外観回りの説明が長くなったがスペックにも触れておこう。CPUはIntel製Celeron N3450」を採用している。Atomシリーズをベースとした低価格ノートPCではおなじみのCPUだ。省エネが性能も高いことで知られている。コードネーム「Apollo Lake」で呼ばれており、4コア/4スレッドの同時処理が行えるクアッドコアCPUだ。
動作クロックはベースで1.1GHz、最大2.2GHz、内蔵されているキャッシュは2MBとなっている。グラフィックスチップはCPU内蔵のIntel HD Graphics 500を利用する。旧来のIntel HD Graphics 400とは異なり、H.265/HEVCやVP9のデコードをサポート、動画再生でのCPU負荷が一段と低減されている。また、前述したように4K高解像度のディスプレイ出力にも対応している。
本製品のような低価格モデル、かつ限定販売モデルの場合、パーツ構成は変更できないことが多いが、本製品ではある程度の仕様変更が可能だ。CPUやディスプレイは変更できないが、OSをWindows 10(64bit版)のHomeもしくはPro へ変更したり、メモリ容量を標準の4GBから8GBに増量したり、ストレージのSSDを最大1TBモデルまでカスタマイズできる。
速度よりも容量が必要な場合はHDDに変更することも可能となっている。また、OfficeやATOKなどのソフトウェアのほか、周辺機器の選択肢も幅広い。顔認証ログインが可能になるWindows Hallo対応USBカメラ、Bluetoothヘッドフォン、またディスプレイなどもついでに購入できる。
BTOでメモリの増設やストレージの交換が可能なことから、内部パーツは前モデル同様に汎用規格品が使われていると思われる。そこで裏蓋の見えているネジをすべて外し、内部を開けてみた(裏蓋側のゴム脚を外す必要はない)。内部構造は前モデルとほぼ同一で左下には2.5インチSSDが、右下と中央に2基のメモリスロットがある。中央のメモリスロットは空いており、市販のSO DIMMが増設できる構造になっていた。
試用機に搭載されていたメモリは、Kingston製の「KVR16LS11/4」で、DDR3L-1600の4GB版だった。もう一枚同容量のものを増設すれば8GBまで拡張できる。なお、CPU側のメモリコントローラーは8GBまでしか認識せず、動作しない可能性もある。自分でメモリを換装する場合は保証対象外になるので注意したい。ストレージも汎用規格品であるSerial ATA 3.0接続の2.5インチSSDが搭載されていた。取り外して型番を見てみるとKingston製の「SSDNow V300 SV300S37A/120G」(容量は120GB)が使われていた。
それでは本機の性能をベンチマークテストで検証していこう。改めて本製品の仕様を列記しておくと、CPUはCeleron N3450、メモリはDDR3L-1600 4GB、グラフィックスチップはCPUに内蔵されたGPUにIntel HD Graphics 500、システムストレージはSerialATA接続の128GB SSD、OSはWindows 10 Home(64bit版)という構成だ。ベンチマークテストはPC USERで行っている標準的なものを実行している。
最初に行う検証は3Dデータのレンタリング処理でCPU性能を測る「CINEBENCH R15」。結果はCPUで163(cb)、シングルコア時で48(cb)となった。以前の乃木坂46 CM限定モデル「m-Book B502E」はCPUにCeleron N3160が使われており、その結果はCPUで134(cb)、シングルコア時で35(cb)だった。Coreシリーズには遠く及ばないものの、Celeron N3160よりも性能アップが見て取れる。
続いて3DMarkでの結果を見てみよう。DirectX 9環境のIce Stormでは27028、DirectX 10環境のCloud Gateは2511、DirectX 11環境のSky Diverは1145、負荷が重めのFire Strikeは309という結果になった。低価格ノートPCはどうしても3Dグラフィックス性能が犠牲になりやすい。
次にゲームアプリを動かすベンチマークテストを見てみる。最初はファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド・ベンチマークだ。標準品質(ノートPC)、解像度1280×720、、DirectX 9モードという設定であってもスコアは1476で評価は「設定変更が必要」という厳しい結果となった。
続いて、比較的負荷が軽い「ドラゴンクエストX ベンチマークソフト」でも、1280×720ピクセルの標準設定で2445(「やや重い」)、解像度を640×480ピクセルに引き下げ、グラフィックス設定を低品質してようやく4427(「普通」)という評価となった。ゲーム用途はほぼ期待できないだろう。
システム全体の総合性能を見るPC Mark 8もチェックしてみた。結果はHomeが1857、Creativeが2115、Workが2794というもの。前モデルのCPUであるCeleron N3160と比較した場合、CPUの性能向上に準じてスコアが改善されていることが分かる。Creativeのテスト内容にあるような画像や動画処理には不向きだが、軽い表計算などの処理程度であれば十分対応できる性能を持っている。
次にストレージ性能のテストを行うCrystalDiskMarkでの結果を見てみよう。本製品は前述したようにSerial ATA接続のSSDを搭載している。スコアはシーケンシャルリードは489.8MB/秒、ライトは139.6MB/秒という結果で、SSDNow V300 SV300S37A/120Gの公式スペック(シーケンシャルリード・ライトともに450MB/秒)よりも、読み込み性能に関しては高速だが、ライト性能に関してはかなり落ちる傾向にある。特にランダムアクセス、マルチキュー&マルチスレッドを処理する4KQ32T1がリードライトともに振るわない結果となった。とはいえ、Webサイトの閲覧や文書作成といった使い方であれば、十分以上の書き込み性能を持っている。
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