日本HPがElite x2 1012 G1を“3in1”と称するのは、タブレットモードおよび、トラベルキーボード使用時の形態に加え、短距離高速無線通信規格である「WiGig」を用いたデスクトップPCライクな使い方を加えているところにある。今回、WiGig対応機器との接続は評価していないので、デバイスマネージャから見たWiGigと、その活用方法について説明しておこう。
WiGigは、60GHz帯を用いた無線通信規格だ。主に短距離間で用いることを想定しており。理論値で最大7Gbpsという高速通信を可能とする。このWiGigは、既にいくつかのメーカーがビジネス向けモデルを中心に採用しており、主にドッキングステーションで活用している。
日本HPでも、「HPアドバンスド無線ドッキングステーション」という製品で展開しているが、このドックにはDisplayPort×2、Dsub15ピン×1、USB 3.0×3、LANといった端子が用意されており、ディスプレイやプロジェクター、フラッシュメモリやプリンタなどのUSB機器やローカルネットワークを接続できる。オフィスにおいては、会議室のプロジェクター、デスク上ではディスプレイとLAN、キーボードといった具合で接続しておけば、会議や出社、外出からの帰社時など、面倒なケーブル着脱の手間が省けるといった具合だ。ビジネス向けの機能として、ビジネス先行で販売されているが、BYODのような制度で個人所有のPCを自宅と会社で共用するような場合、個人宅にWiGigドックを置いても大変便利に使えるだろう。
WiGigはデバイスマネージャからも確認できる。ネットワークアダプタというLAN関連の項目とは別に、「インテルWireless Gigabitドライバー」という項目が表示され、ここにデバイスドライバとユーザーモードドライバの2つが登録されている。
その他のインタフェースにも目を向けていこう。ただし、表面的な端子類で見ていくと、Elite x2 1012 G1はやや少ない印象だ。主に右側面に端子類が集中しており、ヘッドホン/マイク共用ジャック、USB 3.0(Type-A)、USB 3.1(Type-C充電兼用ポート、Thunderbolt 3対応)、microSDカードスロットの4つ、左側面には電源ボタンとボリュームコントロールボタン、セキュリティロックケーブルスロット、micro SIMカードスロット(LTE搭載モデルのみ)となる。
USB 3.0 Type-A端子があるため、USBフラッシュメモリやキーボードなどは、変換アダプタなしで簡単に接続できるが、1ポートしかないためにUSBハブが必要になる場面もあるだろう。USB 3.1 Type-C端子もUSB端子として利用できるが、まだ対応機器が少なく、充電ポートと兼用であるため使うシーンを選ぶところではある。タブレットPCでは標準的ではあるが、Elite x2 1012 G1の場合はやはりWiGigドックとの併用が快適なのではないだろうか。
USB 3.1 Type-Cに関しては少し補足しておこう。Elite x2 1012 G1のポイントとなるのがインタフェース兼充電ポートとしてのUSB 3.1 Type-Cの採用だろう。リバーシブル端子であるため、従来のmicro USBのように「向き」を気にする必要はない。この時点で利便性の高さはすぐに実感できる。
充電の仕様に関してはACアダプタに記載があるが、一般的なUSBで用いられる5V/2A表記のほか、12V/3A、15V/3Aの表記も見られる(ACアダプタの仕様は45W)。なお、Elite x2 1012 G1の最大消費電力は45Wとされているため、15V/3Aを使用しているのではないかとみられる。
無線通信規格に目を向けると、先述のWiGigに加え、無線LANがIEEE802.11a/b/g/n/ac、Bluetooth 4.2、NFCに対応している。加えて、LTE搭載モデルが2機種用意されており、1モデルはドコモの通信網を、もう1モデルはauの通信網に対応し、それぞれMVNOのSIMにも対応している。合わせてLTE対応モデルではGPS機能も搭載する。
本体裏面には指紋認証センサーおよびLEDフラッシュ付きのカメラを備えている。指紋認証センサーは、ベースがビジネス向けであることが大きいが、個人でもセキュリティ意識が高まっていることからメリットの一つに挙げられるだろう。
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