レビュー
» 2018年03月08日 07時30分 公開

VAIO S11・S13の「ALL BLACK EDITION」を2台まとめて徹底検証する (2/4)

[鈴木雅暢,ITmedia]

CPUがクアッドコアの第8世代Coreにパワーアップ

 ボディーの設計は、2017年秋モデルを継承している。CPUがクアッドコアの第8世代Core(Kaby Lake R)となり、それに合わせて、メモリの転送速度も1866MT/sから2133MT/sへと高速化した(多くのメーカーはメモリ速度を「クロック」、単位を「MHz」と表記するが、DDR SDRAMではクロックの2倍で転送しているため、本来はこのように「転送速度」で単位を「MT/s」と記載するのが正しい)。

 今回の評価機のスペックは別掲にまとめた。CPUは第8世代Coreの中でも上位のCore i7-8550U(1.8GHz、最大4.0GHz)で、メモリは16GB(LPDDR3 SDRAM)、ストレージは512GBの「第三世代ハイスピードプロSSD(NVMe、MLC)」、OSは64bit版のWindows 10 Proだ。

 SSDはデバイスマネージャーで見た型番からすると、SamsungのSM961(MZVKW512HMJP-00000)のようだ。MLCの3D NANDフラッシュを搭載したモデルで、現行のM.2 SSDとしては最速クラスのスペックを持つ製品だ。

 2018年3月8日現在、この構成でVAIO S11、S13とも直販価格は25万4800円(税別、以下同)となる(プロセッサやメモリなどの期間限定キャンペーン適用の価格)。評価機はハイスペックな構成なので当然ながら値が張るが、メモリ8GB、SSD 256GB、Windows 10 Homeの最小構成ならば直販価格は18万9800円だ。

 なお、VAIO S11・S13は下り最大450Mbps、上り最大50Mbpsに対応したSIMロックフリーLTE(最大通信速度は接続する通信事業者や環境によって異なる)を内蔵できることも特徴の1つだが、これは2017年秋モデルと同様なので評価を割愛する。

spec 今回テストした評価機のスペック
CPU-Z CPU-Zで調べたCPUの情報。第8世代CoreのUシリーズを採用する。評価機はCore i7-8550U(1.8GHz、最大4.0GHz)を搭載していた。クアッドコアCPUとなり、前世代から大幅にパワーアップしている。TDP(熱設計電力)は15Wだ。なお、「Code Name」が誤って表示されているが、実際は「Kaby Lake R」
CrystalDiskMark score S11CrystalDiskMark score S13 ストレージの速度を計測するCrystalDiskMark 6.0.0のスコア(左がVAIO S11、右がVAIO S13)。さすがにVAIOで最上位の第三世代ハイスピードプロSSDだけにリード・ライト、シーケンシャル・ランダムいずれも高速だ。デバイスマネージャーで見たSSDの型番は「SAMSUNG MZVKW512HMJP-00000(SM961」)

第8世代Coreの性能をさらに引き出す「VAIO TruePerformance」

 第8世代Core(Kaby Lake R)は、従来の薄型軽量〜標準ノートPC向けと同じTDP(熱設計電力)が15WのCPUでありながら、コアを従来の2倍に増やし、クアッドコアCPUとなっていることが大きな特徴だ。これまでは大柄なノートPCかデスクトップPCでしか得られなかったクアッドコアのパワーが1kgクラスのモバイルノートPCに解禁されたことになる。

 もっとも、そのポテンシャルをどこまで発揮できるかは、放熱設計次第のところがある。IntelのCPUは「Turbo Boost Technology 2.0」(以下TB 2.0)により、CPU負荷や電力、放熱状態によってCPUの周波数を最適に調整するため、放熱設計が大きなカギとなるのだ。

 VAIO S11・S13のリフレッシュモデルでは、放熱設計を十分に確保した上、第8世代Coreのパフォーマンスをさらに引き出すために「VAIO TruePerformance」というVAIOの独自技術を導入している。

 具体的には、電源供給能力の強化、TB 2.0におけるパッケージパワーリミット値の調整、ヒートパイプの熱輸送能力33%向上、放熱フィンの熱交換率10%向上、ファン回転数テーブルの最適化といったことを行ったという。

CPU Intelの第8世代Coreを採用したメインボードと冷却機構

 このうち「TB 2.0におけるパッケージパワーリミットの調整」については説明が必要だろう。TB 2.0のパッケージパワーリミットには、PL1(Power Limit 1)とPL2(Power Limit 2)の2種類があり、電力値で設定されている。基本リミットはPL1で、PL1を超えてもごく短時間は、PL2の電力を上限として動作することが許容されている。

 基本的にPL1にはTDPが使われる。11〜13型クラスのノートPCにおける前世代までの例でいえば、PL1はTDPである15Wが標準で、PL2は25Wの製品が多かったように思うが、今世代からはクアッドコア化に伴い、PL1、PL2ともに柔軟に設定されているようだ。

 VAIO S11・S13のリフレッシュモデルでは、基本リミットであるPL1を標準より引き上げることで持続的に発揮できるパフォーマンスの向上を図っている。放熱能力や電源供給能力が十分であれば、CPUに対する負荷が強い処理、長時間の処理ほど効果的に作用すると予想される。

VAIO TruePerformance 1 「VAIO TruePerformance」では、TB 2.0でいうPL1の値を引き上げるとともに、放熱能力と電源供給能力を強化し、持続可能パフォーマンスを引き上げている
VAIO TruePerformance 2 VAIO TruePerformanceは、「VAIOの設定」の「CPUとファン」で「パフォーマンス優先」を選択すると有効になる。デフォルト設定では、ACアダプター接続時のみ「パフォーマンス優先」に設定されている

なぜPLの設定でパフォーマンスが向上するのか?

 PL1、PL2はあくまでも電力値の上限だ。これがなぜパフォーマンスの向上となるのかについては、TB 2.0の仕組みが関係している。

 TB 2.0では、PLの他に周波数リミット、温度リミットもあり、いずれのリミットも超えないように動作する。PL値の引き上げが性能に直結するのは、PLと周波数のリミットがアンバランスだからだ。

 例えば、Core i7-8550Uの周波数リミットは4.0GHzにも上る一方で、TDP(PL1の標準)は15ワットと低い。一般的なノートPCでは、そこまでいく前にPLや放熱の限界が先に来てしまう。実際には4.0GHzの最大周波数で動作する時間は短く、それよりずっと低い周波数で動作していることがほとんどなのだ。

 逆にいうと、PLを上げれば「より高い周波数で動作できる=性能が上がる」ことになる。十分な放熱性能と電源供給能力があることを前提とすれば、PLの設定が性能に直結するわけだ。

 ただし、これは周波数のパラメータを直接的に操作するオーバークロック(OC)とは決定的に異なる。VAIO TruePerformance有効時のCPUは、結果として標準的なノートPCよりも高い周波数で動作することになるが、あくまでもIntelが定めた周波数リミットの範囲内であり、かつ放熱能力に応じた安全な範囲内での動作だ。

Hwinfo 64 Hwinfo 64で見たところ、PL1は20W、PL2は44Wと表示された。ただ、「VAIO TruePerformance」の有効・無効で数値は変わらなかった。リアルタイムで見ているわけではなく、あらかじめ登録された情報を読み取っているのだと思われる。そのため、これがどちらの状態なのか、正しい数値なのかも不明だ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

この記事が気に入ったら
ITmedia PC USER に「いいね!」しよう