ここで、集計単位を地域別に切り替えてみる。NetMarketShareでは国別の集計フィルタを利用するのに専用アカウントが必要なため、ここから先はStatCounterのデータを使用する。
まずは米国での集計だが、1年前からChromeの増加とIEの減少が続いているというのはNetMarketShareでのトレンドと同様だ。
ここで注目なのはEdgeで、Windows 10のリリース後にあたる2015年8月の集計結果に登場して以来、少しずつシェアを伸ばしている。それに合わせるかのようにIEの減少が続いており、恐らく米国におけるIE+Edgeのシェアは、IE単体のシェアほどには減少していない。逆に、ChromeはEdgeを除く他の競合ブラウザのシェアを全て奪いつつ上昇を続けている。
IEが伝統的に弱い欧州方面も見てみる。欧州では過去の経緯でWindowsにIEをバンドルしない「N Edition」が存在するため、競合であるChromeやFirefoxのシェアが高い傾向がある。例えばオープンソースを国の方針として推進してきたドイツではFirefoxのシェアが非常に高く、今回サンプルとした英国ではChromeが強いといった違いはあるが、おおむね似たような傾向だと思われる。
なお、ドイツではFirefoxのシェアが減少傾向にあり、恐らくStatCounterの集計でもそう遠くないタイミングでChromeとFirefoxのシェアが逆転するだろう。英国では米国同様にWindows 10登場以降にEdgeのシェアが増加しており、IEの減少分をある程度補うような動きになっている。タブレットの集計を含むため「iPadのSafariブラウザ」が集計で大きなシェアを獲得しているが、ライバルが減少を続ける中でのChromeの拡大傾向には変わりないようだ。
面白いのが日本のデータだ。他の国とは違ってEdgeのシェア上昇は全く見られず、逆にWindows 10が登場した後の2015年10月を境にIEとChromeのシェアが逆転している。IEのシェアが30%以上と、他国の10〜20%の水準に比べると非常に高いのが日本の特徴だが、それでもIEのシェア減少は止まらず、そのうえでIEの減少分がEdgeに流れることもなく、Chromeなど競合ブラウザへの流出につながっている。
理由の1つとしては、日本国内向けのサービスで「Windows 10には対応していてもEdgeには未対応」というケースが多く、IEを使い続けながらも、IE以外のブラウザも併用する場合は、Edgeではなく他を選んでいるのではないかと推察される。
まとめると、WindowsのデフォルトブラウザとしてのIEやEdgeの優位性は高く、実際にWindows 10に移行しても、IEからそのままEdgeに乗り換えるケースは少なくない。しかし、Windowsのデフォルトブラウザとしての影響力は以前より弱まっている。一方で、世界的にスマートフォンやタブレットではAndroidが高いシェアを獲得し、そのデフォルトブラウザでもあるChromeの影響力は、PC向けブラウザの勢力図も塗り替えるほどだ。
実際、PC向けブラウザはChrome以外が年々減少傾向にあり、Edgeのシェアは微増傾向ながらまだ低く、ユーザー全体がChromeへと集中しつつある様子がうかがえる。Androidスマートフォン/タブレットでChromeを使っているユーザーが、PCでもChromeを選択し、ブックマークや閲覧履歴を共有して活用するといったケースは増え続けているようだ。日本のようにIEを使わざるを得ないケースを除けば、これは世界的な現象だと考えられる。
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