プレミアムなデザイン×新CPU「Kaby Lake」――「HP ENVY 15-as102TU」を試す(4/4 ページ)

» 2016年11月08日 00時00分 公開
[石川ひさよしITmedia]
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ベンチマークテスト

 さて、ここからは15-as102TUのベンチマークテストをしていこう。

総合ベンチマークテスト

 まず、OS標準の「Windowsエクスペリエンスインデックス(WinSAT.exe)」を実施した。結果はプロセッサ(CPU)が「7.6」、メモリが「7.6」、グラフィックスが「4.7」、ゲーム用グラフィックスが「9.9」、プライマリハードディスク(このモデルの場合はSSD)が「8.75」だった。

 ゲーム用グラフィックスの9.9という値は高すぎる印象もあるが、それを除けば妥当だろう。好スコアのポイントは、4スレッド同時処理可能なCPUの採用と、NVMe対応SSDの採用が大きい。

Windowsエクスペリエンスインデックスの結果 Windowsエクスペリエンスインデックスの結果

 次に、CPU性能を見るために「CINEBENCH R15」を実行した。CPU部分のベンチマーク結果はマルチスレッド処理が「249cb」、シングルコア処理が「124cb」だった。コア数やクロックを考慮すれば妥当なところだ。

 MPレシオが2.01倍となっているのは、CPUの定格クロックが2.5GHzであるのに対し、特にシングルコア処理に“有効”なTurbo Boost時のクロックが最大で3.1GHzと高いためだろう。リフトアップヒンジで効果的に冷却できることも、Turbo Boostの効果を高めているのだろう

CINEBENCH R15の結果 CINEBENCH R15の結果

 次に、総合的なベンチマークを取るために「PCMark 8」を実行した。実行したのは家庭での利用を想定した「Home」、クリエイティブ用途を想定した「Creative」とオフィスアプリケーションを想定した「Work」の各テストで、OpenCLを一部処理で用いる「Accelerated」と一切用いない「Conventional」の両方を計測した。

 結果は以下の通りとなった。左の数値がAcceleratedテスト、右がConventionalテストだ。ただし、WorkのAcceleratedテストはエラーが発生して完了できなかったため数値はない。

  • Home:3279/2703
  • Creative:3820/2724
  • Work:−/3109

 結果を見ると、Home・WorkのAcceleratedテストにおいて3000台の数値を確保しており、WorkのConventionalテストスコアが3109であることを考えると、WorkのAcceleratedテストは感想できたら4000台のスコアを獲得できた可能性が高い。

 結果的には、オフィスアプリケーションなら十分に快適に使えることが分かる。また、Webブラウジングはもちろん、たまにクリエイティブ要素のある負荷の若干高いアプリケーションを使うような用途にも十分に対応できそうだ。

3Dグラフィックベンチマークテスト

 次に、ハイエンドな3Dゲームの実行を想定したベンチマークを取るために「3DMark」を実行した。今回はDirectX 9をベンチマークする「Ice Storm」と、DirectX 11をベンチマークする「Fire Strike」を実行した。初回実行時にグラフィックメモリ不足を理由にベンチマークを実行できないという旨が表示された。しかし、再インストールした上で再実行したところ、無事実行できた。

 結果はIce Stormが49618ポイント、Fire Strikeが699ポイントとなった。CPUに統合されたGPUでは良くある「DirectX 11性能はやや低く、DirectX 9ベースの負荷の軽いゲームタイトルが中画質ぐらいで楽しめる」というスコア傾向だ。

3DMark(Fire Strike)のスコア 3DMark(Fire Strike)のスコア

 せっかくなので、実際の「負荷の軽いゲーム」を想定したベンチマークテストも実行してみよう。まずは、負荷のより軽い「ドラゴンクエストX ベンチマークソフト」(スクウェア・エニックス)で計測してみた。画面解像度はVGA(640×480ピクセル)、HD(1280×720ピクセル)とフルHDの3通りで、VGA以外は「低品質」「標準品質」「最高品質」を試している。結果は以下の通りとなった。数値は一番左が低画質、中央が標準画質、右が最高品質のものとなる。

  • VGA:−/−/11531(すごく快適)
  • HD:8248(とても快適)/7175(とても快適)/5845(快適)
  • フルHD:4304(普通)/3670(普通)/2766(やや重い)

 結果を見ると、HDであれば最高品質でも快適にプレイできそうであることが分かる。一方で、フルHDでは標準品質が事実上の限界で、最高品質では映像がややモタついてプレイするには不向きであることも分かる。

 このテストよりも若干負荷のかかる処理を含む「ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド・ベンチマーク」(スクウェア・エニックス)も合わせてテストしてみた。HDの「標準画質(ノートPC)」では、DirectX 11モードで「やや快適」、Direct X9モードで「快適」という判定が出た。HDの「高画質(ノートPC)」では、Direct X9モードで「やや快適」という判定となった。今度は解像度を上げて、フルHDの標準画質(ノートPC)で計測してみたところ、Direct X9モードでは「普通」判定となった。

 先ほどのドラゴンクエストX ベンチマークソフトと同様の傾向で、画質や解像度に強いこだわりがなければそこそこ快適にプレイできそうだ。また、DirectX 9とDirectX 11の両方に対応しているゲームでは、DirectX 9の方がより高画質なモードでも快適にプレイできる傾向にありそうだ。

DirectX 9モード・HD解像度での「高画質(ノートPC)」のベンチマーク結果 DirectX 9・HD解像度での「高画質(ノートPC)」のベンチマーク結果
DirectX 9モード・フルHD解像度での「標準画質(ノートPC)」のベンチマーク結果 DirectX 9・フルHD解像度での「標準画質(ノートPC)」のベンチマーク結果。このマシンではこのあたりがプレイに支障が出ない「限界」だ

ストレージ性能

 ストレージは、「CrystalDiskMark 5.2.0」で、標準設定の「1GiB(2の30乗バイト)のデータを5回読み書きする」テストで性能を測ることにした。

 SSDに関しては、シーケンシャルリードが1589MB/秒、シーケンシャルライトが301.4MB/秒、ランダムリードが484.5MB/秒、ランダムライトが297.1MB/秒となった。リード(読み込み)についてはPCI Express接続であることが大きく効果をもたらしている。一方、ライト(書き込み)についてはSerial ATA接続のSSDと変わらないか、やや遅い結果となっている(参考記事)。ともあれ、普段使いにおいては十分なレスポンスを得られる。

SSDの速度 SSDの速度テストの結果

 一方、HDDに関しては、シーケンシャルリードが111.1MB/秒、シーケンシャルライトが109.5MB/秒、ランダムリードが1.082MB/秒、ランダムライトが1.209MB/秒となった。現行の5400回転/秒の2.5インチHDDとしては、普通の速度だ。

 「SSDはアクセススピードやレスポンスの良さが必要なデータ、HDDはそれらを必要としないデータ」と分けて使えば、特段問題はないだろう。

HDDの速度 HDDの速度

バッテリー駆動時間

 バッテリの駆動時間は、「bbench v1.01」で計測した。設定は標準通り(キーストロークON、Web巡回ON)で、電源管理は標準の「HP推奨」、画面輝度は25%設定で計測した。

 結果、連続稼働時間13時間2分と、公称値よりも若干長く動いた。8分15秒でバッテリーを1%消費する計算だ。

 実使用においてはもう少しWeb巡回も頻繁に、キーボードからのタイピング量も増えると思われる。また、画面輝度ももう少し上げて使うであろうから、実際の駆動時間は公称値と同じぐらいか、それを下回る時間となるだろう。ただ、いずれにしてもある程度長時間駆動できることは確かで、実用面で頼もしい。

まとめ:バランスよくまとめた優等生 モバイルも可能なデスクトップ代替機

 15-as102TUは、プレミアムデザインのボディーに、パフォーマンスの良い最新CPUと、長時間駆動可能なバッテリーを収めている。そこまで高価というわけではない価格設定のなかで、スタンダードノートのひとつ上を体感できるところがポイントだ。

 15.6型という画面サイズゆえ、大きさの点から言えば本来モバイル向けではないのだが、スリムさや軽さ、バッテリー駆動時間を考慮すれば、十分に持ち運んで使える。「チェーン系カフェの小さな丸テーブルに収まるのか?」と言われるとそれは難しいが、ボックス席であれば問題ないだろう。

 見方を変えれば、一般的なモバイルノートPCよりもワンサイズ大きな液晶を採用しているので、画面に「窮屈感」を覚えないことは大きなアドバンテージだ。例えば、打ち合わせの時に、ディスプレイに表示された資料を同席者に見せるようなシチュエーションで役立つだろうし、出張時にホテルで仕事をするような場合にも快適さを得られるはずだ。

 唯一、マイナス点として挙げたEthernet端子の排除も、USB接続のEthernetアダプターやEthernet端子のあるUSBマルチメディアドックなどを活用すれば良いだろう。とりわけ、ドックを使えば業務机の上でLANのほかにもディスプレイや外付けHDD/メモリなどさまざまな機器を1本のケーブルで一気に着脱ができる。そうした効率面も見越して検討するのがよいだろう。

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