A3インクジェットの伝道師も納得の進化――ビジネス力を強化したブラザーの「MFC-J6995CDW」(1/3 ページ)

ブラザーから登場した新型A3インクジェット複合機「MFC-J6995CDW」は、従業員50名程の中小企業(SMB環境)までもカバーする意欲的な製品だ。“ビジネスインクジェットの伝道師”こと小川夏樹氏が新モデルを斬る!

» 2017年02月20日 10時00分 公開
[小川夏樹PR/ITmedia]
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 ブラザーからSMB環境にマッチする新型A3インクジェット複合機「MFC-J6995CDW」が登場した。従来のメインターゲットであるSOHOだけでなく、従業員50名程の中小企業におけるビジネスプリンタに求められるニーズも1台でまかなえるスペックとなっている。

 その進化のポイントはどこにあるのか? 実際の使い勝手はどうか? 詳しく見ていくことにしよう。

SMB環境までもカバーするA3インクジェット複合機「MFC-J6995CDW」をA3インクジェットの伝道師こと小川夏樹氏が徹底分析

SOHOだけでなくSMB環境もターゲット

 今回のモデルは、ビジネスインクジェットの“先”を見越したブラザーの意欲的な製品である。そもそも、ビジネス向けのA3インクジェット複合機というのは、ブラザーが創世した市場と言っても過言ではない。2011年に競合がA3対応インクジェット複合機に参入するまでは、ブラザーの独走状態だったのだ。

 その後、A3インクジェット複合機が急速に認知され、一定層のユーザーを獲得する現在の市場へと成長してきたという歴史がある。

 今回投入された新製品は、新たに市場を縦に伸ばすことを狙ったモデルと言っていいだろう。製品の横の広がりがある程度落ち着いて来た現在、今度はターゲットを上位に置いて、そのターゲットのニーズに合致するモデルをリリースしてきたわけだ。これまでA3インクジェット複合機の市場をけん引してきたブラザーだからこその挑戦であると筆者は考えている。

MFC-J6995CDW

これまでのターゲットも逃さない

 これまでブラザーのA3インクジェット複合機の最上位モデルに位置付けられていたのが「MFC-J6973CDW」(以下、J6973CDW)だ。同モデルは、SOHOまでのユーザーをターゲットの中心に置いており、個人ユースから10名未満のSOHO環境にぴったりとマッチするスペックとなっている(ちなみに筆者もJ6973CDWのユーザーだ)。

MFC-J6973CDW。小川氏も仕事場で使っている「個人/SOHO環境に“最強の1台”」

 筆者の個人的な感想ではあるが、これまでJ6973CDWを使い続けてきて不満を感じたことは、ほとんどない。強いて言うなら、プリンタドライバが出すインク切れのメッセージ表示のタイミングが早すぎると感じているところくらいか。

 筆者の主観では「かなり残量が残っているのに……」と少しもったいなさを感じるくらいでアラートが出る。もっとも、ビジネス用途で万が一のインク切れを考えると、このくらいの残量で気がつけるほうが良いのかもしれない。替えのインクがある状態でそのまま1週間近く使い続けても筆者の使い方ではまだ余裕があった。

 あとは、手差しトレイを利用する場合、用紙1枚しか利用できない点だ。ライバル機種では、手差しトレイを兼用の多目的トレイにしており、第3の給紙方法として給紙カセット2段からの2way給紙と多目的トレイからの給紙の計3wayを選択可能だったのにJ6973CDWは1枚しか使えないといった点が不便だと思っていた。

 実際、それ以外で印刷速度や印刷画質等に不満を感じることは、なかったと断言する。現状でも個人/SOHO環境では“最強の1台”と言えるのがJ6973CDWなのだ。

 ただ、もちろんこれは個人/SOHO環境での話だ。使う人がさらに大人数となるSMB環境で使うとなると、J6973CDWでは十分に対応できるとまでは言い切れない。

 そうした環境でも、余裕で対応できるスペックを持つのが今回の新製品たちである。新シリーズのラインアップは、最上位から「MFC-J6995CDW」「MFC-J6980CDW」「MFC-J6580CDW」の3台。これらの位置づけをざっくり紹介すると、低ランニングコストで高PVユーザ−向けの「MFC-J6995CDW」、イニシャルコストを抑えたスタンダードモデルの「MFC-J6980CDW」、コンパクトなサイズを優先した1段トレイモデルの「MFC-J6580CDW」となる。

同じスペースにMFC-J6995CDWをリプレースした

 今回は、最上位となるフラッグシップ機「MFC-J6995CDW」(以下、J6995CDW)を取り上げ、実際の使用感を交えながらその魅力に迫っていく。

J6995CDWは、どの部分が進化しているのか?

 新モデルの最上位となるJ6995CDWであるが、旧モデルのJ6973CDWと比べ、どういった部分が進化しているのだろうか。細かく見ると数えきれないほどだが、大きく分けると以下の3つが特に目を引く。

  1. デザインの見直し
  2. インクシステムの進化
  3. ハードウェアの改善

ということで、これらの3つのポイントごとにチェックしてみた。

3年振りのモデルチェンジでオフィス環境にマッチ

 一見して分かるのがデザインの変更だ。ターゲットをSMBに置いているためか、これまでのスタイリッシュなカッコイイ系の路線から、オフィス環境にマッチさせるコンサバティブな路線へと大きく舵を切っている。

 例えば、個人のデザイン事務所などに事務機器然とした機械が置かれていると、場違いに目立ってしまうことがあるが、逆に言えば、オフィスの中にやけにスタイリッシュな機械が置いてあっても場違いに見えてしまう。その点、J6995CDWはよりオフィス機器として違和感なくマッチするデザインになった。

 薄いグレーが混ざった白系のカラーリングなので、病院の窓口やホテルのフロントやゴルフ場の受付などに設置しても、しっくりと来る。特に窓口業務への導入となると、スキャン/カラーコピー/プリント/ファクスを本製品1台でまかなえるため、これまで別々の機器で使っていた環境をすっきりさせるのにも役に立つ。

白を基調としたデザインで病院の窓口やホテルのフロントに違和感なくマッチする

 J6995CDWの本体サイズは約575(幅)×477(奥行)×375(高さ)mmで重量は約23.5kgだ。J6973CDWと比べて大きく、重くなっている。さすがに設置するとなると大人の男性が2名は必要となるだろう。

 デザイン変更はされているが、これまでのモデル同様、ほとんどの操作を本体前面だけで行えるフロントオペレーションは健在だ。ただし、新設された多目的トレイは、本体の背面側に設置されているので、その周辺の操作では、背面側に回ることもあるだろう。

 今回、新設された多目的トレイは、J6973CDWでは搭載されていなかった機構だ。これにより、合計の給紙枚数が100枚ほど増えている。

 これまではA4/A3伸縮型給紙トレイが2段、それぞれが250枚用紙を格納できたので500枚。これに手差しトレイの1枚を加えて最大501枚であったが、これが多目的トレイになったことで99枚増え最大600枚給紙と十分な給紙可能枚数となっている。

250枚給紙できるトレイが2段、これに加えて多目的トレイも加わり、用紙対応力がアップした

 デザイン変更で注目したいのが操作パネル部分だ。J6973CDWでは搭載されていなかったハードウェアスイッチが増えている。具体的にはパネルの左側にこれまでなかったワンタッチボタンが復活しているのだ。

操作パネルはハードウェアのボタンが復活。より使いやすさを追求した改善だ

 タッチパネルだった部分をハードウェアスイッチに戻すというのは、使い勝手をきちんと再検討していることの表れと思っていいだろう。新機能を自慢げに搭載するのではなく、使いにくいことが分かれば、思い切って元に戻すことを実行している点で好感が持てる。同様にキャンセルボタンを赤くするといったことも、ちょっとしたことだが、細かな改善点と言えるだろう。

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