それではパフォーマンスを見ていこう。
まずWindowsエクスペリエンスインデックス値では、CPUが8.4、メモリが8.4、グラフィックスが8.9、ゲーム用グラフィックスが9.9、プライマリハードディスクが9.05となった。全般的に高いスコアで、ゲーミングノートPCとしてゲーム用グラフィックスはとりわけ高い。
それでは個別に見ていきたい。まずCPUパフォーマンスをCINEBENCH R15で計測した結果は、CPUスコアが710cb、CPU(Single Core)は157cb。マルチスレッドテストであるCPU側は、やはり4C/8TであるためノートPCとしてはかなり高いスコアだ。デスクトップCPUと比べても8割ほどのスコアである。それに及ばないのは定格クロックが低く抑えられており、マルチスレッド時のTurbo Boostの上限も低めに設定されているためだろう。
一方、シングルスレッド時のスコアはデスクトップCPUに対してもひけをとらない。こちらはTurbo Boost時のクロックが最大3.8GHzと、デスクトップCPUに対してもそれほど引き離されていないためだろう。
4GHz超のモデルには及ばないが、2〜3GHz止まりのモバイル向けCPUとは大きく差を付けている。ゲームタイトル側のマルチスレッド対応は進んでいるが、それでも特定のスレッドに負荷が集中することはよくあり、その点ではノートPCの中でも比較的高い処理能力が得られるはずだ。
3D性能は、まず3DMarkの結果を紹介しよう。今回、まだ製品前のサンプルのためか、あるいは現在の3DMarkのバージョンが安定していないためか、多少計測に不安定なところがあったものの、設定を見直すことで全て完走させることができた。また、サンプルの初期設定ではV-SYNCが効いているフシがあったので、ここをオフとすることで本来のパフォーマンスに戻して計測している。
さて結果は、Time Spyが5087、Fire Strikeが13629、Sky Diverが30307といったスコアとなた。Fire Strikeのスコアで、デスクトップ版GeForce GTX 1070と比べると1000ポイントほど低い値が、同じくデスクトップ版GeForce GTX 1060よりは2000ポイント強高い。このスコアが示すとおり、パフォーマンスの点ではデスクトップのGeForce GTX 1070搭載ゲーミングPCと肩を並べることができる。
続いてファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク。こちらは1920×1080ピクセル、DirectX 11、ノートPCではあるがデスクトップPCの検証と同じ最高品質でテストしたところ14816ポイントで、非常に快適という評価だった。レポートから平均フレームレートを見ても116.211fpsで余裕である。
こうした3DベンチマークのスコアからVRでの運用も十分なことは想像できるが、いちおうSteamVR パフォーマンステストの結果も紹介しよう。結果はもちろん「VRレディ」であり、平均忠実度は10.4の「非常に高い」とされる。90fps以下のフレームも0%、つまり生じていない状況なので、GeForce GTX 1080が必須というタイトルでなければ、かなり多くのVRコンテンツを楽しめると思われる。
ストレージ性能はCrystalDiskMark 5.2.0 x64で計測した。M.2 NVMe SSDであるCドライブは、シーケンシャルリードが2218MB/秒、同ライトも1301MB/秒と、1GB/秒を超えてくるパフォーマンス。4Kリードも604.9MB/秒、同ライトは387MB/秒と2.5インチSSD並みではあるが速い部類だ。この点、容量が少ないほかは不足ない。
HDDのDドライブは、シーケンシャルリードが144.6MB/秒、同ライトが134MB/秒。3.5インチHDDと比べるとやや遅いものの、2.5インチHDDとしては速い部類と言える。なお、CrystalDiskMarkでHDDを計測する際は、SSDと比べてより長い時間がかかるものだが、もちろんSSDよりは長時間かかるにせよHDDとしては比較的短い時間で完了した。7200rpmである点と、シークタイムが比較的速いのだろう。4Kリードは1.053MB/秒、同ライトは1095MB/秒で、これはHDDなりと言ったところだ。
ではシステムパフォーマンスをPCMark 8で計測したスコアを紹介しよう。Home Acceleratedは5125、Creative Acceleratedは7942、Work Acceleratedは5491といったスコアで、GeForce GTX 1070を搭載する点でCreativeスコアがより高いことに加え、HomeやWorkもスタンダードノートPCと比べてかなり高いスコアであることが分かる。普段使いにおいても、十分にデスクトップに比類するパフォーマンスであると言える。
最後に、3DMarkのFire StrikeとPCMark 8のHome Benchmark中の最高温度を紹介しておこう。まずGPUに負荷のかかる3DMarkは、CPUが81度、GPUが68度だった。CPU側は若干高めに感じられるかもしれないが、このクラスのCPUのTjunction値は100度なのでまだ問題ない。
GPU側は3DMarkの負荷に対して68度であれば十分に優秀なクーラーと評価できる。もちろんGPU温度が上昇しすぎてスロットリングがかかるようなこともなく、最高クロックは1759MHzに達していた。GPUのパフォーマンスを十分に引き出しているのが分かる。
PCMark 8での最高温度はCPUが78度、GPUが58度。3DMarkよりもCPU負荷が高く温度も上昇すると予想していたが、実際にはより低い温度となった。いちおうCINEBENCH R15のように、CPUの全コア/全スレッドに対して集中した負荷をかけるアプリケーションではもう少し如実にCPU温度が上昇する可能性はあるが、PCMark 8のように一般的なアプリケーションでやや高負荷な状況で利用した状態ではなんら冷却に問題ないようだ。
なお、キーボードの右上に3つのボタンがあり、そのなかにファンを模したアイコンのものがある。これはファンを全力回転で回すものだ。普段の使用ではこれを使うことのメリットはなく、3DレンダリングやソフトウェアエンコードのようなCPUに負荷が集中するアプリケーションでもこのボタンを必要とするまでには至らないと思われるが、万が一温度が上昇しすぎる際はこれが利用できる。
ただし通常の高負荷時でも、PCが動いているなという程度の動作音がするところ、全開ボタンを推すとごう音が響き渡ることになるので、覚悟したい。また、アイドル時に関しては、気にならない程度に静かだった。
ゲーミングノートPCは、もはやデスクトップゲーミングPCに迫るパフォーマンスを手に入れたと言ってよい。本製品ではKaby Lake世代のCore i7クアッドコアCPUと、Pascal世代のGeForce GTX 1070 GPUによって、これまで以上に多くのゲームタイトルを、このコンパクトなボディーで楽しむことができる。
もちろん、デスクトップゲーミングPCよりも高価ではあるが、価格と引き換えに、どの部屋でも、あるいは友人宅に持ち込んでゲームを楽しむことができるのが大きなポイントだ。そのうえで、15.6型というデスクトップ代替ノートPCでのスタンダードサイズの選択肢が投入されたことで、若干ではあるが、ハードルを下げることができたと評価できるだろう。
価格については、評価機の構成で税込み26万円前後となっている。本製品の場合、ストレージやネットワークでも、最新かつよりパフォーマンスの高いパーツで構成されており、さらにはキーボード、オーディオなどもその分野に長けたメーカーと協業することで妥協のない品質を追求している。
高価であることは間違いないが、望むものすべてを手に入れようとした結果というところだろう。協業という点ではゲーム配信のXsplit Gamecasterの1年間無料ライセンスも付属するので、今、ゲーマーが求めるニーズのほとんどがカバーできるはずだ。つまり、これを買えばゲームタイトル以外のほぼ全てがそろう、その日から楽しめるということ。世界のライバルたちと争っていくうえで、常に最新のスペックを使いたいと考えるゲーマーに、是非試していただきたい製品だ。
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