Note Stationは便利だが、DSMから起動しなければならず、そのワンクッションが面倒な点でもある。だが、DSMを経由せず、直接Note Stationを起動する方法もある。
一つはアプリケーション ポータル機能を使うこと。アプリケーション ポータル機能とはDSMから起動する各種アプリケーションのショートカットのようなもので、具体的な指定方法は四種類ある。
一つは「カスタマイズしたエイリアスを有効にする」。DiskStationのDSMのURLの後ろにエイリアスを付け、「https://192.168.0.1/note/」のような形でアクセスできるようになる。
そして「カスタマイズしたポートを有効にする」。特定のポート番号を指定することでNote Stationにアクセスする。HTTPとHTTPSの二種類がある。
最後は「カスタマイズしたドメインを有効にする」。これはアプリケーション用にFQDNを指定することでNote Stationにアクセスする。オプションとしてHSTS(HTTPSでの接続を矯正する仕組み)、HTTP/2(高速化されたHTTPプロトコル)が利用できる。
Webサーバの構築経験のある人なら、単一サーバ上で複数Webサイトを立ち上げる場合の手法と同じであることが理解できるだろう。
アプリケーション ポータルは環境を選ばないところが利点だが、自宅PCなど通常利用する環境からであればChromeアプリ「Synology Note Station」を利用するのが楽だ。Chromeアプリ「Synology Note Station」はデスクトップ版Evernoteに相当するアプリで、デスクトップアプリのように利用することができる。もちろん、オフラインでの利用も可能だ。
ノートアプリに必要なものは常に情報を収集、閲覧できること。外出先でなにかを見つけたり、思いついたりしたらその場で記録できることが大切だ。
外出先からNote Stationを利用するには、まずSynology DiskStationのリモートアクセス機能「QuickConnect」を設定し、自宅のSynology DiskStationにインターネット経由でアクセスできるようにしておく。方法については「Synologyで始めるNAS入門 第2回:外出先から自宅のNASを活用できる『リモートアクセス機能』はこんなに便利」に記載があるので参考にしてもらいたい。
スマートフォンやタブレットからはNote Stationのモバイルクライアントアプリ「DS Note」が利用できる。Note Stationと同様にノートを閲覧できるほか、カメラ(静止画・動画)、音声などから新規にメモを作成することができる。外出中のアイディアやメモをすぐに記録するためのアプリとして重宝するはずだ。
以上、Synology Note Stationについて見てきたが、Evernoteの代替としてまず名があがるのがMicrosoftのOneNoteだ。しかし、OneNoteは一部無償プランがあるものの、Office自体がOneDriveというストレージ込みのサービスに移行しつつあり、自身のデータを企業に握られているという状況は変わらない。それに対し、Synology Note Stationはオンプレミスで構築するため、データが手元にあるという安心感がある。
もちろん、クラウドサービスはハードウェアの管理まで任せることができ、災害や停電にも個人レベルとは比較にならない対策がなされているなど、メリットが大きいこともまた事実だ。Evernoteから完全に移行するだけでなく、バックアップとしてNote Stationを利用する、Note Stationのデータ自体をクラウドストレージにバックアップするなど、クラウドとオンプレミスを相互補完することを考えてみてはいかがだろうか。
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