AMD A10-7890KとWraith Coolerの性能をチェックするSocket FM2+でついに定格4GHz越え(4/4 ページ)

» 2016年04月06日 18時00分 公開
[石川ひさよしITmedia]
前のページへ 1|2|3|4       
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Wraith Coolerの性能をチェック

 それではWraith Coolerのパフォーマンスを、旧CPU付属クーラーおよび、別途用意した14cm径ファン搭載トップフロー型CPUクーラーと3製品で比較してみた。

 まずはCPU温度。アイドル時をOS起動から10分経過までの最小温度とし、高負荷時はCINEBENCH R15のCPUテスト、3DMarkのFire Strikeテスト実行中の最大値としてHWMonitor v1.28で計測した。また、マザーボード側のCPUファンの回転数設定は、PWM有効の「パフォーマンス」としている。

CPU温度比較

 3製品で比較すると、Wraith Coolerは旧CPU付属クーラーと比べ、アイドル時ではほぼ同じだが、高負荷時ではCINEBENCH R15時で8度、3DMark時で10度ほど低かった。冷却性能に関しては大幅に向上しており、そのパフォーマンスは14cm径ファン搭載トップフロー型クーラーと互角だったのが印象的だ。

 動作音に関しては、先と同様の計測条件で、騒音計(SL-1370)をCPUのファン面から20cmの位置に設定し計測した。

動作音比較

 Wraith Coolerのアイドル時の動作音は34dBAと優秀で、ケース内に収めてしまえばノイズに悩まされることはないだろう。高負荷時では40.6dBAと、40dBAをわずかに上回った。深夜帯や閑静な住宅地では動作音を感じられるが、生活音・環境音のある場所であれば、それほど気になるほどではない。

 一方で旧CPU付属クーラーは、多くのユーザーがうるさいと感じていたようにアイドル時ですら高負荷時のWraith Cooler以上の値を出しているし、実際この段階で十分にノイズが出る。高負荷時ともなると、ケースに収めたところでこれを抑えこむことはできないだろう。

 14cm径ファン搭載トップフロー型クーラーの多くは、確かにこれよりも静かだが、旧モデルを指標として見た場合、新型のWraith Coolerはアイドル時ならそこまで大きな差は感じられないものの、高負荷時ではさすがに動作音の違いをはっきりと感じる、といったところ。ただ、高負荷時でも旧CPU付属クーラーと14cm径ファン搭載トップフロー型クーラーの中間だろう。

 Wraith Coolerは、社外品と比較をすればまだ性能に余地が残るものの、CPU付属のCPUクーラーとしては優秀と言える。これからWraith Cooler付属のAPUを購入されるという方は、しばらくこれを試してから使用を続けるか判断してみるのがよいだろう。旧CPU付属クーラーのように、「保証なんてどうでもいいからこのうるさいのをなんとかしたい!!」と思うほどではない。

AV用PC、あるいはこれからAPUで自作する方に最適

 A10-7890Kは、200MHzのクロック引き上げによって、若干だがA10-7870Kよりもパフォーマンスが向上している。これからAPUに挑戦したい、それならできるだけパフォーマンスの高いAPUを選びたい、という方にはA10-7890Kがオススメだ。価格的にも2万円前後であり、これは従来、A10-7870Kが販売されていた価格帯である。

 一方、既にAMDは次世代APU「Zen」(コードネーム)を2016年中に投入すると明らかにしている。現在A10-7870Kを使用中の方であれば、こちらが本命になるだろう。ただ、Zenの世代ではプラットフォームの更新があるため、おそらく移行コストがかかる。現行のプラットフォームのままコストを抑えつつ、今後数年を乗り切ろうという方なら、おそらく最後にして最高クロックのGodavari世代APUとなるA10-7890Kを選択したい。

 なお、Wraith Coolerに関しては、レビュー中で指摘した相性問題を十分に検討しておこう。この点さえ解決できれば、CPU付属クーラーとしての素性はよい。より冷え、より静かになった。APU自作で人気のAV用PCなどでも、エンコード時では多少動作音が大きくなるものの、再生・視聴に関してはかなり静かなPCになるはずだ。Fluid MotionやVCE、Steady Videoなどの活用を視野に入れるならば、検討の価値があるAPUだ。

関連キーワード

AMD | Athlon | CPU | APU | CPUクーラー | 静音


前のページへ 1|2|3|4       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年04月19日 更新
  1. バッファロー製Wi-Fiルーターに脆弱性 対象機種は今すぐファームウェア更新を (2024年04月17日)
  2. ノートPCに外付けキーボードを“載せて”使える「タイプスティックス/打ち箸」に新色 (2024年04月18日)
  3. さらなる高速化を実現! PCI Express 5.0接続SSDの新モデル「Crucial T705」を試して分かったこと (2024年04月18日)
  4. ついに8K対応した「Insta360 X4」の画質をX3と1インチ360度版で比較 今買うべき全天球カメラだと確信した (2024年04月16日)
  5. SwitchBotのミニプラグに不具合 「断続的にオン/オフを繰り返す、異音」などで該当製品の交換を呼びかけ (2024年04月17日)
  6. アイロボットが4万円切りの「水拭き対応ロボット掃除機」を投入 “一家に1台”を目指す (2024年04月17日)
  7. 無線LANルーター「Aterm」シリーズの一部に複数の脆弱性 設定変更や買い替えをアナウンス (2024年04月11日)
  8. 「JBL GO 4」でBluetoothスピーカーデビュー! 累計出荷台数5700万台を突破した人気製品の最新モデルを試す (2024年04月17日)
  9. あなたのPCのWindows 10/11の「ライセンス」はどうなっている? 調べる方法をチェック! (2023年10月20日)
  10. NVIDIA、Ampereアーキテクチャを採用したシングルスロット設計のデスクトップ向けGPU「NVIDIA RTX A400/A1000」を発表 (2024年04月17日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー