これでWindows 10を導入する気になる? 公開1年記念アップデートで変わること鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(2/3 ページ)

» 2016年06月23日 06時00分 公開
※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

ペン入力の魅力が増す「Windows Inkワークスペース」

 Anniversary Updateで大幅に強化される機能としては、指やペンを使った手書き入力機能の「Windows Ink」が挙げられる。もともとWindows 8の時代から専用APIを用意して改良が続けられてきた機能だが、Windows 10の世代でMicrosoft純正のものも含めて対応アプリが増加し、Anniversary Updateでは「Windows Inkワークスペース」という専用のツールボックスが用意され、ペン入力が前面に推されるようになる。

 Windows Inkワークスペースには、スクリーンショットを撮ってその上に書き込める「画面スケッチ」、イラストや図などを作成できる「スケッチパッド」、ちょっとしたメモをデスクトップに貼り付けておける「付箋」といった便利な機能が用意されている。

 対応アプリでは画面内に表示できる定規(ルーラー)を使うことで、ゆがみのない線を引くことも簡単だ。例えば、マップのアプリで線を引くと自動的に距離が計算され、3Dビューにしても山の斜面に沿って線が地面のデータに定着した状態になる。

 Adobe系のレタッチツールやOfficeアプリケーションを使うユーザーであれば、最新のペン機能をさらに活用できるはずだ。

Windows Ink 強化された手書き入力機能の「Windows Ink」。タスクトレイの「Windows Inkワークスペース」アイコンをクリックすると、画面右側から「ドロワー(Drawer:引き出し)」が出現して、ペン入力で便利な各種機能や対応アプリ一覧が表示される
画面スケッチ Inkワークスペースで「画面スケッチ」を選択すると、現在表示されている画面をキャプチャーした状態でその上に書き込める。もしペン入力をサポートしないアプリであれば、この機能で注釈(アノテーション)を付けて保存すればよい。簡単に直線を引いたり、オブジェクトを直列で並べたりできる定規(ルーラー)機能も便利だ

 また、ペン入力で地味に効いてくるのは「手書きパッド」を通じての日本語入力だ。Anniversary Updateの世代では1文字につき1枠という入力フィールドの制限がなくなり、フリーライティングの要領で適当に文字を書くだけで簡単にテキストとして認識させられるため、キーボードが使えない状況で素早く書き記してデータ化したいといった要望に応えてくれる。

タスクトレイのキーボードアイコンをマウスカーソルや指によるタッチで押すと「ソフトウェアキーボード」が出現する。これをペンでタッチすることで、手書き入力のフィールドが出現する。Insider Previewの最新版では、枠ごとに文字を1つずつ書き込む必要がなく、フリーライティングで次々と筆記と変換が可能で使い勝手が向上した

 英語版ではメモ書きした内容を通じて、すぐに音声対応パーソナルアシスタント「Cortana」でスケジュールの記録や検索が可能だ。例えば、「Call mom tomorrow」と手書きすると、Cortanaが起動してリマインドの作成を促す。もっとも、こうした手書き文字認識とCortanaの連携機能については、日本語対応に少し時間がかかるかもしれない。

Windows 10を「クリーンインストール」できるツール

 Anniversary Updateでは、Windows 10をクリーンインストールするためのツールが用意される。これは地味ながらもPC中上級者にはうれしいポイントではないだろうか。

 既にInsider PreviewのBuild 14367で同ツールが追加されており、Build 14342以降であれば、同ツールを使ってクリーンインストールが可能になるようだ。その詳細はMicrosoftのコミュニティーページで解説されている。サポート対象言語はまだ「英語(米国)」「中国語(簡体字)」「日本語」の3つのみだが、幸いにも日本語が含まれている。

 ツールの使い方は簡単で、Microsoftの専用ページからツールをダウンロードして実行するだけだ。インターネット経由でWindows 10のインストール用イメージが丸ごとダウンロードされてくるため、利用する通信回線によっては時間やデータ転送料がかかる点は気を付けたい。

 ダウンロードした実行ファイルを開くと、なぜか日本語と英語が混ざった表示になっているが、「ソフトウェアライセンス条項(EULA)」に同意した後に、「個人ファイルを残す」「完全に消去」のいずれかのオプションを選んで先に進めばよい。ただし前者の場合、残るのは個人ファイルだけで、アプリケーション群は削除される。Windowsストア経由でダウンロードされたアプリは再設定後に復活する仕様だ。

クリーンインストールツール1 Insider Previewの「Build 14367」で提供が開始されたWindows 10を「クリーンインストール」するためのツール。まずは「ソフトウェアライセンス条項(EULA)」に同意する
クリーンインストールツール2 インストール時には「個人ファイルを残す」「完全に消去」のいずれかを選べる

 このツールを使う最大のメリットは「完全にクリーンなWindows 10環境」を得られる点にある。例えば、後述のOEMメーカー製アプリ群や宣伝用アプリがプリインストールされていても、これらを全て削除して標準状態のクリーンなWindows 10環境にできるのだ。

 新品のPCを購入したばかりのタイミングや、頻繁にPCの再セットアップを行うような場合、手作業で不要なアプリを全部削除するのではなく、このツールを活用するのも効果的だろう。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年03月28日 更新
  1. Synology「BeeStation」は、“NASに興味があるけど未導入”な人に勧めたい 買い切り型で自分だけの4TBクラウドストレージを簡単に構築できる (2024年03月27日)
  2. 「ThinkPad」2024年モデルは何が変わった? 見どころをチェック! (2024年03月26日)
  3. ダイソーで330円の「手になじむワイヤレスマウス」を試す 名前通りの持ちやすさは“お値段以上”だが難点も (2024年03月27日)
  4. ミリ波レーダーで高度な検知を実現する「スマート人感センサーFP2」を試す 室内の転倒検出や睡眠モニターも実現 (2024年03月28日)
  5. ダイソーで550円で売っている「充電式ワイヤレスマウス」が意外と優秀 平たいボディーは携帯性抜群! (2024年03月25日)
  6. 次期永続ライセンス版の「Microsoft Office 2024」が2024年後半提供開始/macOS Sonoma 14.4のアップグレードでJavaがクラッシュ (2024年03月24日)
  7. いろいろ使えるFireタブレットが最大7000円オフ! Echo Budsは半額以下で買える! (2024年03月26日)
  8. 2025年までに「AI PC」を1億台普及させる――Intelが普及に向けた開発者支援をアップデート ASUS NUC 14 Proベースの「開発者キット」を用意 (2024年03月27日)
  9. 15.5万円の有機ELディスプレイ「MPG 271QRX QD-OLED」に指名買い続出 (2024年03月25日)
  10. サンワ、Windows Helloに対応したUSB Type-C指紋認証センサー (2024年03月27日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー