Anniversary Updateで大幅に強化される機能としては、指やペンを使った手書き入力機能の「Windows Ink」が挙げられる。もともとWindows 8の時代から専用APIを用意して改良が続けられてきた機能だが、Windows 10の世代でMicrosoft純正のものも含めて対応アプリが増加し、Anniversary Updateでは「Windows Inkワークスペース」という専用のツールボックスが用意され、ペン入力が前面に推されるようになる。
Windows Inkワークスペースには、スクリーンショットを撮ってその上に書き込める「画面スケッチ」、イラストや図などを作成できる「スケッチパッド」、ちょっとしたメモをデスクトップに貼り付けておける「付箋」といった便利な機能が用意されている。
対応アプリでは画面内に表示できる定規(ルーラー)を使うことで、ゆがみのない線を引くことも簡単だ。例えば、マップのアプリで線を引くと自動的に距離が計算され、3Dビューにしても山の斜面に沿って線が地面のデータに定着した状態になる。
Adobe系のレタッチツールやOfficeアプリケーションを使うユーザーであれば、最新のペン機能をさらに活用できるはずだ。
また、ペン入力で地味に効いてくるのは「手書きパッド」を通じての日本語入力だ。Anniversary Updateの世代では1文字につき1枠という入力フィールドの制限がなくなり、フリーライティングの要領で適当に文字を書くだけで簡単にテキストとして認識させられるため、キーボードが使えない状況で素早く書き記してデータ化したいといった要望に応えてくれる。
英語版ではメモ書きした内容を通じて、すぐに音声対応パーソナルアシスタント「Cortana」でスケジュールの記録や検索が可能だ。例えば、「Call mom tomorrow」と手書きすると、Cortanaが起動してリマインドの作成を促す。もっとも、こうした手書き文字認識とCortanaの連携機能については、日本語対応に少し時間がかかるかもしれない。
Anniversary Updateでは、Windows 10をクリーンインストールするためのツールが用意される。これは地味ながらもPC中上級者にはうれしいポイントではないだろうか。
既にInsider PreviewのBuild 14367で同ツールが追加されており、Build 14342以降であれば、同ツールを使ってクリーンインストールが可能になるようだ。その詳細はMicrosoftのコミュニティーページで解説されている。サポート対象言語はまだ「英語(米国)」「中国語(簡体字)」「日本語」の3つのみだが、幸いにも日本語が含まれている。
ツールの使い方は簡単で、Microsoftの専用ページからツールをダウンロードして実行するだけだ。インターネット経由でWindows 10のインストール用イメージが丸ごとダウンロードされてくるため、利用する通信回線によっては時間やデータ転送料がかかる点は気を付けたい。
ダウンロードした実行ファイルを開くと、なぜか日本語と英語が混ざった表示になっているが、「ソフトウェアライセンス条項(EULA)」に同意した後に、「個人ファイルを残す」「完全に消去」のいずれかのオプションを選んで先に進めばよい。ただし前者の場合、残るのは個人ファイルだけで、アプリケーション群は削除される。Windowsストア経由でダウンロードされたアプリは再設定後に復活する仕様だ。
このツールを使う最大のメリットは「完全にクリーンなWindows 10環境」を得られる点にある。例えば、後述のOEMメーカー製アプリ群や宣伝用アプリがプリインストールされていても、これらを全て削除して標準状態のクリーンなWindows 10環境にできるのだ。
新品のPCを購入したばかりのタイミングや、頻繁にPCの再セットアップを行うような場合、手作業で不要なアプリを全部削除するのではなく、このツールを活用するのも効果的だろう。
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