家庭向けの“3ベイNAS”はいいとこ取り? QNAP「TS-328」徹底解説(1/2 ページ)

QNAPの「TS-328」は同社初の3ベイモデルだ。コストパフォーマンスと冗長性の“いいとこ取り”で家庭向けNASの新定番となるか。

» 2018年05月25日 10時00分 公開
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 QNAPから3ベイモデルのNASキット「TS-328」が発売された。今まででありそうでなかった3ベイモデルは単に「2ベイよりも多く、4ベイよりも少ない」という意味以上の利点があるため、待ち望んでいたユーザーもいるのではないだろうか。今回は3ベイならではのメリットと、QNAPの最新ストレージマネジメントを紹介する。

QNAP初の3ベイモデル「TS-328」

 今回発売されたTS-328はQNAP初の3ベイモデルだ。CPUにRealtekのクアッドコア「RTD1295」1.4GHz、2GBメモリを搭載と、「TS-128A」や「TS-228A」などのエントリーレベルNASのライン上にあるスペックを有している。だが、最も大きな特徴は、「3ベイ」という一見奇妙なベイ数だ。

QNAP「TS-328」

 NASキットを用いてNASを構築するとき、最初に検討するのはディスク構成だ。ディスクタイプとモデルの選択、またRAID構成によっても耐障害性や可用性、パフォーマンスは大きく異なってくる。

 特に耐障害性は重要なポイントだ。大切なデータを集約して保存するNASの場合、データが失われた場合の影響はPCの場合よりもはるかに大きくなることが多い。障害への対策はあらかじめ考えておかなければ安心して利用できない。

 その対策は大きく分けて2つある。1つは定期的なバックアップを取ること。これは障害だけでなく、誤って消してしまった、上書きしてしまった、というような人為的なミスに対しても復旧できるというメリットがある。バックアップを物理的に離れた拠点に置けば、災害対策としても有効だ。

 その半面、バックアップのためのストレージを別途用意しなくてはならない。また、障害時にどのタイミングのデータに書き戻せるのかを示すRPO(Recovery Point Objective)は定期バックアップのタイミングとなるため、前回バックアップ時以降の更新データは失われてしまう。

 もう1つの対策はRAIDによるディスクの冗長化だ。データを複数のディスクに書き込むようにすれば、どれか1台が壊れてもデータは失われない。データを書き込む時点でデータが複製されるため、RPOとしてはほぼ0となる。ただし、同じNAS内での冗長化なので、NAS自体の落下や災害などによる破損事故に対してはあまり効果がない。また、データを複数ディスクに書き込むため、その分のディスクが必要になる。

 なお、この2つの対策は相互に補完し合うものになるので、どちらか1つでOKというものではないことに注意してほしい。

同社初の3ベイモデル。NASで3ベイという珍しいベイ構成が目を引く。カバーを取り外すとホットスワップベイにアクセスできる
スピーカーを内蔵しており、インストール完了などのステータスは音声で通知される。ネットワークポートは2つ  

ベイ数別に見るRAID

 現在利用されているRAIDは0、1、5などいくつかの種類がある。それぞれ冗長化のレベルや必要となるディスク台数が異なるので、QNAP NASのベイ数ごとに選択可能な方式を見ていこう。

2ベイで実現可能な方式

  • シングル(最小構成1台:冗長化なし:利用効率100%)

 1台のHDDを1つのボリュームとして扱う。ディスクが破損したらボリューム全体のデータが失われる。

2ベイでのシングル構成。ボリュームとディスクを1対1に対応させる
  • JBOD(最小構成2台:冗長化なし:利用効率100%)

 2台のHDDを1つのボリュームとして扱う。冗長性はなく、1台でもディスクが破損したらボリューム全体のデータが失われる。

2ベイでのJBOD構成。RAID 0と異なり、HDDの容量が異なっていても1ボリュームとして扱える
  • RAID 0(最小構成2台:冗長化なし:利用効率100%)

 データを2台のディスクに分散して書き込み、1つのボリュームとして扱う。分散するために高速アクセスが可能だが、冗長性がないため1台でもディスクが破損したらボリューム全体のデータが失われる。

2ベイでのRAID 0構成。速度向上を目的とし、データを分割して書き込む方式
  • RAID 1(最小構成2台:冗長化あり:利用効率50%)

 常に同じデータを両方のディスクに書き込み、1つのボリュームとして扱う。データが冗長化されるため、1台ディスクが破損してもデータは失われない。ただし、ボリュームの容量はディスク1台分となる。

2ベイでのRAID 1構成。同じ内容を2台のディスクに同時に書き込むため、1台故障してもデータは失われない

3ベイで実現可能な方法

 3ベイではシングル、JBODの他に以下の方式も利用できるようになる。

3ベイでのシングル構成
3ベイでのJBOD構成
  • RAID 0(最小構成2台:冗長化なし:利用効率100%)

 RAID 0は3台、あるいはそれ以上のHDDでも構成できる。しかし、構成するHDDの1台でも故障したら全てのデータが失われるため、構成ディスク台数が増えれば増えるほど故障率は高くなる。3台以上でRAID 0構成はかなりリスキーな選択だ。

3ベイでのRAID 0構成。3台のうち1台でも故障したらデータは全て失われる
  • RAID 1+ホットスペア(最小構成3台:冗長化あり:利用効率33%)

 2台のHDDでRAID 1を組むとともに、1台を予備とする方式。RAID 1を構成するHDDの1台が故障した場合には自動的に故障ディスクを切り離し、予備のディスクに切り替わる。障害時に迅速に冗長状態に回復できるというメリットはあるが、利用効率はHDDを3台使って1台分、33%しかない。

RAID 1+ホットスペア構成。1台は予備として普段は使用しない
  • RAID 5(最小構成3台:冗長化あり:利用効率67%)

 データに冗長情報(パリティ)を追加し、それぞれを3台のディスクに分散して書き込む。2つのデータに対し1つのパリティが生成されるためにデータ量は1.5倍になるが、どれか1つが欠けても計算によって補完できるため、HDDが1台破損してもデータは失われない。利用できる容量はディスクを3台使って2台分、67%となる。

RAID 5構成。データ2つ分に対し、1つのパリティを生成するため利用効率は67%、1台故障してもデータ復旧が可能

 このように見ると、RAID 5が冗長性を保ちつつ、利用効率も全体の67%と、バランスのとれた構成であることが分かる。ただし、RAID 5はその仕組み上、最低でも3台のディスクが必要になる。

 今までのQNAPのラインアップだと4ベイモデル以上でしか選択できず、廉価な2ベイモデルだとRAID 1を選択するか、冗長性を犠牲にするかのどちらかになってしまっていた。2ベイモデルは本体は安価だが、容量効率が50%となるとトータルの容量単価は高くなってしまう。

 これが3ベイモデルが待ち望まれていた理由だ。TS-328はベイ数をRAID 5の最少構成数に抑えることでコストパフォーマンス・耐障害性・利用効率という3つの相反する要件を全て満たした、魅力的なモデルとなっている。

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提供:QNAP株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia PC USER 編集部/掲載内容有効期限:2018年5月31日

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