手書き機能「Windows Ink」も改良が加えられている。例えばInk Workspaceで選択できる「スケッチパッド」または「画面スケッチ」の項目に、「すべてのインクを消去」が追加された。地味な改良ではあるものの、一度Ink Workspaceをキャンセルして初期状態から再スタートするよりも手軽に描き直しができる。
マルチディスプレイ環境におけるInk Workspace呼び出しの挙動も変更された。全てのディスプレイのタスクバーにInk Workspaceのアイコンが表示される一方で、実際にアイコンを選択した際には当該のディスプレイのみInk Workspaceが出現するようになっている。
「日本語IME」では、入力モードの切り替え時に現在のモードが一瞬だけディスプレイ中央に拡大表示されるようになり、現在のモードが確認しやすくなった。
IMEでありがちなケースだが、入力モードが英語と日本語のどちらになっているかを確認するため、いちいちタスクバーを確認することは少なくない。これが分かりやすくなっているのだ。iOSなどのスマートフォンやタブレットでは既に導入されていた機能なので、他で便利な操作は順次取り入れるということだろう。
興味深い話題として、Windows 10で廃止された「Windows」+「C」のチャームを呼び出すショートカットキーが、Build 15002では音声対応パーソナルアシスタントの「Cortana」用に割り当てられている。デフォルトではオフの状態になっているものの、Cortanaのメニューで割り当てが可能だ。
一方、従来このショートカットキーを使っていたチャームメニューはWindows 10で廃止されて以降、UWPアプリ専用のチャームメニューとなり、ショートカットキーも「Windows」+「Shift」+「C」に変更された。
もともとWindows 10のCortanaは検索用途を想定して「Windows」+「F」、つまり「Find(探す)」を意味するショートカットが割り当てられていたが、Cortana自身が担う役割の拡大に合わせる形で、そのシンボル的な名称である「C(ortana)」を乗っ取ったようだ。
もっとも、Cortanaの呼び出しにショートカットキーを使うユーザーは少数派になるかもしれない。Cortana最大の特徴は音声認識と自然言語解析の仕組みにあり、多くのユーザーは音声入力での呼び出しを選ぶのではないだろうか。
Microsoftでは「Out-Of-Box-Experience(OOBE)」、つまり最初に箱から製品を取り出してセットアップを開始するタイミングでCortanaを利用する方法を検討中だ。現時点では世界でCortanaが提供されていない地域が多いため、いろいろ考慮すべき点はあるものの、Windows 10における新時代では重要な意味を持つ。
Cortanaに関しては、さらに新機能が導入されている。Build 15007では、複数台のマシンを併用するユーザーのために、別のマシンに作業環境が移ったことをCortanaが察知してAction Center経由でそれを通知し、Edgeで閲覧中のページや編集中のドキュメントなどを引き継げる仕組みが用意された。
Build 15007では、「Windows Hello」における顔認識の初期設定に関する仕組みも改良された。全体にWindows 10 Mobile向けの改良点が多くみられ、デバイスを使い分けるユーザーにとって便利な仕組みが積極的に導入されている。今回のビルド更新では、今後もMicrosoftがWindows 10 Mobile自体の改良を続けていくことの意思が感じられた。
Build 15002以降ではWindowsテーマの変更が簡単に行えるようになっている。この選択可能なテーマをWindowsストア経由で提供する仕組みを準備中だという。同ビルド以降のユーザーであれば、Microsoftが用意したリンク経由で機能を試すことが可能だ。
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