MITがFinTechのオンライン講座を開講 世界の先端を行くその講義内容とは?(2/2 ページ)

» 2016年07月01日 06時00分 公開
[下中英恵ITmedia]
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 講座の後半は、前半で学んだ知識や今までの経験を生かして、起業家としてフィンテックの新しいビジネスプランを提案するというもの。MITのモットーで言うと「実践」の部分に該当する。受講者は、他の受講者とグループを組むか、または一人でビジネスプランの発表を行う。

 第7回から第9回の講義では、MITオリジナルの手法で、どのようにイノベーションを進めていくか「crafting an innovation roadmap」、そしてビジネスプラン作るのかという方法を学ぶ。第10回の講義で3分間のビジネスプランの発表(ピッチ)を行ったビデオとレポートを提出、第11回の講義で、どのビジネスプランが最も社会にインパクトを与えるかということを受講者内でディベートし、最後の講義で最も優れていたビジネスプランを提案した者が表彰される。

 MITの受講パンフレットによると、フィンテックにおけるスタートアップの市場規模は、過去5年間で6倍に成長しているといわれている。この大きな流れにのって、受講者から新しいビジネスプランを引き出そうとするのが、講座の大きな目標といえるだろう。

 ただ単に新しいビジネスプランを提案するだけではなく、自分のアイデアをより魅力的にアピールするにはどうしたら良いかというところまで具体的に学習できるため、フィンテックだけではなく、今後さまざまなビジネスシーンで応用できるだろう。また、MIT独自の「イノベーションを作り出す方法」というのは、一聴の価値があるに違いない。

MITフィンテックのオンラインコース パンフレットより

金融やITに関わりがない人にも開かれた門戸

 講座の受講対象者は、銀行や保険など金融業界で活躍するビジネスマンや、テクノロジー分野でスタートアップを目指している人、ソフトウェアやアプリの開発するプロダクトマネジャーなど。現在の仕事が、金融やITに関わりがなくても、これからフィンテックの分野においてビジネスを始めたいと考えている人にまで、広く門戸が開かれている。

 また、講義や受講生同士のディスカッションは当然英語で行われる。専門用語も数多く登場することから、日本から受講する場合でも相当高いレベルの英語力が必要となる。日本にいながら、世界中から集まる仲間と一緒に、自分の英語力や知識にストレッチをかけて学びたいと考えている人にとっては、絶好の機会となるだろう。

 フィンテックという分野で、全く新しい講座を開講するMIT。世界の最先端を目指す姿勢はさすがという感じだが、実際にこの講座の中で、どのくらい新しいビジネスプランが生まれ、それが実現化されていくのかは、現時点で未知数である。受講生同士でどのようなディスカッションが繰り広げられるのか、ゲストスピーカーが伝えるメッセージはどのようなものかなど、MITの新しい挑戦に引き続き注目したい。

ライター

執筆:下中英恵、編集:岡徳之


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