広丘事業所では、電磁波ノイズを測定する「電波暗室(10m暗室)」を見学することができた。
電磁波ノイズ(EMC)については、他の電子機器や人体に悪影響を及ぼさないよう基準が国際規格や各国規格で決まっており、それに合致しているかどうか検査し、原因を解析するための施設だ。
一見すると、白いタイル状の化粧仕上げ材で囲われた部屋だが、その内側には電波吸収体として四角錐に成型した黒い素材が底部(床面)以外の5面に張り巡らされている。これにより、外部からの電磁波の影響を受けず、かつ外部に電磁波を漏らさず、さらに内部で電磁波が反射しない空間を作り出している。なお、この化粧仕上げ材は、電波吸収体の先端保護と、室内を明るくするための措置とのことだ。
この空間に、可動式の測定アンテナと測定物設置用のターンテーブルが設置されており、距離、高さ、向きを変えて測定できる。
エプソンダイレクトは、電磁波ノイズに関しては、シビアな基準を定めている。電磁波ノイズの国際規格や各国規格で定められた規制値を下回るだけでなく、さらに3dB以上のマージンをとって合格とするという。
また、テスト条件に関しても、国際・国内規格では試験時のディスプレイは1つで良いとされているが、同社では全ての端子を接続する最も厳しい条件でテストを行う。
今回の取材時には、実際に全ての端子を接続した環境でDVI出力時にノイズが上昇する事例を見せてもらった。こういうことがあった場合には、マザーボードの回路にコンデンサやフィルタなどのEMC対策部品を追加する、また、ケーブルにフェライトコアを追加するといったことが行われる。
エプソンダイレクトのPCに搭載されるマザーボードは、設計を詰める段階で電磁波ノイズの検査が何度も行われる。マザーボード上の実装部品などは部品調達の都合などでボード上の部品が変更される場合もあるが、たった1つでも実装部品を変更する場合には事前申告を義務付け、電磁波ノイズを含めた一連の評価を行って初めて変更を認めるというからそのこだわりは徹底している。
さぞコストも時間も掛かることだろうと推測するが、これまでのノウハウの蓄積から問題が出ることは減っており、また問題が出やすい部分もある程度分かっているためあらかじめ変更がしやすいよう幅を持たせた回路設計を導入しているという。
それでも、完全新規設計のモデルを開発する際などはトライアンドエラーの連続になる場合もあるが、絶対に妥協することはないという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
提供:エプソンダイレクト株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia PC USER 編集部/掲載内容有効期限:2018年3月27日