一方で、時代と逆行するようではあるが、Windows 10の登場が「VAIO S11」のような原点回帰のモバイルPCを生み出す可能性もある。
VAIO S11は11.6型のコンパクトボディ(幅284×奥行き190.4×高さ16.4〜19.1ミリ、約920〜940グラム)に、SkylakeやPCI Express SSD、Thunderbolt 3兼用のUSB 3.1 Type-Cといった先進的な装備に加えて、旧来の有線LAN、アナログRGB出力、SDメモリーカードスロット、2つのUSB 3.0端子を省略することなく搭載。LTEモデム内蔵モデルも用意している。
すなわち、2000年代前半のモバイルPCを現在の最新技術で復活させ、携帯電話網を用いて常時ネットワークに接続して利用することを可能にした製品と言えるだろう。
スマートフォンやタブレットと同じように、待機モードから素早く動作モードに復帰して使えるのはもちろん、バッテリー駆動時間も最大値のスペックで約14〜15.2時間(JEITA 2.0)、LTE通信を常にオンにした状態でも約8時間(VAIO独自測定)というスペックを実現したことで、かつては夢のように語られていた「オールウェイズオン、オールウェイズコネクト」を実現したモバイルPCだ。
それらのコンセプトは、スマートフォンやタブレットによって既に実現しているが、クラムシェル型の手頃な価格帯のPC製品として実現できていることに着目したい。VAIO S11そのものというよりも、このようなクラムシェル型の伝統的なPCスタイルへの回帰を期待したい、という個人的な思いもある。
VAIO S11は液晶ディスプレイにタッチパネルを搭載していないが、OSの世代がWindows 8.1からWindows 10に切り替わったことで、Windows 7時代に戻ったかのように、キーボードとポインティングデバイスでの操作がやりやすくなっている。
プレミアムモデルが2in1としての機能性や性能を高める一方、バリューセグメントやエントリークラスの製品には、今後こうしたシンプルなコンピュータ製品が増加すると予想する。
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