最後は、Amazon.co.jpが公開しているランキングの一つである「Amazon売れ筋ランキング」だ。同社の説明によると、「商品の販売データなどを反映して、1時間ごとに更新される、人気商品のランキング」とのことで、Amazonで実際に購入された数量がベースになっている。更新間隔が1時間に1回と短いことが利点だ。
このランキングはあくまでも「Amazon.co.jpのみ」に限定されており、複数の販売店のデータを集計した前述の2つとは全く性格が異なる。とはいえ、Amazon.co.jpは国内ネット通販の最大手であり、2位のヨドバシカメラに大差をつけていることから、リアル店舗およびメーカー直販サイトを含まないネット上での売れ筋に限定すれば、あえて他社を合算する必要がないほどの信頼性だ。この売れ筋ランキングと、同じくAmazonの新着ランキングを日々チェックし、一喜一憂しているメーカー関係者も多い。
もっとも、Amazon売れ筋ランキングは具体的な販売数やシェアが開示されていないため、「おっ、こんな製品が売れているんだな」という大枠での傾向を見るには重宝するが、マーケティングデータとしての効果は限定的だ。例えば、前日はランキング1位だったある製品が翌日には2位に下がっていても、より売れる製品が出現したというだけで、販売数量はむしろ前日より増えている可能性もある。
また、セールの実施で価格が変わったことでスポット的に売上が爆発的に伸びたり、メーカーがAmazon.co.jp向けに限定モデルを用意したことで通常型番とは別にカウントされていたりと、「揺れ」の要素は他のランキングに比べて多い。
上半期と年間の2回発表される「ランキング大賞」も含め、特定の製品にフォーカスして調べる用途ではなく、全体の販売傾向を知るためのものと考えた方がよさそうだ。
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