Ryzen 3は性能でもコスパでもCore i3と真っ向勝負(2/3 ページ)

» 2017年07月31日 14時50分 公開
[石川ひさよしITmedia]

やや低クロックな物理4コアと、高クロックな論理4コアがほぼ互角

 それではRyzen 3 1300Xを用いてベンチマークで性能を見ていこう。一部Ryzen 3 1200を加えるとともに、比較としては、Ryzen 5 1600XおよびCore i3-7350Kを加えた。

 AM4プラットフォームのマザーボードは、AMD評価キットに付属した「MSI B350 TOMAHAWK」を用いた。チップセットはB350で、Ryzen 3に合わせてシステムコストも多少抑えた構成になる。LGA 1151プラットフォームのマザーボードにはASRock「Fatal1ty H270 Performance」を用意した。X370に対するZ270、A320に対するB250と考えれば妥当だろう。

MSI B350 TOMAHAWK

 メモリに関しては、AMD評価キットに付属したGeIL「EVO X GEX416GB3200C16DC」を用い、安定動作を確認したDDR4-2933モードでテストしている。Ryzenの正式なメモリサポートはDDR4-2666までだが、メモリコントローラのOCメモリのサポートが拡大しており、シングルランクのデュアルチャネル、2枚使用の場合、かなり高クロックのものまで動作するようになった。

 ただしそれはIntelでも同様だろう、と言いたいところだが、今回のようにB350の同クラスのチップセット「H270」を用いた場合は、メモリのOCに対応していない。ハンデができてしまったわけだが、そこはプラットフォームの違いとして頭の片隅にメモしておくとよい。そのほかの検証環境には、グラフィックスカードがNVIDIA GeForce GTX 1080 Ti FEリファレンスカード、ストレージがCrucial MX300 CT750MX300SSD1(Serial ATA 3.0、750GB)、電源ユニットはSeasonic SS-1000XP(1000W、80PLUS Platinum)を用いた。

 それでは結果を見ていこう。

 CINEBENCH R15は、論理コア数で勝るRyzen 5 1600Xがダントツとして、Ryzen 3 1300Xが500cb台、Ryzen 3 1200とCore i3-7350Kは400cb台と続いた。Core i3-7350Kも論理4コアだが、Ryzen 3の物理4コアが勝っていることが分かる。

CINEBENCH R15

 ただし、論理コアと物理コアという違いからするとわずかな差だ。その理由の1つがクロック、もう1つはシングルコア側のスコアが物語っている。シングルコアで最も高いスコアはCore i3-7350Kだ。4.2GHzというブーストクロックが抜きん出ていることに加え、IPCの差もある。これはRyzen 7/5でも言われてきた点だ。

 PCMark 10のOverallは、最も高スコアだったのがRyzen 5 1600Xであるのはよいとして、次に続くのはCore i3-7350K、そしてRyzen 3 1300X、1200となった。CINEBENCH R15の順位とは異なり、システムパフォーマンスが単に演算性能だけでないことが分かる。

PCMark 10のOverall

 次にPCMark 10のスコアを個別に見ていこう。EssencialsシナリオのOverallは論理12コアのRyzen 5 1600Xがわずかにリードし、次に続くのがCore i3-7350K。Ryzen 3の2製品はそこから若干差をつけられている。Ryzen全体で見ると不得意なのはApp Start-upとWeb Browsingの2点。Ryzen 3が不得意とするところはVideo Conferenceで、ここはCore i3-7350Kが同じ程度、Ryzen 5との差が大きいことからコア数がモノを言うことが分かる。

PCMark 10 Essencials

 Contents Creationシナリオは、これはほぼすべてコア数がモノをいうテストのため、Ryzen 5と3とで差が目立つ。この分野で生産性を上げるのであれば、予算を確保して少しでもコア数の多いCPUを用いるべきだ。ただし、Photo Editionのように、家庭における用途の中心になるところでRyzen 3勢がCore i3-7350Kを上回っているところは明るい。

PCMark 10 Contents Creation

 Productivityシナリオは、スプレッドシートとライティングという2つのテストから構成されているが、どうもこのテストはRyzenが不得意としているようだ。デスクワーク系のPCを検討するのであれば、Core i3のほうがRyzen 3よりもコスパに優れると言えるだろう。コスパと言えばRyzen 3は統合GPUを統合していないため、グラフィックスカードが必須。この点でも、事務用PCではCore i3がベターだろう。

PCMark 10 Productivity

 Gamingシナリオは、ほぼ3DMarkなので、次で詳しく見ていこう。

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