NVIDIAは5月18日、GeForce GTX 1080/1070の機能について説明会を開催した。GeForce GTX 1080/1070についての仕様は既報の通り。説明会では、どうやってGeForce GTX 980 TiやGTX TITAN Xを超えるまでのパフォーマンスを手に入れたのか、といったところを中心に、米NVIDIAシニアディレクター・テクニカルマーケティングのNick Stam氏が解説した。内容は多岐に渡るが、その中から主要な部分をピックアップしていこう。
GeForce GTX 1080ではグラフィックスメモリに10GbpsのGDDR5Xが用いられている。GDDR5Xは従来のGDDR5に対して1.4倍のメモリ帯域幅が利用可能だ。そしてMaxwell世代から引き続きデータの圧縮機能を搭載しているが、この効率がPascal世代でさらに1.2倍向上したという。この2つを総合することで、帯域幅は1.7倍に向上したとしている。
VRに関して2.7倍というのは、VR用に追加した機能による向上が加えられるためだ。ダイナミック・ロードバランシング(Dynamic Load Balancing)は、グラフィックスとコンピュートタスクなどが同時に処理される際のタスクの流れを示している。
従来は、グラフィックスタスクとコンピュートタスクは、最初にコアの専有率を指定し、処理が完了するまでその占有率が保持される。そのため、グラフィックスタスクが先に終了してしまった場合、次のリフレッシュのタイミングまでコアはアイドル状態となっていた。
これに対してPascal世代では、グラフィックスタスクの終了後、そのコアは速やかにコンピュートタスクへと切り替えることが可能となった。コアの利用率が向上し、これがパフォーマンスの向上にも繋がる。
また、プリエンプション(PREEMPTION)もサポートされる。これは、実行中のタスクに対し、それを中断して優先度の高い別のタスクを処理し、再び元のタスクに戻るといったタスク切り替えを意味している。このプリエンプションは、例えばVR環境でプレイヤーが視点を動かした際など、速やかに位置情報を得、映像を処理しなければならないといったシーンで重要となる。
また、VR環境のパフォーマンス向上としては、サイマルテニアスマルチプロジェクション(SIMALTANEOUS MULTI-PROJECTION)も重要な機能となる。現在、ディスプレイは1枚のフラット画面から、3面マルチディスプレイ、さらにはVRと、さまざまな出力方法が登場してきた。
まず、3面マルチモニタを例に挙げると、これまでの技術では、3画面ぶんを1枚の画像として出力していたが、3画面のうちの左右をプレイヤーの視点に合わせて角度を付けて設置した場合、平面の画像が強引に角度を付けられるため、正しい映像とは言えなかった。
そこでサイマルテニアスマルチプロジェクションでは、ビューポートという概念で画像を作り出すことができ、そこでは角度を付けて設置した左右のディスプレイに対しても正しい角度からの画像が出力可能になる。そしてこのビューポートをVRに最適化することも可能だ。
すでにVRヘッドセットを体験した方はご存じだろう。VRで出力される映像は、視界に合わせて球形に近い映像となる。この球形に対して、従来の映像出力は四角形であり、余白をカットする形で出力されていた。これに対し、VR時のサイマルテニアスマルチプロジェクションでは、四角形を4分割し、それに角度を加えることで、ほぼ球形に近い出力を行うことが可能になる。余白の部分はレンダリングせずに済み、ここでもパフォーマンスを稼ぐことができるという。
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