エプソンダイレクト探訪記――パソコンの信頼性を支える試験施設の秘密(2/3 ページ)

» 2018年03月13日 10時00分 公開
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電磁波ノイズを測定する電波暗室

 広丘事業所では、電磁波ノイズを測定する「電波暗室(10m暗室)」を見学することができた。

 電磁波ノイズ(EMC)については、他の電子機器や人体に悪影響を及ぼさないよう基準が国際規格や各国規格で決まっており、それに合致しているかどうか検査し、原因を解析するための施設だ。

電波暗室の様子。測定には10mの距離が必要ということでとても広い

反対側からの室内の様子

 一見すると、白いタイル状の化粧仕上げ材で囲われた部屋だが、その内側には電波吸収体として四角錐に成型した黒い素材が底部(床面)以外の5面に張り巡らされている。これにより、外部からの電磁波の影響を受けず、かつ外部に電磁波を漏らさず、さらに内部で電磁波が反射しない空間を作り出している。なお、この化粧仕上げ材は、電波吸収体の先端保護と、室内を明るくするための措置とのことだ。

 この空間に、可動式の測定アンテナと測定物設置用のターンテーブルが設置されており、距離、高さ、向きを変えて測定できる。

電磁波測定アンテナ。上下移動、90度回転が可能

測定対象となるPCは、360度回転できるターンテーブルの上に設置

あらゆる方向から測定できる

計測状況をプロジェクターで壁に映している

各種規制値を超える独自のエプソンダイレクト基準を設定

 エプソンダイレクトは、電磁波ノイズに関しては、シビアな基準を定めている。電磁波ノイズの国際規格や各国規格で定められた規制値を下回るだけでなく、さらに3dB以上のマージンをとって合格とするという。

 また、テスト条件に関しても、国際・国内規格では試験時のディスプレイは1つで良いとされているが、同社では全ての端子を接続する最も厳しい条件でテストを行う。

ディスプレイ出力端子含め、フロント、リアの端子は全て使用した最も厳しい状態でテストを実施

測定状況は別室でモニターし、解析を行う

 今回の取材時には、実際に全ての端子を接続した環境でDVI出力時にノイズが上昇する事例を見せてもらった。こういうことがあった場合には、マザーボードの回路にコンデンサやフィルタなどのEMC対策部品を追加する、また、ケーブルにフェライトコアを追加するといったことが行われる。

 エプソンダイレクトのPCに搭載されるマザーボードは、設計を詰める段階で電磁波ノイズの検査が何度も行われる。マザーボード上の実装部品などは部品調達の都合などでボード上の部品が変更される場合もあるが、たった1つでも実装部品を変更する場合には事前申告を義務付け、電磁波ノイズを含めた一連の評価を行って初めて変更を認めるというからそのこだわりは徹底している。

電磁波ノイズの国際規格・各国規格で定められた規制値を下回るだけでなく、さらに3dB以上のマージンをとって合格とする厳しい自社基準を課している

エプソンダイレクト独自の測定基準を説明する丸山智也氏

 さぞコストも時間も掛かることだろうと推測するが、これまでのノウハウの蓄積から問題が出ることは減っており、また問題が出やすい部分もある程度分かっているためあらかじめ変更がしやすいよう幅を持たせた回路設計を導入しているという。

 それでも、完全新規設計のモデルを開発する際などはトライアンドエラーの連続になる場合もあるが、絶対に妥協することはないという。

電波暗室の設備について解説してくれた竹内雅幸氏

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提供:エプソンダイレクト株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia PC USER 編集部/掲載内容有効期限:2018年3月27日