クラウドへのバックアップは災害や盗難に強く、また容量が少なければ複数のクラウドストレージを使い分けることでコストを限りなくゼロに近づけられる利点もあるが、ファイルサイズが大きくクラウドへの転送は負担になる場合、また災害や盗難までは考慮しなくても構わないという場合は、ほかの選択肢もある。代表的な選択肢としては、USB HDDへのバックアップが挙げられる。
これは、NASの背面に用意されているUSBポートにUSB HDDを取り付け、そこにNAS内の全共有フォルダ、もしくは特定の共有フォルダをバックアップするというものだ。USB HDDを購入しなくてはいけないため導入時のコストはかかるが、クラウドストレージの有料プランと違って月額や年額の費用もかからないほか、容量を気にせず全フォルダを丸ごとバックアップすることも可能だ。
USB HDDへのバックアップは、クラウドのバックアップと違ってネットワークの帯域を消費することもなく、大容量のファイルでも高速にバックアップが行える。分かりやすさおよびスピーディさでは、こちらのほうが上だろう。もし手元に余っているHDDがあれば、適当なUSB接続のHDDケースに組み合わせることで、さらに安上がりにそろえられる。
1つ気をつけたいのは、接続方式がUSB 2.0で、かつHDDの容量が2TBを超えている場合、NAS側で容量を正しく認識できない場合があること。例えば、3TBのHDDがあったとして、これをUSB 2.0接続のHDDケースに入れてNASに接続すると、容量が数百GBしか認識できず、フォーマットしても残り2TB強が使えないという現象がしばしば発生する。USB 3.0接続のHDDであればこうした問題は発生しないので、バックアップに使うUSB HDDは、必ずUSB 3.0接続の製品を選ぶようにしよう。
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