夏場からCoffee Lake-Sが登場するまでの期間は、CoreシリーズやRyzenの上にあるハイエンドプラットホームが元気だった。
先行したのはIntel側だ。6月末にX99チップセットの後継となるX299チップセット搭載マザーボードが各社から登場し、一歩遅れて7月中旬から下旬にかけて対応CPU「Core X」シリーズが店頭に並んだ。10コア/20スレッド/44レーンの最上位機「Core i9-7900X」(税込み12万5000円前後)から、4コア/4スレッド/16レーンで最下位の「Core i5-7640X」(税込み3万1000円前後)まで幅広い仕様をそろえている。
ハイエンド系ゆえに爆発的な売れ方はせず、「X99からの乗り換えの方を中心にじわじわ広まっていく感じでいくでしょう」(ドスパラ パーツ館、当時)といった構えのショップが多勢だった。
対するAMD側は、8月10日にCPU「Ryzen Threadripper」と対応するX399マザーを販売している。CPUのラインアップは上位「1950X」と下位「1920X」の2種類で、登場時の税込み価格は15万8000円前後と12万5000円前後。Core Xをしのぐ価格だが、Ryzenのヒットを受けて期待が高まっていたこともあり、こちらは予約時点で目立って好調だったと語るショップが多かった。
ところが発売からわずか2週間で大幅値下げが敢行され、税込み価格は13万8000円前後と11万1000円前後となる異常は事態が発生してしまう。国内正規代理店版よりも直輸入サイトで購入したほうが安上がりになるという状況を改善するための措置といわれている。初回に購入したユーザーに対しては日本法人が差額分のQuoカードを送るなどの対応がみられたが、せっかくの勢いに水を差した感は否めなかった。
こうしてハイエンド市場の動静は夏場に一旦落ち着いたが、10月に入ってIntel側がもうひと波起こす。Core Xシリーズには、i9-7900Xの上を行く3モデルが開発当初から予定されており、それらを10月25日に投入。最上位の「Core i9-7980XE」は18コア/36スレッド/44レーンで、予価は税込み24万6000円前後だった。
このウルトラハイエンドな仕様に対応すべく、10月初旬から電源周りを強化した“XE対応”のX299マイナーバージョンアップマザーが各社から出回るようになる。それらの反響はあまり大きくなかったものの、発売日になるとどこのショップも好調だと口にしていた。「この領域までくると分かる人が静かに買っていくという感じになるんだと思います」(TSUKUMO eX.)とのことだ。
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