ファンレス設計で頑丈ボディー――13.3型画面の「HP EliteBook 1030 G1」でビジネスは快適になるか(3/3 ページ)

» 2016年08月30日 14時30分 公開
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パフォーマンス:非常に快適 ただし3Dをバリバリ使うのは厳しい

 冒頭で述べた通り、今回はEliteBook 1030 G1のCore M5-6Y54モデルをレビューしている。このモデルではメモリが8GB、ストレージが256GBのM.2 SSD(シリアルATA接続)という構成となる。

CPU-ZのCPU画面 CPU-ZでCore M5-6Y54の概要を表示。TDP(熱設計電力)は4.5Wと非常に省電力だ

 ファンレスとするために採用されたCore Mだが、そのパフォーマンスはいかほどなのだろうか。複数のベンチマークテストプログラムで計測してみよう。

総合ベンチマークテスト・CPUベンチマークテスト

 まず、ビジネスや家庭での普段使いの性能を確かめるために「PCMark 8」の「Work Accelarated 2.0」と「Home Accelarated 3.0」を実施した。スコアはそれぞれ「4184」「3185」となった。プロセッサの性能を測るために「CINEBENCH 15」で行ったテストでは、CPUのマルチコア性能は「257cb」、シングルコア性能は「108cb」を記録した。一般的なビジネスユース、ホームユースでは十分すぎる性能を有しているといえる。

PC Mark 8 Work Accelarated 2.0の結果 PC Mark 8 Work Accelarated 2.0の結果
PC Mark 8 Home Accelarated 3.0の結果 PC Mark 8 Home Accelarated 3.0の結果
CINEBENCH 15の結果 CINEBENCH 15

3Dグラフィックベンチマークテスト

 続いて、本機の本来的な用途ではないだろうが、3Dグラフィックス周りのベンチマークテストも取ることにする。

 まずは、「3DMark」の「Sky Diver」と「TIME SPY」で計測してみた。結果はそれぞれ「2216」「249」となった。前者はDirectX 11、後者はDirectX 12のグラフィックを試すためのテストだが、いずれも見るからにカクカクな描画で、動作はかなり厳しい。

3DMarkのSky Driverの結果 3DMarkのSky Driverの結果
3DMarkのTIME SPYの結果 3DMarkのTIME SPYの結果

 実際の3Dゲームを想定したベンチマークテストもしてみよう。利用したのは「ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド・ベンチマーク」(スクウェア・エニックス)だ。Direct X9モードで、HD(1280×720ピクセル)およびフルHD解像度における「標準品質(ノートPC)」「高品質(ノートPC)」「最高品質」のフルスクリーン描画をテストした。結果は以下の通りだ(スコアは「HD/フルHD」の順)。

  • 標準品質:3095(やや快適)/1881(設定変更を推奨)
  • 高品質:2173(普通)/1298(設定変更を推奨)
  • 最高品質:1617(設定変更を推奨)/904(動作困難)
HD解像度の標準品質HD解像度の最高品質 HD解像度であれば「蒼天のイシュガルド」もある程度はプレイできるが……
フルHD解像度の標準品質フルHD解像度の最高品質 フルHDだと若干厳しい印象だ

 解像度とクオリティをある程度落とせば、Direct X9世代の3Dゲームは遊べなくもないが、高解像度・高クオリティを求めるとかなり厳しいようだ。ゲームに限らず、3Dグラフィックをバリバリと使う用途には向いていない。

バッテリーベンチマークテスト

 モバイルノートPCは、バッテリーの持ち具合がある意味で非常に重要だ。EliteBook 1030 G1は先代よりもわずかに軽くなったのは先述の通りだが、バッテリー容量は36Whから40Whに増え、連続稼働時間もJEITA Ver.2.0基準の公称値ベースで最大7.6時間から最大10.5時間に延びている。

 実際のところはどうなのか、バッテリー用ベンチマークテストソフト「bbench 1.01」を使って調べてみることにした。ソフト側の設定は標準通り(60秒間隔でのWebサイト表示、10秒間隔でのテキスト入力)、本体側の電源設定も標準通り(HP Optimized)、液晶の輝度のみ100%にして行った。

 バッテリー残量が5%になる(バッテリー切れで強制的に休止状態になる)までにかかった所要時間は5時間ちょうどだった。公称値の約半分程度になったが、液晶輝度が最大だったことを考えるとこんなものだろう。ネットに接続した状態でこれだけ稼働できれば、営業の外回りの時間でも十分何とかなるだろう。ACアダプターは比較的小さいので、万が一に備えて持ち歩いても苦にならない。

ACアダプター ACアダプターは比較的小柄で持ち歩きしやすい

ストレージベンチマークテスト

 先述の通り、今回試用したCore M5-6Y54モデルは、シリアルATA接続256GBのM.2 SSDを搭載している。この個体で採用されていたSanDisk製の「SD7TN3Q-256G-1006」を、「CrystalDiskMark」でベンチマークテストをしてみよう。

 結果はシーケンシャルリードが409.2MB/秒、ライトが371.3MB/秒となった。ランダムリード・ライトの数値も比較的高速だ。以前使っていたPCがHDD、あるいはeMMCだった人であれば、この速度は「爆速」の部類に入るだろう。

CrystalDiskMarkの結果 CrystalDiskMarkの結果

 もしも「もっと高速なストレージが欲しい」という人は、上位のCore M5-6Y75モデルを、ストレージがPCIe NVMe接続のM.2 SSDになる(容量は変わらず256GB)。このモデルではメモリも16GBと倍増するので、「CPUはそこそこでいいから、メモリとSSDが高速なマシンがいい」という人にはピッタリな構成といえる。

まとめ:頑丈で持ち運びやすい、見た目の美しいノートPCが欲しい人にお勧め

 この記事の冒頭でも触れた通り、EliteBook 1030 G1は決して安い価格帯ではない。しかし、頑丈なボディー、ファンレス設計、打ちやすい日本語キーボードを始めとしてビジネスの継続性や生産性を高める工夫が凝らされている。キャンペーン価格で購入できれば間違いなく「おトク」だ。似たスペックを持つ「HP EliteBook Folio G1/CT」と比較すると拡張性が高いことも魅力だ。

 強いて難点を上げるとするならば、アナログRGB出力や有線LANを利用するためにはオプションを購入しなければならないということだ。もしも、これらが必要な場合は本体とセットで購入しよう。

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