古くからのThinkPadファンは、実務的な観点で縦方向のピクセル数を重視する傾向にある。ThinkPad 25を開発するに当たって取ったアンケートの結果を見ると、一般的な「16:9」というアスペクト比よりも縦方向のピクセル数がわずかに多い「16:10」の方が好まれたという結果からも、その傾向は読み取れる。
実際のThinkPad 25では、フルHD(1920×1080ピクセル)の14型IPS液晶が搭載された。パネルの供給状況を考えると、16:10液晶を使うことは難しかったのだろう。パネルは非光沢(ノングレア)で、目に優しい。発色も良好だ。
この液晶にはインセル式のタッチセンサーが内蔵されている。一見するとタッチパネルに見えないが、最大10点のマルチタッチ操作が可能だ。「クラムシェルタイプのノートPCにはタッチパネルは不要」という意見もあるが、客先などで相手に何かを操作してもらう際に意外と便利だ。とりわけ、ThinkPad 25は画面を180度まで開けるので、その利便性はより高まる。もちろん、Microsoft Store経由で配布されているタッチ操作前提のアプリも快適に使える。
2004年、当時のIBMが発売した「ThinkPad T42」にはノートPCとしては世界初となる指紋認証センサーを内蔵するモデルが用意されていた。それ以降、ThinkPadは全シリーズに指紋認証センサー内蔵モデルを用意している。
ThinkPad 25にも、Windows 10の「Windows Hello」に対応するタッチ式指紋認証センサーが内蔵されている。指を触れるだけで、Windowsにログインできるので便利だ。
また、ThinkPad 25は赤外線カメラユニットも搭載しており、Windows Helloの顔認証にも対応する。画面を見つめるだけでロック解除ができるので便利だ。
ThinkPad 25には、タッチパッドの左側にNFCポートも用意されている。
NFCタグを内蔵するBluetoothデバイスでは、デバイスをポートにかざすだけで簡単にペアリング(ひも付け)できる。また、別途ソフトウェアを用意すればNFCカード(FeliCaカードを含む)をかざすことでWindowsにログインしたり、特定のアプリを起動したりすることもできる。
ThinkPad 25は、処理パフォーマンスの高さも特徴だ。
CPUは、第7世代Coreファミリー(Kaby Lake)の「Core i7-7500U」(2コア4スレッド、2.7G〜3.5GHz)を搭載している。そのため、サポートOSはWindows 10ファミリーのみとなる。「どうしてもWindows 7が必要だ!」という場合は、「Hyper-V」や「VMware」といった仮想環境の利用を検討しよう。
ちなみに、ThinkPad 25はWindows 10 Pro(64bit版)をプリインストールしているが、メーカー独自のプリインストールアプリをシステム上必須のもの(※)以外排除した「Signature Edition」となっている。「素のWindows 10 PC」が欲しいという人にもある意味でピッタリだ。
※ ThinkPadの場合、本体設定に使う「Lenovo Companion」と「Lenovo Settings」がそれに相当する。なお、最近のアップデートで後者は廃止され、前者に機能統合された
また、外部GPUとしてNVIDIAの「GeForce 940MX」も搭載している。独立したビデオメモリを2GB備えており、良質な3Dグラフィック描画はもちろん、NVIDIAのGPUアクセラレーションに対応する写真・動画編集アプリでのパフォーマンスアップも期待できる。
“レトロ”が特徴的なThinkPad 25だが、このように“モダン”な要素を兼ね備えている。
問題は、その快適さ、言い換えればパフォーマンスだ。ThinkPad 25のベンチマークテストは、別記事で掲載する予定だ。楽しみに待っていてほしい。
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