Qwerkywriterはゲーム開発者だったBrian Min氏の立ち上げたQwerkytoys, Inc.の最初のプロダクトだ。プロトタイプを制作し、出資を募り始めたころは、まだ大量生産におけるノウハウが十分ではなかったはず。そして、製品版とプロトタイプは異なる点もある、ということを理解している出資者ばかりではない。下手な仕様変更はクレームの原因にもなる。
おそらくBrian Min氏は自身の発言に責任を持つ、物事に真摯(しんし)に取り組む誠実な人物でもあったのだろう。Qwerkywriterに添えられた製品説明である「Typewriter Inspired Wireless Mechanical Keyboard」を実現するための譲歩の結果が、直接機能に関係しない部分の簡素化だったのではないだろうか。
Kailhの青軸を採用したメカニカルキーは軽快で、タイプライターの雰囲気とリアルでの使いやすさのバランスは素晴らしく、打っていて楽しくなる青軸の魅力をより引き出すフォルム、打鍵感であることは間違いない。何よりも原稿執筆やプログラミング時の精神を高揚させ、仕事が楽しい、もっと打っていたい、と思わせる効果には大きな価値がある。使ってみればプラテンやリターンバーといった意匠部分にこだわる必要は感じなくなるかもしれない。
だが、タイプライターを再現したデザインであるからこそ商品化できたのであり、そうでなければ目標額の出資は集められなかっただろう。その結果、ツッコミどころの多いデザインになってしまったのは皮肉としか言いようがない。
もっとも、その受け取り方には個人差があるだろうし、一般的には筆者の指摘の方こそが病的に過ぎるのかもしれない。ただ、やはり安い買い物ではないので、可能であれば実物を見てから判断してもらいたい。
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