同一のネットワーク上に同一メーカーのNASが複数台設置されていると、Webブラウザからいざ設定画面を開いた場合、見分けがつかなくなることがある。固定IPアドレスであればそれぞれをブックマークしておけば済むが、毎回IPアドレスが変わる環境だとそうともいかず、またブックマークの数があまりに増えるのも考えものだ。
こうした場合に複数のNASの設定画面へのアクセスを容易にしてくれるのが、Synologyが用意している「Synology Web Assistant」という機能だ。これは「find.synology.com」というURLにアクセスすれば、同一ネットワーク上にある同社のNASを全て検出し、切り替えてアクセスできるようにしてくれる。
例えば、A/B/C合計3台のSynologyのNASがLAN上に存在したとする。ここで「find.synology.com」にアクセスすると、このA/B/CそれぞれのNASを検出し、左右の矢印をクリックすればそれぞれの設定画面にアクセスできる。各NASにはIPアドレスとNAS名が書かれているほか、NAS本体のイラストも表示されるので、誤って別のNASにアクセスし、うっかり設定を書き換えてしまうといった事故も防ぎやすくなる。
ちなみにこの機能、ドライブを組み込んだだけでまだセットアップが完了していない状態でも認識してくれるので、初回セットアップの際、わざわざIPアドレスを知るためだけに専用ユーティリティをインストールする必要もない。管理するNASの台数が増えるにつれ、その便利さを痛感するようになる機能だ。
NASにインストールして使うアプリ、いわゆるNASアプリは、台湾メーカー製NASキットの特徴のひとつだ。各社ともに100個以上がラインアップされているが、利用頻度の高いアプリだけを比較すると機能は横並びの状態にある。使い勝手はともかくとして、決定的な差別化にはなりにくいのが実情だ。
しかし中には、特定メーカーのNASでしか利用できないユニークなアプリも見受けられる。例えばQNAPのNASアプリ「Gmailバックアップ」は、いまのところ他社に同等アプリがない、QNAP製NASの強みの一つとなるアプリだ。
このアプリはその名前からも分かるように、Gmailで送受信したメールをNASでバックアップできるアプリだ。Gmailでは容量が上限に近づいてくると、過去のメールを消すか、もしくは容量を追加するかの選択に迫られる。だがこのアプリを使えば、過去のメールをNASにバックアップし、クラウドの容量を節約できる。
GmailはPOP/IMAPに対応しているので、PCのメールソフトでもバックアップは行えるが、このアプリならPCを起動せずにバックアップが行えるため電力の節約になり、かつPCに比べて豊富なディスク容量が使える。もちろんスケジュール設定も可能で、最短で1時間、最長で月1回のサイクルで自動実行してくれる。また、バックアップ成功/失敗の通知機能も用意されているので、NASさえ起動しておけばあとは放置しておくだけでよい。
複数のGoogleアカウントを登録できるのでSOHOや中小企業での利用にも適するほか、添付ファイルを切り離して保存する機能も備える。さらにいったんバックアップしたメールを別のGmailのアカウントに移動させることも可能。何らかの事情でGoogleアカウントが利用できなくなった際、本アプリでメールをバックアップできていれば、新しく取得したGoogleアカウントにこれらのメールを移動し、引き続き利用することもできる。QNAPのNASを入手したらぜひ使ってみたいアプリだ。
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