このアプリ開発プロジェクトを通じ、学習上の課題がiPadによって克服されてきました。解決策を学校全体で共有すれば、同じ悩みを持つ生徒の課題も解決し、全体の学習意欲向上につながります。生徒の中には、「将来的には障害者目線でアプリを開発していきたい」と新たな目標が見つかった人もいました。
開発に携わった三浦さんも、「大学で学んだプログラミングが人の役に立つと実感でき、実務経験も積めました」と手応えを感じた様子。
とはいえ、始まったばかりのiPadでの学習にはまだ課題があります。生徒たちからは特に文字入力、音声認識に対する要望が寄せられました。
ソフトウェアキーボードを使うと、画面の約半分が隠れてしまい作業スペースが狭まってしまいます。外付けキーボードは持ち運びが一苦労で、力が弱い生徒にとってはセッティングも大変です。そこでiPhoneをiPadのキーボードとして使いたいというアイデアが出されました。
またiOS端末にはSiriや音声入力機能がありますが、発話が難しい生徒の声はうまく聞き取ってくれないといいます。例えば「こくご」は認識されても、「すうがく」のようなサ行や、「しゅう」といった小さいヤ行の認識率が低いのだとか。
「生徒たちは音声入力に大きな期待を寄せています」と話す白石氏。今後ビッグデータで構音障害者の発音のクセが反映されれば、より精度の高い音声認識機能に進化するかもしれません。
三浦さんは「学生ならではの発想を生かした開発をし、一般企業にはできない局所的なニーズをユーザーに届けていきたい」と今後の展望を語りました。今後はどんなアプリが生まれ、どんなポジティブな変化が起きるのでしょうか? 若い力とiPadデバイスの可能性に期待せずにはいられません。
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