iPadの可能性――筑波大×附属桐が丘特別支援学校のアプリ開発ITと教育(3/3 ページ)

» 2016年03月17日 16時13分 公開
[らいらITmedia]
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文字入力と音声認識に課題も

 このアプリ開発プロジェクトを通じ、学習上の課題がiPadによって克服されてきました。解決策を学校全体で共有すれば、同じ悩みを持つ生徒の課題も解決し、全体の学習意欲向上につながります。生徒の中には、「将来的には障害者目線でアプリを開発していきたい」と新たな目標が見つかった人もいました。

 開発に携わった三浦さんも、「大学で学んだプログラミングが人の役に立つと実感でき、実務経験も積めました」と手応えを感じた様子。

 とはいえ、始まったばかりのiPadでの学習にはまだ課題があります。生徒たちからは特に文字入力、音声認識に対する要望が寄せられました。

 ソフトウェアキーボードを使うと、画面の約半分が隠れてしまい作業スペースが狭まってしまいます。外付けキーボードは持ち運びが一苦労で、力が弱い生徒にとってはセッティングも大変です。そこでiPhoneをiPadのキーボードとして使いたいというアイデアが出されました。

Apple TVではiPhoneをキーボード代わりに使えるので、iPad対応もありえる? Apple Store, Ginza (c) Kensuke Tomuro

 またiOS端末にはSiriや音声入力機能がありますが、発話が難しい生徒の声はうまく聞き取ってくれないといいます。例えば「こくご」は認識されても、「すうがく」のようなサ行や、「しゅう」といった小さいヤ行の認識率が低いのだとか。

構音障害を持つ生徒は、「母は音声入力でさっとメッセージを送るので、目の前で使われるとイラっとします」「本当は私のような人にこそ必要な機能だと思います(笑)」と冗談交じりに要望を出した

 「生徒たちは音声入力に大きな期待を寄せています」と話す白石氏。今後ビッグデータで構音障害者の発音のクセが反映されれば、より精度の高い音声認識機能に進化するかもしれません。

 三浦さんは「学生ならではの発想を生かした開発をし、一般企業にはできない局所的なニーズをユーザーに届けていきたい」と今後の展望を語りました。今後はどんなアプリが生まれ、どんなポジティブな変化が起きるのでしょうか? 若い力とiPadデバイスの可能性に期待せずにはいられません。

報告発表、おつかれさまでした Apple Store, Ginza (c) Kensuke Tomuro

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