実際のゲームに基づいたベンチマークも合わせて実行した。利用したのは、スクウェア・エニックスの「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」と「ドラゴンクエストX ベンチマークソフト」の2本。前者は処理が重めで、後者は処理が比較的軽めであることが特徴だ。
まず、前者のテストを実施した。画面解像度を1920×1080ピクセル(フルHD)にした場合、画質設定をもっとも低い「標準品質」にしても「設定変更が必要」と出てしまった。1280×720ドット(HD)の「標準品質」でようやく「やや快適」と出たが、“やや”というだけあって平均フレームレートは16.969フレーム/秒と、見ていてカクカクさを感じるレベルだった。
次に後者のテストをやってみた。こちらもフルHDでは厳しい所があるが、「標準品質」にすると「普通」判定が出た。HDなら「最高品質」でも「快適」判定となった。3Dパフォーマンス的には「HDが最適」といった状況だ。
最後にストレージのパフォーマンスを見てみよう。「CrystalDiskMark 5.2.1 x64」の結果は、シーケンシャルリードが520.6MB/秒、同ライトが186.2MB/秒、4K Q32T1は147.2MB/秒、同ライトは161.3MB/秒だった。搭載しているのがメインストリーム向けSSDであり、さらに容量の小さい128GBだった(※)ので、シーケンシャルリードはともかくシーケンシャルライトはSSDとして見れば遅い見える。ただし、HDDと比べれば間違いなく高速だ。
テスト機の場合、速度よりもむしろ容量のほうが問題になりうる。性質上、Elite Sliceは事務用途が主な使い方になると思われるが、そこまで大きなファイルを扱わないにせよ、128GBでは常時残り容量を気に留める必要がありそうだ。
※一般的に、SSDは容量が大きければ大きいほど(厳密には搭載するフラッシュメモリの数が多ければ多いほど)転送速度が上がる
Elite Sliceの一押しポイントは、何といってもデザインだ。スタイリッシュかつコンパクトで、そのデザインのなかに、スタッカブル(重ねて拡張できる)という「機能美」を推したい。加えて、デスクトップ向けCPUを採用したことによる処理能力の高さも機能美に加えて良いだろう。事務作業においてCPU性能不足から来るモタつきをほとんど感じずに済む。
ビジネス向けに一括導入されるPCでは、コストを重視した結果、性能の明らかに乏しいCPUを搭載したPCが採用されることもあると聞く。一方で、作業効率を上げるために「求められる処理能力」を十分に満たしたPCを導入する動きも最近では多いようだ。ストレスが軽減されるだけでも十分に業務改善になるはずだ。業務面ではセキュリティロックスロットの使い勝手の良さや本体内部のセキュリティ機能の充実ぶりも見逃せない。
この製品はコストパフォーマンスに優れた製品とは言いきれない。しかし、視点を変えればビジネスにとって有益なPCと言えるのではないだろうか。
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