頭を使って手を抜く」テクニックに懐かしさを感じた参加者も多かったのではないだろうか。

 また、TINY野郎氏のプレゼンではスプライトを96枚使ってラスタスクロールを再現した実例が紹介された。同じスプライトでも活用方法はさまざまだ。

「プチコン3号公式ムック」の著者松原氏による、音を入力してモーターを回す基板のデモ。松原氏はレゴMINDSTORM NXTを使ったプチコン用自動入力装置「打ち込みくん」も作成している

P6クラスタで有名なAckieee氏のLT。プチコンファンミーティングだが半分くらいはP6(PC-6001)シリーズの話。ブレない

内容は「パーツのぱ」の作者、藤堂あきと氏との共作「P6姉さんと読書」の技術解説。負荷をかけない単純なルールで聴きやすいナレーションにする工夫など。リップシンクに至っては「幼少よりアニメの口パクで訓練されている」ユーザーの脳内補完を利用する

P6クラスタからもう一人、TINY野郎氏(@tiny_yarou)。多数の自作プログラム動画を紹介。圧倒的な技術力を見せつけるも、運営側から「画面撮影できないプレゼンは先にそう言ってください」と注意される

プチコン大喜利第3回技術賞を受賞した「PLANE2」の作者SatoshiMcCloud氏のLT。高い技術力が評価される氏だが、自身としては「ドラマ仕立てのゲーム」という一面を楽しんでもらいたいとのこと

なるみんちょ氏は自作のRPG「DESIRED ROUTE」を紹介。高校の部活(陸上部)の仲間で作成しているとのこと。作品自体は未完成ながら、凝った動きのインタフェースに会場から「おお」と感嘆の声があがる

おった氏(@otta777)のプレゼンはSMILEキーの活用ツールの紹介。トラブルのため途中でタイムアップとなったものの、プロ生ちゃんが可愛いということは伝わった模様

moh氏はお絵かきソフト「glatte」を紹介。タッチ画面を使って水彩画のような絵が描ける。氏が使用していたスタイラスの先が爪楊枝だったことに驚いた人も多かった

三毛乱ジェロ氏(@chikuwaxx)は開発するときは紙に書くことが大事と、自身の開発ノートを公開。「みんなマリオメーカー作りたいばっかり言ってんじゃねえ!」とのこと。80年代はみんなゼビウスが作りたいと言っていた

hnakai氏(@hnakai0909)はUSBキーボードを音声信号に変換して3DSに接続するモジュールのデモ

残念ながらLT中はバグが発覚したために動作せず。空き時間にデバッグ作業

すっとこ氏(@suttokodokkoy)は1人に1台オシロスコープを普及させるために、とプチコンでオシロスコープを作成

LTの締めはスマイルブーム藍氏による高度サウンドユニットの説明。FFT/IFFTのほか、リングバッファを使って、データを作りながらPCM再生することが可能になる

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