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» 2016年09月13日 19時00分 UPDATE

すべてで輝きを増した10世代目のiPhone:林信行の「iPhone 7」先行レビュー (3/3)

[林信行,ITmedia]
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機械学習も導入、カメラの圧倒的描写力

 iPhone 7シリーズの外観の美しさは、それだけで十分、購入を決意させる要素だ。それに加えて、本製品にはSuicaを含めた新しい決済手段のApple Payへの対応、そして多くのデジタルカメラを凌駕(りょうが)した描写力という2つの抗しがたい魅力がある。

 前者の魅力は先に掲載した記事を参照してもらうことにして、ここではiPhone 7シリーズのカメラについて話そう。

 iPhone 7のカメラは、レンズを含めた光学系の性能が大きく見直された。

 まずはレンズがより明るいものに変わった(F1.8のレンズで、従来に比べ50%多くの光を捉えることができる)。一般にカメラは、暗い場所での撮影では、シャッターを長く開かねばならず、手ブレが起きやすくなるが、Optical Image Stabilization(光学式手ブレ補正)という、センサーとソフトの技術で手ブレを軽減する工夫もしている。要するに暗いところの撮影にものすごく強くなったのだ。

 下の写真は暗い部屋でiPhone 6sとiPhone 7をくっつけて持ち、モデルを撮影したものだが、そもそも確認画面の時点で大きな明暗の差が出ていることが分かるだろう。これに加えてフラッシュ(True Tone Flash)も50%明るくなっており、夕暮れや夜のパーティーシーンなどでもこれまでのiPhone以上に進化を発揮してくれそうだ。また、オートフォーカスが高速化し、色のグラデーションもしっかり捉え、ホワイトバランス調整が進化している点もiPhone 7カメラの魅力である。

写真を撮影した環境は明かりを落としたかなり暗い部屋

暗い環境でもノイズやブレのないきれいな写真が撮影できる

 そしてそれ以上にすごいのが新開発の画像処理エンジンだろう。iPhone 7で写真を撮影すると、近ごろ話題の機械学習技術を応用して、写っている人の顔と体を瞬時に認識し、最適な露出、最適なフォーカス、最適なホワイトバランス、ワイドカラー、トーンマッピング(輝度調整)、ノイズ除去、必要なら複数の撮影画像の合成といった処理を行い、とにかくその瞬間、iPhone 7で撮りうる限りの最高の写真を捉えるべく、1000億を超える膨大な処理をわずか25msの間に行うという。

 標準のカメラアプリでは、細かなマニュアル撮影ができないのは相変わらずだが、その一方で専用のデジタルカメラで操作に迷いながら重要なシーンを取り逃がすくらいなら、さっとiPhoneを取り出して撮影したほうがよほど思い通りの絵が撮れる、というのがこれまでのiPhoneカメラの魅力だったが、それをさらに画質の面でも前進させたのがiPhone 7だ。

 ちなみに、iPhoneには既にマニュアル撮影をするためのさまざまなカメラアプリがリリースされている。iOS 10からはセンサーが捉えたそのままの映像情報(RAW DNG)を他社製アプリが直接、編集できるようになるので、かなり高性能なカメラアプリの登場も期待できそうだ。

デジカメ超えの絵作りを実現する先進のデュアルレンズ

 ここまででもiPhone 7のカメラの魅力は十分に感じてもらえたと思う。しかし、ここまではiPhone 7と7 Plusのカメラに共通する改善点の話だ。大型のiPhone 7 Plusはレンズを2つ搭載したデュアルレンズ機になっており、さらに優れた撮影ができる。

 この2つのレンズは、標準レンズと、像を2倍大きく写せる望遠レンズの組み合わせだ。写真撮影時、画面に「1x」と表示されるので、この部分をタップすると表示が「2x」に切り替わりクローズアップになった像が映し出される。操作が違うだけで従来のiPhoneと変わらないように見えるが、これまでのiPhoneは「1x(等倍)」で撮った像をデジタル処理で引き伸ばすデジタルズームだったため、やや像が荒くなっていた。iPhone 7 Plusの2倍撮影は、通常、望遠レンズを使って撮影するので、拡大してもきれいな写真となっている。

iPhone 7 Plusで撮影した夜景

望遠側のレンズを使うため、「2x」モードでもデジタルズームのような劣化はない

 また、カメラ撮影時に映像を2本指で広げるピンチ(つまむ)操作をしたり、「1x」と表示されている部分を左右にスワイプすることで10倍までのズーム変化を楽しむこともできる。この10倍ズームの絵は、実際には2倍レンズの絵を5倍表示にしたもの。しかも、レンズの性能や画像処理の進化で元の絵もきれいになっているので荒れが圧倒的に少なく、10倍ズームでも、ソーシャルメディアへの投稿なら鑑賞に耐える画質だ(暗所などでは荒れが目立つので条件による)。

 10倍までのズーム撮影がある程度実用的になると、カメラの使い方はまったく変わってくる。例えば、写真が好きで、望遠目当てでコンパクトデジタルカメラを持ち歩いていた人も、iPhone 7 Plusを手にするとコンパクトデジタルカメラを持ち歩く機会が大幅に減るのではないだろうか。

 ちなみにカメラ機能を試していてちょっと面白い発見があった。最初はiPhone 7 Plusで2倍以上のズーム撮影をする時には、勝手に望遠レンズ側で撮影しているのだろうと思い込んでいたのだが、どうやら必ずしもそうではないらしい。ズーム撮影をしながら、指で望遠レンズ側を覆ってみると、一瞬だけ画面が暗くなるものの、すぐに景色が映し出されたりすることがあるのだ。どうやら、ズーム時は2つのレンズが常に動いていて、どちらがより良い絵が撮れているかを瞬時に計算して仕事の引き継ぎをしているらしく、この辺りの仕組みからして裏側ではかなり高度な処理を行っていることがうかがえる。

 そんなiPhone 7 Plusのカメラ機能でもう1つ楽しみなのが「ポートレート」撮影モードだ。発売直後は利用できないものの、その後のソフトウェアアップデート(iPhone 7では利用できない)で追加されることが発表されており、こちらにも期待が集まる。

 ポートレート撮影は、iPhone 7 Plusの広角、望遠の2つのレンズが被写体となる人物を同時に捉え、その顔や身体をレンズからの距離も含めて認識し、自動的に背景と切り離して背景だけをきれいにぼかすことでドラマチックな人物写真を撮れるようにする機能だ。実際、発表会で披露された写真は、まるでファッション雑誌の写真のようなドラマ性と迫力を感じさせた。

iPhone 7で人物撮影

iPhone 6sで人物撮影

iPhone 7 Plusの2xモードで人物撮影。次のソフトウェアアップデートで背景をさらにぼかした印象的な画作りが可能になる

 以上、望遠やポートレート撮影など、カメラとしてみたときのiPhone 7シリーズは、iPhone 7 Plusに軍配が上がる。これがiPhone 7シリーズ選びの難しいところだ。

 デザインのバランスや、Suicaへの対応がより生かせる携帯性の優位さで、個人的にはiPhone 7を選びたいところなのだが、その一方で、iPhoneで写真を撮影する機会が多いことを考えると、iPhone 7 Plusが欲しくなってしまう。

 さて、大幅に進化したオーディオ機能やiPhoneの使い方をさらに広げる防水機能は、実際の使用感を交えながら、続く後編で紹介していこう。

(モデル:市川渚 /撮影:井上直哉、林信行)

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