最後に、据え置き・モバイル両用を視野に入れたポータブルタイプとは異なり、持ち運びを主目的としたモバイルタイプの製品についてもまとめておこう。
スティック状のスリムボディで、バッグに入れての持ち歩きも容易であり、外回りや出張などでの利用に向く。多くは片面ごとでしかスキャンできず、また1枚ずつしかセットできないが、中には両面読み取りおよび複数枚の同時セットに対応した製品もあるほか、スキャンデータをメモリカードに保存することでPCレスで使える製品もある。
なお、このタイプの製品は、各社とも読み取り速度について「毎分何枚」ではなく「1枚あたり何秒」という表記方法を採用しているため、ここでもそれに従う。
まずはPFUの「ScanSnap iX100」。今回紹介するモバイルタイプの製品の中では最小の体積を誇る製品で、400グラムという重量も無線対応モデルの中では最軽量。排出ガイドを展開することで読み取った原稿がUターンして手元に戻ってくるユニークな仕組みを備え、裏返しての継続スキャンが行いやすい。
無線対応でPCのほかスマホやタブレットからの利用にも対応しており、読み取り速度は5.2秒/枚と高速。無線非対応でボディサイズなどに若干の相違があり、読み取り速度が7.5秒/枚の「ScanSnap S1100」もラインアップする。
エプソン「DS-40」は、無線接続に対応し、PCのほかスマホやタブレットからも利用できるモバイルスキャナだ。バッテリーを内蔵する他社のモデルと異なり、単三電池で駆動するのが大きな特徴。
本体サイズは他社製品に比べてひと回り大きく、また重量も単三電池×4本を除いても約515グラムと、相応のボリュームがある。同社のADF搭載スキャナと同様、マルチドロップアウトカラーやダブルイメージ出力、色強調、パンチ穴除去など、法人を意識した機能を多数備える。読み取り速度は8.5秒/枚。重量325グラムと軽く、長尺紙などに対応しない有線モデル「DS-30」もラインアップする。
ブラザー「MDS-820W」は、無線での利用に対応したモバイルスキャナだ。本体に操作パネルとボタンを備え、スキャンデータを本体背面のSDカードスロットに保存できるなど、PCレスでの利用を想定していることが特徴。
読み取り速度は8秒/枚とこのクラスでは標準的。無線対応の他社のモバイルタイプの製品と異なり、スマホからスキャンを行うことはできず、あくまでSDカードに保存したスキャンデータを閲覧できるだけである点は注意が必要だ。またエンボスカードのスキャンには対応しない。
ここまで見てきた製品はいずれも片面読み取りだが、スティックタイプながら両面読み取りに対応し、さらに同時に10枚もの原稿をセットできるのがキヤノン「DR-P208II」だ。
他社製品に比べると本体は一回り大きく、またWi-Fiモジュールはオプションとあって無線環境で運用するには他社の製品に比べてややかさばるが、両面スキャン対応に加えて10枚同時セットが可能という特徴により、外出先でも据置型と変わらない運用ができるメリットは大きい。
本体にドライバを内蔵し、外出先や客先で借用したノートPCであっても、スキャナの本体に内蔵されたドライバからソフトをインストールして利用できるのも、他社製品にない機能だ。読み取り速度は毎分6枚=10秒/枚で、接続方法によっては読み取り速度がかなり低下するが、このクラスでは一押しの製品と言っていいだろう。
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