VAIOのフラッグシップモデル「VAIO Z」は、製造の全行程を安曇野工場で行っているのが特徴だ。まずディスプレイやキーボードといった外装部分に専用の機械によって接着剤を塗布し、それらを1つの製品に組み立てる。最適な接着剤の量が決まっており、これは人間の手よりも機械のほうが正確なのだとか
VAIO Zには、「クラムシェルモデル」とディスプレイが回転してタブレットモードになる「フリップモデル」の2つが用意されている。
特にフリップモデルは、天板部分の中央に切れ目があるため、部品として2つのアルミ板が必要だ。ただし、それぞれを単独で調達すると色味などにわずかな差が生まれてしまう。それぞれの色味が完全に同一となるように、どちらの部品も素材のロットや部位が同じになるよう1枚のアルミ板から製造して工夫しているという。
製造工程を終えたマシンは、黒い箱のような装置に入れられる。キーボードの配列やディスプレイ、スピーカーの音といった30項目を、カメラ撮影によるパターンマッチングなどによって検査するためだ(残念ながら撮影不可)。さらに、見た目や使用感など100項目に及ぶチェック項目を、資格を有する技術者が人の手によって検査するのだ。
VAIO Zに組み込まれる基板の製造工程をのぞいてみよう。安曇野工場にある基板の実装ラインは7本あり、VAIO Zの基板を製造している2本のラインでは、1つの基板が完成するのにわずか20分ほど。1日8時間で560台、24時間稼働した場合は1680台も製造することが可能だ。VAIOにおける基板実装の特徴は、大型部品から小チップ部品までを高密度に混載すること、そしてキャリアと呼ばれるプレートに基板を組み込んでいくことで、品質と効率を共存しているところだ。
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