現在まで売れ筋になっているグラフィックスカードの多くは上半期に登場している。1月に売り出されたのは「GeForce GTX 960」搭載カード。2万9000円弱から3万6000円弱の価格帯で出回ったが、間もなくして値下がりが進み、「2万円台後半で買える定番カード」(パソコンSHOPアーク)との評価が定着した。
その直後、上位のGTX 970カードに関してVRAMのスペック上の問題(3.5G問題)が指摘されて物議をかもし、一時期は同カードの売れ行きが止まり、中古買い取りを一時中止するショップの動きも見られたが、業界シェアを揺るがすほどの事態には至っていない。
そして春以降はNVIDIAの超ハイエンド級が立て続けにデビューしている。3月末に16万円強の「GeForce GTX TITAN X」カードが登場し、入荷数が少ないこともあり、各ショップで「入荷すれば即完売」といった状況が続出。
続いて6月初旬には、「GeForce GTX 980 Ti」カードが11万円弱から12万円前後で店頭に並んだ。当初はGTX TITAN Xとの値段差が薄いことから売れ行きを不安視する声もあったが、冬のボーナス商戦期に主力として期待されるまでになっている。
対するAMDは6月後半に新世代ファミリー「Radeon 300」を投入した。初回に登場したGPUは上位からR9 390X/390/380、R7 370/360の5種類で、価格は最上位のR9 390Xが6万5000円〜7万2000円程度、最下位のR7 360が1万6000円〜1万9000円程度となる。
ただし、ヒットを期待する声は多くなかった。「NVIDIAに押されまくっていますし、価格や消費電力でも優位が保てなくなっていますからね。昔からのRadeonファンが購入の中心になると思います」(某ショップ)
その空気に埋もれない売れ方をしたのが、直後の6月末に登場した「Radeon R9 FURY X」だ。新技術「HBM」によりメモリバズで4096ビットの高帯域を実現しているのが特長。価格は11万前後。
発売前から注目されており、TSUKUMO eX.では集まった購入希望者5人で購入権の抽選まで実施したほどの反響があった。ただし、入荷数が少なくこともあり、入手困難な状況が1ヶ月以上続くことになる。
当時、某ショップは「Radeonが起死回生できる絶好の存在なのに、ちゃんと弾数を用意できないのがもどかしいです。企業の体力的に仕方ない部分もありますが、やりようはあると思うんですよね」と愚痴をこぼしていた。
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