“AIBO”が尻尾を立てて出迎える“VAIO”の安曇野工場に潜入 設立2周年で同社が目指すものとは?大人の工場見学(2/3 ページ)

» 2016年07月25日 20時45分 公開
[山口恵祐ITmedia]
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「VAIO Z」の製造工程

 VAIOのフラッグシップモデル「VAIO Z」は、製造の全行程を安曇野工場で行っているのが特徴だ。まずディスプレイやキーボードといった外装部分に専用の機械によって接着剤を塗布し、それらを1つの製品に組み立てる。最適な接着剤の量が決まっており、これは人間の手よりも機械のほうが正確なのだとか

緑色の接着剤が部品に乗せられていく
ディスプレイ部分の組み立て

 VAIO Zには、「クラムシェルモデル」とディスプレイが回転してタブレットモードになる「フリップモデル」の2つが用意されている。

VAIO Zのフリップモデル(上)とクラムシェルモデル(下】

 特にフリップモデルは、天板部分の中央に切れ目があるため、部品として2つのアルミ板が必要だ。ただし、それぞれを単独で調達すると色味などにわずかな差が生まれてしまう。それぞれの色味が完全に同一となるように、どちらの部品も素材のロットや部位が同じになるよう1枚のアルミ板から製造して工夫しているという。

キーボードの組み立て
バッテリーの組み立て
各種ソフトウェアのインストールもここで行う
最終的な出荷検査は技術者の手で

 製造工程を終えたマシンは、黒い箱のような装置に入れられる。キーボードの配列やディスプレイ、スピーカーの音といった30項目を、カメラ撮影によるパターンマッチングなどによって検査するためだ(残念ながら撮影不可)。さらに、見た目や使用感など100項目に及ぶチェック項目を、資格を有する技術者が人の手によって検査するのだ。

基板の実装は?

 VAIO Zに組み込まれる基板の製造工程をのぞいてみよう。安曇野工場にある基板の実装ラインは7本あり、VAIO Zの基板を製造している2本のラインでは、1つの基板が完成するのにわずか20分ほど。1日8時間で560台、24時間稼働した場合は1680台も製造することが可能だ。VAIOにおける基板実装の特徴は、大型部品から小チップ部品までを高密度に混載すること、そしてキャリアと呼ばれるプレートに基板を組み込んでいくことで、品質と効率を共存しているところだ。

実装工程
実装済み基板
プロセッサを搭載したところ
VAIO Zで使われている最小部品の「0603サイズ(0.6mm×0.3mm)の積層セラミックコンデンサー」。小さすぎて、目を離したら見失ってしまうほど

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