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洗練の「VAIO S13」か、新生の「VAIO S11」か 2017年モデル徹底検証(4/5 ページ)

» 2017年09月21日 13時00分 公開

第7世代Coreプロセッサを採用、大容量メモリや高速SSDにも対応

 S13とS11は基本スペックも基本的に共通だ。Kaby Lakeの開発コード名で知られる第7世代Coreプロセッサ(Uプロセッサライン)を中心としたプラットフォームを採用する。従来モデルの第6世代Coreプロセッサ(Skylake)から世代交代した。

 Intelからモバイル向けの第8世代Coreプロセッサも発表されているが、現段階では性能志向でコアを増やしたモデル(Kaby Lake R)のみのため、モバイルノートPCのメインストリームラインとしてはこれでよいだろう。法人向けに継続して安定供給を行う必要があるため、発表されたばかりの最新CPUは(供給状況が不透明なため)採用しにくいという理由もあるようだ。

 店頭モデルのCPUは、Core i5-5200U(S11はCore i3-7100Uモデルもある)だが、直販モデルはCore i7やCeleronまで選べる。今回の評価機は、S13もS11も上位グレードのCore i7-7500U(2.7GHz/最大3.5GHz)を採用していた。

 メモリはLPDDR3 SDRAMを採用する。店頭モデルは8GBまたは4GBだが、BTOでは最大16GBまで選択可能だ。モバイルノートPCとしては大容量が可能で、特にS11のサイズと重量で16GBメモリを搭載できるのは貴重だ。

 データストレージは、SSDを3種類から選べる。1TBまたは512GBのMLC PCI Express SSD(第三世代ハイスピードプロSSD)、256GBのTLC PCI Express SSD(第三世代ハイスピードSSD)、そして256GBまたは128GBのSerial ATA SSDと、必要に応じて選べるのがありがたい。評価機はS13、S11ともSerial ATA SSDを採用していたが、VAIOによれば第三世代ハイスピードプロSSDはシーケンシャルリードで約6倍、ライトでも約3倍高速という。

VAIO SVAIO S HWiNFO64で見たシステム構成。S13(左)の評価機はCore i7-7500U、メモリ16GB、128GB Serial ATA SSDという構成だった。S11(右)の評価機もCore i7-7500Uをはじめ、S13と同じ構成だった。S11のサイズ、重量でメモリ16GBが搭載できるのは特筆できる

各種ベンチマークテストで実際の性能を確認

 各種ベンチマークテストの結果を掲載する。評価機はいずれもプロセッサがCore i7-7500U、メモリが16GB、ストレージが128GBのSerial ATA SSD、OSがWindows 10 Proだ。

 目新しいスペックのモデルではないため、個々のテスト結果のコメントは割愛するが、総じて第7世代Coreプロセッサ搭載モデルとして想定通りのスコアが得られた。薄型軽量ボディーで性能が十分引き出せないといったことはない。幅広い業務でストレスなく利用できるだろう。

 より高速なレスポンスを求めるならば、割高にはなるが、MLC PCI Express SSD(第三世代ハイスピードSSD)やTLC PCI Express SSD(第三世代ハイスピードSSD)などの選択肢も検討したい。

VAIO SVAIO S ストレージ性能を測定するCrystalDiskMark 5.2.2のスコア。評価機はS13(左)もS11(右)も同じSSD(SAMSUNG MZNTY128HDHP CM871a)だった。Serial ATA SSDとしても書きこみ性能がやや低いが、容量128GBなので仕方がない(低容量の場合、並列アクセスで性能を稼げないため)だろう。ランダム性能は悪くない
VAIO SVAIO S CPU性能を測定するCINEBENCH R15のスコア。左がS13、右がS11の結果
VAIO SVAIO S 総合的なパフォーマンスを測定するPCMark 10のスコア。左がS13、右がS11の結果
VAIO SVAIO S オフィス業務向けのパフォーマンスを測定するPCMark 8 Work Accelerated 2.0のスコア。左がS13、右がS11の結果
VAIO SVAIO S 3Dグラフィックス性能を測定する3DMark/SkyDiverのスコア。左がS13、右がS11の結果
VAIO SVAIO S FINAL FANTASY XIV:紅蓮のリベレーターベンチマーク(1280×720ピクセル、ウィンドウモード)のスコア。左がS13、右がS11の結果
VAIO SVAIO S FINAL FANTASY XIV:紅蓮のリベレーターベンチマーク(1280×720ピクセル、フルスクリーンモード)のスコア。左がS13、右がS11の結果

バッテリーは実測9時間以上

 公称のバッテリー駆動時間はS13が約11.7時間、S11が約15時間となっている。実測の駆動時間はBBench 1.01(海人氏・作)を利用して測定した。Windows 10の電源プランは標準の「バランス」、無線LANで常時接続した環境で行った。BBenchの設定は、60秒間隔でWebサイト巡回(10サイト)、10秒間間隔でテキスト入力(10文字)を行う内容とした。

 バッテリー満充電の状態から残量5%で休止状態へ移行するまでの駆動時間はS13が9時間21分、S11が9時間12分だった。今回のテストでは、液晶ディスプレイが大きく、バッテリー駆動時間の公称値が少し短いS13の方がわずかに長く駆動するという逆転が起きたが、いずれにしても優秀な駆動時間ではある。

VAIO SVAIO S バッテリーレポートで見たS13(左)とS11(右)のバッテリー仕様

 付属の40ワットACアダプターはS13、S11で共通だ。5ボルト、1.0アンペア出力が可能なUSB給電端子を搭載し、スマートフォンなどを充電できる。実測でのサイズは38(幅)×105(奥行き)×27(高さ)mm(突起部を除く)、重量が本体のみで191g、電源ケーブル込みで234gと小型軽量で、一緒に持ち歩いても邪魔になりにくい。

VAIO S ACアダプターに変更はなく、S13、S11ともに同じものを採用する。給電用のUSB端子も備えており、スマートフォンなどの充電に使える

 S13、S11はプロセッサ放熱用のファンを内蔵しているが、どちらも動作音は静粛だ。アイドル時は静かな部屋で意識すれば分かるというレベル。高負荷時もファンノイズが特に耳障りな印象はない。低負荷時はS13の方が若干静音な印象だが、高負荷時は大差がなかった。

VAIO S13/S11騒音テスト結果
製品 VAIO S13 VAIO S11
アイドル時 33.1dB 33.8dB
低負荷時(Webなど) 33.3dB 34.8dB
高負荷時(3DMark/SkyDiver) 40.8dB 40.9dB
パームレストの手前5cmから測定。暗騒音32dB、室温26度

 排気口は左側面とボディー奥のヒンジ部分にあり、発熱もその辺りが中心だ。S13に比べるとS11の方が少しキーボードの温度は高いものの、手がよく触れるパームレストに不快な熱を持つことはなかった。

VAIO S S13、S11とも左側面の他、ボディー奥のヒンジ部分に隠れるよう排気口が配置されている
VAIO S PCMark 10 Express実行後(終了して2周目の先頭)にFLIOR ONEで撮影したサーモグラフィ(室温26度)。S13(左)に比べてS11(右)は若干キーボードに熱を持つが、許容範囲内だろう。操作時に手が触れるパームレストはどちらも低温だ。なお、両機の間は撮影のため便宜的に狭くしてあるが、テスト中は十分な間隔を空けている

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